第1回:株式会社農園たや

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責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム(JP-MIRAI)が設立されて3ヶ月、現在150を超える企業・団体・個人の皆様を会員に迎えることができました。責任ある外国人労働者受け入れによって選ばれる日本となるために。今月(2021年2月)から毎月1回、会員各位の素晴らしい外国人労働者受け入れ事例を取材させて頂き、皆様に共有させて頂くこととしました。

第1回に登場するのは、株式会社農園たやの田谷徹社長です。福井県でこだわりを持った農園を営む田谷社長は、インドネシアからの技能実習生を迎え入れるにあたり、実習生が派遣される前から実習生一人一人のビジネスプランを考え、実際に派遣された後は農業の実習のみならずキャリアプランを構築する様々なトレーニングやワークショップを実施し、実習生帰国後のビジネスまでも支援するという、まさに技能実習生の受け入れを国際貢献の場として活動されている方です。農園たやの取り組みについては以下のホームページをご覧下さい。

https://www.nouentaya.com/project/

農園たやで働く技能実習生の皆さん

そんな田谷社長にJP-MIRAIの事務局が2月5日にオンラインで取材を行わせて頂きました。取材は当初の予定時間を大幅に超えて、田谷社長の熱い想いを伺う機会となりました。

株式会社農園たや 田谷社長

2021年2月5日(金)16:30-17:30 インタビュー実施

Q.御社が行っている「インドネシア農業技能実習プログラム」を始める前の御社と技能実習生との関わり/このプログラムを始めたきっかけは?

A.2002年に農業高校の交流事業においてインドネシア語の通訳を行ったのがきっかけです。ちょうど「グレーである」「賃金が安い」などといった技能実習生の問題が起きていたころで、私自身2003年から2005年までインドネシアのボゴール農科大学大学院に留学しており、自分がインドネシアと関わっていく中で、技能実習制度がもっと素晴らしい交流・出会いの場にならないか?ということを考えました。タンジュンサリ農業高校からも要望あり、自分の農園で技能実習生を受け入れることとなったものです。

私は昔、青年海外協力隊に参加したこともあり、ともするとブラックなイメージで語られがちな技能実習制度を、ワーキングホリデーのように、あるいは青年海外協力隊の逆バージョンのように、外国で知見を得る学びの場所になってほしいと思ったのです。

Q.このプログラムを始めることによって何が変わりましたか?

A.1点目は、経験値の共有方法です。農業というとマニュアル化されていない、勘や経験、職人芸のところがありますが、技能実習生の受け入れを機にできるだけ簡素にし、より簡単なことばで言い表せるようにしました。その結果、経験値の共有が楽に進むようになり、社内の整理整頓も以前にも増して進みました。農業は家族経営がほとんどなので、曖昧になりがちなのですが、3年で入れ替わる外国人が来ることで、より分かりやすく使用、整理整頓しよう、言葉も簡単にしようという意識が生まれていると思います。

例えば、指示の出し方です。「ちょっと」収穫してというところを「一握り分」というとか、「何グラム」など、具体的に話すようになり、社内のコミュニケーションもよくなった。

そのようにした結果、作業の生産性が上がったように思います。

2点目は、日本人の若いスタッフが増えたということです。私の農園には国際協力したいというメンバーが日本全国からきています。福井は農業者の平均年齢70歳だが、私の農園は日本人スタッフも20代、30代の若者が来てくれます。これは福井の中ではかなり珍しいことです。国際協力がしたい若者が日本全国から農業の場に来るのです。私の農園のスタッフは全員県外の方です。東京からも2名来ています。とても意外でした。

Q.責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)は、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」を実践して頂くよう呼び掛けていますhttps://jp-mirai.org/jp/code-of-conduct/) 農園たやの技能実習生に対する取り組みは、上記5つの行動原則を実践していると言えますか。実践しているのはどう言った取り組みか、会員への模範事例として、具体的にご教示頂ければと思います。

A.守っていると思います。もちろん1.の法令遵守は必要ですが、「選ばれる日本」というのを目指すのであれば、4. の「私たちは、日本及び国際社会の発展と安定に貢献するため、外国人労働者の能力開発に尽力します」という行動原則が大事だと思います。「あそこに行ったらキャリアアップになる」と思ってもらえないといけないと思います。今、私の農園では農業高校から来たい人が増えていますが、2名しか受け入れられず、生徒会長か学年1位かしか来られないくらいで、農園にいる実習生の中には国立大学を蹴ってきてくれた子もいるのです。

Q.責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)は、受け入れ企業・団体・監理団体・弁護士・学会の先生方など幅広い外国人労働者受入れに関わる方々を会員に迎えており、今後右のような活動を予定していますhttps://jp-mirai.org/jp/about/ に掲載の「主な活動内容」)農園たやが独自に「インドネシア農業技能実習プログラム」を実践していく中で、気づいたこと、課題と感じたこと、そして上記5つのJP-MIRAIの活動の中で今後特にJP-MIRAIが活動すべきと思われることとして、具体的にどのようなことがありますか?

A.農園の中では私ともう1名がインドネシア語が出来るのですが、社内での語学の格差や意識の格差が若干生まれています。今後そういったところに向けて、JICAのスキーム(民間連携でのJICA海外協力隊)を使って社員をインドネシアに送っていくことで、社員が向こうの現場の理解を深まっていけると思っています。技能実習生たちの生活環境を理解したうえで受け入れをするということが、大事で、安心につながります。受け入れも進むし、帰った実習生たちの地域をどうしていくのかも、共感を持って考えていけます。そういった「共感を持った人材」の育成が大きな急務だと思います。

また、技能実習生の問題で一番大きい、送り出しのところを改善していかないと思います。必要以上なカリキュラムを組むことで日本での生活に必要のない授業をして、それが実習生の借金につながるケースがあり、こちらの現場と向こうの現場とのすり合わせが必要だと思います。

続いて、田谷社長の紹介を頂き、農園たやで2年近く働くインドネシア人の技能実習生、Dadan Lesmanaさんにもオンラインで取材を行わせて頂きました。

インタビューに答えるDadanさん

2021年2月12日(金)19:00-20:00 インタビュー実施

Q.なぜ日本で働きたいと思ったのですか?

A.もともと日本のアニメーションや桜などの文化に興味があったのと、日本の農業の現代技術を勉強しようと思い、日本に来ようと思ったのです。

Q.なぜ「農園たや」を選んだのですか?

A.農業を学ぶだけでなく、ビジネスプランも学ぶことができると思ったからです。

Q.実際に「農園たや」で働いて、期待どおりでしたか?期待を上回る経験はありましたか?

A.期待を上回る経験がありました。「農園たや」は野菜農場ですが、私はインドネシアに帰ったら酪農と野菜栽培のハイブリッドの経営をしたいと考えていてそれを田谷社長に相談したところ、外の酪農農場での研修も受けさせてもらえました。

Q.あなたは、外国人労働者を受け入れる日本の企業・団体にどのようなことを期待しますか?

A.コミュニケーションの問題を重視することだと思います。

Q.それは具体的にはどういうことですか?

A.私は今大変いいコミュニケーションの下で働いているのですが、知り合いの技能実習生の中には、日本人が外国人労働者を過小評価し、「お前は何も知らない」のようなことをいう人もいるのだそうです。それではいいチームワークができないと思います。

いいチームワーク、いいコミュニケーションのためには、日本人と外国人労働者、お互いの「respect=尊敬」が必要だと思います。田谷社長がインドネシア語を話せるのはコミュニケーションに役立ってはいますが、より重要なのは「態度」、そして「respect=尊敬」だと思います。「農園たや」では、そのおかげで社員がファミリーのようなのです。

Q.JP-MIRAIに外国人労働者の視点から何を期待しますか?

A.日本人と外国人労働者の間にはコミュニケーションの問題がしばしば存在すると思っています。JP-MIRAIには、ぜひこの問題を研究して頂き、解決策を考えてもらいたいです。

田谷社長、Dadanさんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いて頂きました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。

一覧

本企画では、会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。 第5回でご紹介するのは、茨城県外国人材支援センターです。茨城県は会員として責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム(JP-MIRAI)に参加されています。 茨城県外国人材支援センターのウェブサイトは右記をご覧下さい。https://ifc.ibaraki.jp/ 9月上旬に、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 <茨城県労働政策課 高野弘毅さん> Q:外国人材支援センターを設立した経緯について教えてください。 茨城県外国人材支援センター(以下、「センター」)は平成31年4月に設立されました。 国において、新たな在留資格である「特定技能」が創設され、本県企業の人手不足の解消についても、外国人材等の活用が求められていますが、外国人雇用への理解不足や在留資格などの諸手続きの煩雑さ等から雇用に踏み出せない企業が存在するため、外国人雇用に関する制度の周知等を図り、外国人材活用を進めていくことが課題となっています。 外国人の方々に活躍いただくために就労支援や生活相談等一体的な支援を行うとともに、企業に対し外国人材の受入れに向けた支援全般を行い、就職マッチングや外国人材の県内定着を図ることで、継続的かつ安定的に人材・労働力を確保し、人手不足の解消、及び県内企業の発展を図るのが当センターの目的です。 外国人材の方が活躍するためには、企業において、適切な労働環境が整備されていることが前提になります。外国人材の受入れ経験が無い企業等に対し、茨城県外国人材支援センターのアドバイザーがサポートし適切な受入れ環境を整備した上で丁寧なマッチングを行うことで、外国人の方には「茨城に来てよかった」、企業の方には「外国人材を採用してよかった」と思ってもらえる好事例・モデルケースを発信しPRすることで、「選ばれる茨城」を目指します。 Q:外国人材支援センターの主な活動内容について教えてください。 ① 企業支援の概要 外国人材と企業のマッチングは民間企業含む他の団体でも行われていますが、茨城県では、マッチング前に外国人材を雇用する前の環境を整備したり、就業した後の定着支援のサポートに特に力を入れています。 県内の多くの中小企業では、外国人材の受け入れ実績が無いことはもとより、職員の方が外国人の方々と接したことが無いため異文化に関する知見が無かったり、受入れにあたり必要な就業規則や労務管理などの環境整備に時間と費用がかかるなどの理由により、外国人材の採用まで踏み切れていないケースが見受けられます。特に外国人材を雇用する場合は、従事しようとする業務が、外国人本人が持つ学歴や職歴、経験などと一致していないと在留資格が下りない、という日本人の雇用には無いハードルがあります。 センターには、中小企業役員経験者や海外法人立ち上げ経験者、海外駐在経験者など企業支援スキルを持つ者が専門アドバイザーとして駐在しています。彼らが中心となり、県内企業に、事業内容や人材の充足状況、事業計画、外国人材に対する理解等をヒアリングし、従業員の方が働く現場を見て問題ないと確認した上で、外国人材の雇用を提案します。また、外国人材を雇うために必要な手続きや環境整備、在留資格制度を併せて伝え、外国人材の雇用は決して簡単ではないことも説明します。 在留資格や労務管理の専門的な知見が必要な場合には、定期的に無料開催している行政書士や社会保険労務士の相談会に参加いただき、就業規則改訂や雇用契約書作成、適切な労務管理などの支援を行います。 この他、外国人材を雇用してみたいという企業を開拓することも重要なミッションであることから、駐日在外公館や、JICAさんやJETROさんなどの海外に拠点を持つ公的機関などとも連携し、一流の講師陣を揃えセミナーを開催し、異文化理解や海外事情、外国人材の持つポテンシャル等を講演いただいています。 これらのサービスは、全て無料で行っておりますが、言い方を変えれば、外国人材支援センターは企業さんと対等な立場にあるということだと思います。外国人材の方々に活躍いただくために、我々センターは企業さんに整備いただきたい事項を繰り返しお伝えさせていただきますが、もしご協力いただけない場合には、支援をお断りさせていただくこともございます。 ② 外国人労働者支援の概要 外国人の方は、就職活動に必要な情報を得るのが簡単ではなかったり、想定していた仕事と違っていたので離職したと、いうケースを耳にします。このため、センターでは県内企業の紹介や、県内視察ツアー、インターンシップの企画、県内企業との意見交換会などを開催し、企業と外国人材間のコミュニケーションを丁寧に行うことで、外国人の方に茨城県及び茨城県の企業を好きになってもらった上で就職いただき、ミスマッチの防止に努めています。 ある大学で留学生向けに就職ガイダンスを開催した際に、経済系の文系学生がIT企業でシステムエンジニアとして就職したいという方がいたのですが、在留資格があわないため就職できないことをお伝えしたことがあります。このようなケースは、非常によくあることですので、事例を交えながら、繰り返し、丁寧に説明していくことが重要です。 Q:ウェブサイトでは、ベトナム、インドネシア、モンゴル、ミャンマーを重点4か国に位置付けていらっしゃいますが、現時点でどちらの国籍の方と県内企業のマッチングが多いですか? この4か国は、海外から外国人材を受け入れるにあたっての重点国であり、国内にいる外国人の方々であれば、特に国籍の別なく、県内企業とのマッチングに取り組んでいます。ちなみに、マッチング件数が多い国籍は、ベトナムになります。既にベトナムの方は日本国内にも沢山いらっしゃいますが、企業側にとってなじみがあったり、またベトナム人の留学生も多いことが理由だと思います。 Q:これまでにエントリー(もしくはマッチング)した外国人労働者は、どのような在留資格の方ですか? 本県がメインで支援対象としているのは、「技術・人文知識・国際業務」若しくは「特定技能」の在留資格で就職したい方になります。 ただ、昨年度は、コロナ禍の影響で実習が継続できず、雇止めになってしまった技能実習生に別の実習先を紹介するというサポートもしました。 Q:これまでにエントリー(もしくはマッチング)した企業・団体は、どのような業種・団体ですか? 県内でも企業数の多い製造業や、あとは人手不足の業種とされる建設業やIT業界が多くなっています。その他、数は多くありませんが、人材派遣業や小売業、官公庁などにおいてもマッチング実績があります。 Q:JP-MIRAIでは、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」を実践して頂くよう呼び掛けています。下記の行動原則のうち、(1)~(4)について、特に気を付けていることや具体的な取り組みがあれば教えてください。 (1) 私たちは、外国人労働者の受入れに当たり、関係法令を遵守します。 (2) 私たちは、外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます。 (3)私たちは、働く場と生活の場の両方で、外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します。 (4)私たちは、日本及び国際社会の発展と安定に貢献するため、外国人労働者の能力開発に尽力します。 (5)私たちは、プラットフォームの取り組みを日本国内及び世界に発信していきます。 ① 行動原則1‐法令遵守について ・相手国の法令を意識 本県が海外から人材を受け入れるに向けては、中央政府や地方政府、大学といった信頼できるカウンターパートと連携しています。連携を進めるにあたっては、覚書という公文書を取り交わしておりますが、当覚書の中で、相手国と日本、双方の法令に従って、適切なルートで、適切な人材を受け入れていくが明記されています。 仲介団体が労働者から徴収する手数料への対応については、例えばベトナムでは送り出し機関を経由しないと採用できない仕組みであるため、どうしても手数料が発生してしまいますが、もちろん、金額の妥当性や、何のために徴取する経費なのか等を確認し、他社の金額とも比較した上で、マッチングを行います。 ・登録企業の法令遵守の確認方法 先にお伝えした通り、センターが企業支援するにあたり、外国人材の雇用を具体的に提案する前に、就業規則や雇用契約書、労務管理、同一労働同一賃金、居住環境などが適正であるか、確認いたします。もし、適切でない点が見つかれば、修正をお願いしますし、必要があれば当センターの行政書士や社会保険労務士の相談会に誘導します。 また、センターは既に働いている外国人労働者の方からも広く相談を受け付けており、もしセンターで対応できない問題であれば、出入国在留管理庁や労働基準監督署への相談をご案内しています。センターを利用して就職された方には、何かあれば相談するようご案内しています。 ② 行動原則2-外国人労働者の人権尊重(労働環境・生活環境含む)について ・外国人労働者からのよくある相談事例と対応事例 センターが就職支援を行った外国人の方からではありませんが、「パスポートを取り上げられてしまった」などの深刻な相談が寄せられた際には東京出入国在留管理局水戸出張所を案内したり、残業代が支払われないといった相談には、労働基準監督所を紹介します。 企業からは、外国人労働者がごみの分別が理解できず困っている、音楽のボリュームが大きいなどの騒音、異文化理解の面のトラブルの相談が寄せられることもあります。こういった生活上のルールは、海外に暮らしていた方にとってはなじみがない場合が多いので、問題が発生してからではなく、事前に教える必要があります。特に、初めて外国人材の受入れを行う企業に対しては、外国人労働者を受け入れるということは、生活指導担当者を決めた上で、こういった生活上のルール順守も含めて、外国人の方へのサポート体制を構築する必要がある旨、ご案内しています。 ③ 行動原則3-外国人労働者との相互理解について ・外国人労働者の言語サポート せっかく茨城県を選んで働きに来てくれたので、少しでも日本語のコミュニケーション力を向上し、活躍いただきたいという思いで、本県は日本語学習支援e-ラーニングシステムを構築し、県内企業の担当者及び外国人従業員に無償で利用いただいています。このシステムでは、企業の管理者が、外国人従業員の学習状況を、例えば今月何回ログインし、総学習時間は何時間で、どれだけ学習が進捗したのか、などを確認することができる仕組みになっています。 ただ、課題もあって、このシステムを使って継続して勉強している方の数がアカウント発行総数に比べ少ないので、高いモチベーションをもって勉強を続けてもらえるようなモデルケースの創出に向け、今年度から伴走支援を始めました。 ④ 行動原則4‐外国人労働者の能力開発について ・資格取得のサポート制度について 茨城県は、ベトナム・ロンアン省と外国人材の送出・受入れに関する協力覚書を締結しましたが、この覚書に基づき、県内介護施設で技能実習生を受け入れ、介護福祉士の資格取得までサポートし、茨城県及びベトナムの介護産業を支える介護人材を育成するプロジェクトをスタートさせました。ちなみに、外国人の方が介護福祉士の資格を取得すれば、「介護」という在留資格を得ることができ、更新すれば在留期間の制限がなく日本で就業を続けることが可能になります。 Q:外国人材支援センターはJP-MIRAI共同事務局のJICA(独立行政法人国際協力機構)と協働を行っていますが、センターとしてJICAに期待されていること、具体的に協働されていることにはどういったことがありますか? 2020年12月にJICAさんと茨城県の間で外国人材の送出し・受入れ分野での連携を目的とした覚書を締結いたしました。また、2021年2月からは、センターにJICAさんの国際協力推進員に駐在いただいています。JICAさんには、海外に多数の拠点をお持ちであり、また、途上国に対する長年の開発支援などを通して蓄積した海外の知見やコネクションをお貸しいただきたいと考えています。 これまでの共同の取組みで言うと、例えばJICAモンゴル日本人材開発センターさんと共催で、モンゴルと茨城県をwebでつなぎ、日本への就職に興味があるモンゴル在住のモンゴル人の方々に、茨城県の紹介や在留資格制度の説明をするとともに、茨城県で既に就業しているモンゴル人の方からのメッセージも配信しました。実際に、セミナー参加者から茨城県で就職したいので支援してほしい、という依頼もいただきました。 コロナ禍の渡航制限によりセミナーや就職面接会を対面で開催するのは困難ですが、オンライン環境をフル活用し、JICAさんの海外拠点と連携しながら、コロナ終息後にスムーズな受入れ体制を整えることができるよう取り組んでいきたいと考えています。 Q:JP-MIRAIに貢献できること、期待していることなどございましたら、教えてください。 JP-MIRAIさんには、会員さんにおける先進的な取り組みや優良事例を横展開してくださることを期待しています。他県を見ても、行政が外国人材の受け入れ促進に着手し始めたのはここ数年であり、どの自治体も手探りの状況かと思いますので、是非参考にさせていただきたいと考えております。 茨城県外国人材支援センターと協働されている、JICA筑波センター渡邉所長からも次のようなコメントをいただきました。 JICA筑波センターでは、2020年12月に茨城県と、外国人材の育成、送出し、受入れ等に関する連携強化に向けた覚書を締結し、以下の取り組みを推進しています。 ・外国人材の茨城県内企業への受入れ促進 ・外国人材の県内企業への受入れに必要な各種イベントの開催 ・途上国の開発に資する県内企業の海外展開支援やグローバルな産業人材の育成 ・外国人材と茨城県民との相互理解の促進及び茨城県における共生 等 開発途上国の開発を支援するJICAにとっては、外国人材受入れ支援という活動自体が新しい取り組みで、どのようなことが求められているのか、何をどのように支援できるのか、悩みながら手探りでいろいろな事例を積み上げています。 JICAの目的である「開発途上国の開発を支援する」というところに立ち返ると、来日された方が茨城県で活躍されるだけではなく、母国に戻った後に母国の発展のために活躍できることが大切であると考えています。そのため、今後は茨城県内企業の海外展開支援等も含めて、来県された外国人材の方が母国でも活動される循環型の支援を進めていければと考えています。 茨城県庁高野様、JICA筑波センター渡邉所長様とも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いていただきました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。 <取材執筆協力 株式会社クレアン 秋山映美・原田宏美>...

本企画では、毎月1回会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。 第4回でご紹介するのは、協同組合FUJIで、会員としてJP-MIRAIに参加されている監理団体です。 協同組合FUJIは、横浜と名古屋に本部があり、ベトナム、インドネシア、タイ、中国、インド、フィリピンから技能実習生を受け入れています。 協同組合FUJIのウェブサイトは右記をご覧下さい。https://c-fuji.or.jp/ <協同組合FUJIの皆さん> 6月中旬に、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 Q:監理団体設立から現在の状況について教えてください 2009年、岐阜県で設立しましたが、設立当時は、岐阜県や愛知県で繊維業を中心に研修生や実習生を安い労働力として受け入れる傾向が強くあり、違法行為が日常的に生じていました。そのような中、私たちは、法令順守を意識し、人権に配慮した技能実習生の受け入れを目指し団体を設立しました。 2020年度の技能実習生の受け入れ人数は、ベトナムから3100名、インドネシアから400名、タイから160名、中国から90名、インドから70名、フィリピンから10名で、設立当初は、中国からの受け入れが多かったのですが、近年は、ベトナムからの受け入れが多くなっています。 設立当初から、幅広い業種に対してアプローチをして、さまざまな業種が参加する組合を設立しました。受け入れ企業も、農業、建築、機械・金属、食品製造等、さまざまな業種にわたり、多くは中小企業ですが、上場企業や上場企業系列企業など大企業もあります。 横浜と名古屋に事業所があり、全国にある受け入れ企業各社のフォローを行っています。コロナ禍の現在はオンラインも活用していますが、受け入れ企業や実習生からのご要望にお応えして、週に1回以上訪問するなど、きめ細かくフォローを行っています。 協同組合FUJIでは、スタッフのうち半数の約60名がベトナム、インドネシア、タイ、中国、フィリピンの外国人スタッフで、日本語能力試験のN1に合格したスタッフも多数在籍していて、実習生に対して丁寧に対応をしています。 Q:送出機関との連携や選定基準について教えてください 現在は、コロナ禍により、現地に行くことはかないませんが、送出機関への訪問はかなりの頻度で行っています。実習生受け入れの際には、受け入れ企業とともに訪問し、面接を行い、その際に、送出機関の寮の状況や専門学校の先生の授業の様子を受け入れ企業と一緒に訪問して確認もしています。信頼ができる送出機関とは長いお付き合いをしています。 <参考:6月15日に実施したJP-MIRAI主催手数料問題研究会における協同組合FUJI代表理事 服部説夫様の講演より>送出機関の問題として、高額な手数料の徴収、ブローカーによる手数料の徴収、不十分な教育、労働条件・雇用条件の不適切な説明、監理団体へのキックバックなどが指摘されていますが、どの送出機関も、すべてに該当するわけではなく、一部の項目について問題があるというケースも多くあります。このような問題が発覚した時には、その都度指摘し、改善をしてもらっています。 協同組合FUJIでは、不適切な送出機関を排除するために、実習生全員に入国後のアンケートやヒアリングを行い、送出機関への支払いなど来日までに負担した金額や日本語の語学力を把握し、送出機関の選定基準を設け、現地の日本語学校の日本語ネイティブの教員の数、駐在事務所/駐在員の配置の有無、トラブル発生時の協力と発生後の改善、帰国後の再就職支援の実施状況、現地での情報発信、キックバックや二重契約の提案の有無などを確認しています。 また、送出機関からの接待をなくすために、2年半前より名古屋、新横浜でオンライン面接の設備を整えて現地での接待の機会を減らしたり、キックバックの提案などを行う不適切な送出機関の情報を監理団体間で共有することなども行っています。 これまでに、実習生のアンケート調査で手数料以外にも徴収されていることが判明した場合や、日本語の教育レベルのばらつきなどについて改善依頼をしました。 たとえば、実習生が送出機関に支払う手数料などについて、実習生から聞いた話と送出機関からの説明が異なる場合には、時間をかけて真偽を確認し、場合によっては、その送出機関とは距離を置くというような対応もしています。 Q:受け入れ企業(組合加入企業)の基準はありますか? 基本的には、中小企業組合法で加入希望者を断ることはできませんが、社会保険への加入など法律で決められていることは当然のこととして、それ以外にも、チェックシートでの確認や、受け入れ企業の社長様の人柄、現場の雰囲気、日本人労働者も含め酷使されていないか、ユニフォームが汚い人たちが多くいないかなど、そこで働く実習生の目線に立って確認をしています。 協同組合FUJI側から、受け入れ企業に賃金を少し高くしてほしいと依頼しているので、それに同意してくれる会社に加入をしてもらい、安く受け入れたいという会社はお断りすることもあります。 Q:JP-MIRAIの行動原則についてお伺いいたします。 行動原則1① 「関係法令を遵守します」ということについて 実習生の負担軽減となるような受け入れ基準を設定するために、ベトナム人実習生を対象にインターネットでアンケート調査を実施し、1400名から回答を得ました。そのアンケートをもとに、今後、新たな受け入れ基準を設定する予定です。 <参考:6月15日に実施したJP-MIRAI主催手数料問題研究会における協同組合FUJI代表理事 服部説夫様の講演より>具体的には、海外就労に政府が関与し、手数料を実習生が負担することのないフィリピンモデルを他の国でも展開できないかと考えています。 現在、ベトナムでは、送出機関は、実習生から、3年間で上限3,600 USドル範囲内での手数料の徴収が認められていますが、協同組合FUJIでは、まずは、試験的に、実習生が送出機関に支払う費用の上限を1,500USドルとし、残額を日本側で負担する取り組みを複数の送出機関と検討を始めました。受け入れ企業には実習生が送出機関に支払う初期費用の一部を負担していただき、監理団体も送出機関運用費用とし送出管理費を増額する仕組みです。いずれは、実習生が負担する手数料がゼロになるよう目指しています。 近々、この新基準での受け入れを始めるべく、すでに営業も行っている状況です。 技能実習生の失踪が問題となっていますが、フィリピンからの受け入れを行っている団体では、失踪者がほぼゼロの団体もあるので、手数料の負担額の大きさと失踪は関連があるのではないかと考えています。 行動原則2「外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます」ということについて 実習生が母国とのつながりを維持できるように、ポケットWiFiの貸し出しなど通信環境の整備を行っています。 また、ベトナムでは地震がなく、避難することも知らないため、日本では、地震の際に携帯からアラートがなることや、避難経路の周知、避難場所に直接つれて行くことも行っています。 行動原則3「外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します」ということについて コロナ禍では難しい状況ですが、以前は、実習生と受け入れ企業の方、協同組合FUJIの通訳で、地域が主催しているイベントに参加し、その地域の方たちと一緒に畑を耕し芋ほりやお花見、スポーツなどをしていました。今後は全国のNPOや大学のサークルなどと連携して実習生の地域社会への溶け込みを促進する活動を進めたいと考えています。この活動は、優良団体として必須の活動のため、受け入れ企業にも実施していただくように働きかけています。 行動原則4「外国人労働者の能力開発に尽力します」ということについて 日本語の習得も、母国への帰国後に実習生たちの職業人生に大きく役立つものと考え、日本語習得のサポート体制を構築しています。 受け入れ企業ごとに、実習生のシフトに合わせて、実習生に対するオンラインの勉強会を開催してサポートしています。 そのほか、外国人労働者向けのショート動画がたくさんアップされている株式会社soeasyさんの動画ツールsoeasy buddyを活用しています。協同組合FUJIでも、さまざまな言語の通訳スタッフが、あいさつの仕方、「危ない」、「痛い」などの日本語をショート動画にしてアップし、実習生がその動画を見て勉強できるツールを開発しています。 Q:コロナ禍における課題や問題などはありますか? いくつかの受け入れ企業で、実習生を雇用できなくなったことがありましたが、幸い、他の受け入れ企業や知り合いの監理組合などに相談し、ほぼすべての実習生の転職先を見つけることができました。さらに、他の監理団体からも、600人ほどの実習生の再就職先についての相談があり対応をしているところです。 Q:実習生と受け入れ企業とのトラブルの解決はどのように行っていますか? 受け入れ企業側には、同じ日本人として思いやりをもって実習生に接してほしいと思いますし、実習生の言い分もすべて正しいわけではありませんが、コミュニケーション不足でミスマッチが起こることも多いため、現場に行き、実習生と受け入れ企業の両者の話をしっかり聞いて、それぞれ改善すべき点は改善していただくようにしています。どうしても、雇用する企業側は強い立場にありますので、どちらかというと、実習生の立場に立って、目線を合わせて話をすることを心がけています。 Q:JP-MIRAIに期待していることはありますか? JP-MIRAIでは、手数料問題勉強会を4回にわたって開催されていますが、この問題は、どこか1か所だけに問題があるということではないため、制度の根本的な改善の提言をしていただきたいと思っています。JP-MIRAIに加盟している団体はSDGsを含めた問題解決を適切に行っている団体の証になるようなプラットフォームを目指していただきたいと思っています。 続いて、協同組合FUJIさんの紹介を頂き、いすゞエンジン製造北海道株式会社で2019年から働くベトナム人のVI VAN TRUONGさんにもオンラインで取材を行わせて頂きました。 <VI VAN TRUONGさん> インタビューには協同組合FUJIのNGUYEN THI PHUONGさんにも立ち会い頂き、取材をサポート頂きました。 Q:なぜ日本で働きたいと思ったのですか? 日本は先進国で先進技術を持っているということを聞いていました。新しいことを体験したい、勉強したいと思ったので2019年に日本に来ました。 Q : いすゞエンジンで働いて、期待通りの経験をしましたか? 思った以上の経験はありましたか? 工場の最新の設備に驚きました。機械とかロボットとかに驚きました。 Q : いすゞエンジンで実習生として働く中で問題があったことはありますか? 協同組合FUJIに相談しましたか? 協同組合FUJIはどのようにあなたをサポートしましたか? いすゞエンジンの工場に来て、最初に困ったのは機械の操作です。ベトナム語版の作業手順書を頂いたのですが、タッチパネルには日本語の説明しかないので最初は協同組合FUJIのフォンさんに横にいてもらい翻訳してもらって教えてもらい、機械の操作を理解しました。 ほかにも、日本の生活習慣がベトナムと違うので困惑することがありました。車が道路の左側を通るとかごみの分別の習慣とか。 協同組合FUJIのフォンさんは、みんなに説明会を開いたり、月1~2回工場の現場に来てくれて困ったことがないか尋ねてくれたり、Facebookでいつでも困ったことに関して質問に答えてくれます。いすゞエンジンにも生活指導と技術指導の方がいるし、工場に通訳の人もいてお世話になっていますが、フォンさんにはいつもサポートしてもらっています。日本語も今は自分で勉強していますが、協同組合FUJIさんに日本語の勉強の資料をもらって勉強しています。 Q : 日本に来る前に知っておくべき情報はありますか? 日本の文化、地域の風俗や生活習慣を来日前に知るべきだと思います。 Q : ベトナムでの研修中に何か問題に遭遇しましたか? 日本語の勉強が大変でした。ベトナム語と全然違います。最初は漢字が全然覚えられませんでした。 Q : 外国人労働者を受け入れる日本の企業や組織に何を期待しますか。 外国人に対して思いやりの感情を持ってもらいたいです。文化も生活も全然違う国で働くといろいろ困ったことがありますし、特に言語に関しては誤解されていると感じることもあります。日本と外国との文化の違い、外国で働く労働者の環境を受け入れ企業側も理解してほしいと思います。 Q : 社外の外国人労働者と接触はありますか? ベトナムにいたころからの知り合いがいます。休みの日は工場以外のそういった友達と遊びます。 Q : 外国人労働者の観点から、JP-MIRAIに何を期待しますか? 外国人労働者の職種に関するアンケート・調査を行ったり交流イベントを開催したりして外国人労働者と企業がお互い理解しあえるようにしてほしいです。ベトナム人はFacebookを良く使っているので、Facebookを活用してほしいです。 <コラム:JP-MIRAI会員としての、今後のさらなる「外国人労働者と企業がお互い理解しあえる」社会の実現に向けての取り組み~協同組合FUJIより> 協同組合FUJIとしては、活動計画にも掲げているとおり、地域イベントへの参加を気兼ねなくできるように、組合職員が言語支援(通訳)として同行を予定しています。 この、地域イベントに組合職員が言語支援(通訳)として同行する活動は受入企業へもアナウンスし、地域社会・受入企業・訪日外国人のコミュニケーションの場となるように計画しております。 また、日本の若者と訪日外国人のそれぞれが交流できる場の企画も予定しており、主に大学のサークルや、NPO法人等と連携し、職場・地域社会・国籍に囚われずに、相互理解を深める事を目的とします。 また、受入企業のいすゞエンジンは敷地内での家庭菜園を行ったり登山企画や週に数時間も終業時間内に検定対策の勉強、指導を行ったり、ゲームを交えた日本語勉強会なども行っています。 協同組合FUJIの皆様、TRUONGさんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いて頂きました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。 <取材執筆協力 株式会社クレアン 秋山映美・岸田匡>...

本企画では、毎月1回会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。 第3回に登場するのは、久健興業株式会社の山口健社長で、企業会員としてJP-MIRAIに参加されています。 久健興業株式会社は、北海道千歳市にある建設会社で、土木建設工事、一般住宅の新築・リフォーム工事、仲介や売買を中心とした不動産業を幅広く行い、現在、従業員は50人で、そのうち、24人のベトナム人技能実習生が建設現場で働いています。また、山口社長は、監理団体である北海道技術支援協同組合の代表理事や一般社団法人北海道鳶土木工業連合会の理事としても、適切な技能実習生の受入れや、日本に受け入れた技能実習生の技術向上などに取り組まれています。 久健興業株式会社 https://www.hisaken.co.jp/ <山口健社長> 4月の中旬、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 Q:外国人労働者を採用するきっかけについて教えてください 人手不足で悩んでいたところ同業者に技能実習制度を紹介され、2017年1月から受け入れを開始しました。受け入れ前は、単価も安く、外国人を雇用するのがはやっていると聞いていたので、軽い気持ちでベトナムに行き、技能実習の希望者と面接を行いました。 面接の際も、最初は、採用してあげると上から目線で見ていたのですが、私から「日本に来てしたいことは何か」と聞いたとき、希望者から「チャンスをつかみたい」と言われたことにより、このような態度でいてはだめだ、実習生の将来を考える責任があると感じました。 この時、18歳の時に父を亡くし貧しかったころのことを思い出していました。当時、高校を中退し23歳で独立した経験から、このような思いに至りました。 Q:外国人労働者(技能実習生)を受け入れている中で課題と感じていることはありますか? 言葉の壁が一番の課題と感じています。ベトナムで面接後、半年間、現地で日本語を勉強して来日しますが、現地では教員もベトナム人なので、技能実習生は来日時に、十分に会話ができない状況です。 建設業は危険な作業もあるため、「危ない!」とすぐに反応しければならない時があるので、言葉の壁は問題になります。業務の中で必要な言葉は、現場で最初に伝えていますが、それ以外にも、送迎の車の中や休憩時間などに、前の晩の食事の話や家族のことなど、積極的に日常会話をしています。 制度面では、技能実習生が第3号技能実習に変わる時の試験の内容が難しすぎること、練習問題がないことなどが課題と感じています。 Q:責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)は、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」の実践を呼び掛けていますが、技能実習生の受け入れ企業としての心構えや気を付けていることなどはありますか? ①「関係法令を遵守します」ということについて たとえば、残業代が払われていないのではないかというようなことについて、疑われるような行動はとらないということを心がけています。あなたたちを絶対にだまさないという態度を示し、ここに身を預けても大丈夫だという信頼関係を築くようにしています。 ②「外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます」ということについて 1期生(5年目の実習生)が4人いるので、24人の実習生を6人ずつ4班に分けて、2期生以降の実習生が必要なこと、困っていることなどを各班のリーダーに伝えることができるような体制を整えています。さらに、各班には、リーダーの実習生が、相談しやすいなどの理由から指名した日本人従業員をメンターとして配置して、いつでも相談できるような、要望を聞けるような体制にしています。これまで、追加の自転車や扇風機などの要望があり対応してきました。 ③「外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します」ということにについて 技能実習生に一方的に日本語を教えるというのではなく、日本人従業員も、技能実習生からベトナム語を教えてもらい、お互いにそれぞれの言葉を覚えて信頼関係を築くよう心がけています。私の家に実習生が遊びに来たり、従業員も、実習生の家に遊びにいったりと、同僚としての付き合いをしています。 また、法律が改正された際には、通訳の方にはいってもらい、実習生全員に雇用条件も含め改正点を説明し、毎年昇給することも伝えました。これまで失踪した実習生はいませんが、1人だけ、家業を継ぐことになり、途中で帰国した実習生がいました。帰国後も、彼と連絡を取っていたところ、昨年ベトナムで大洪水があり、彼の実家や村の人たちが被害を受けたことを知り、日本で募金を集め、彼を通じて現地に寄付をしました。彼は、現在、コロナ禍で事業が厳しくなり、もう一度日本に戻ってきたいと希望しているため、手続きを進めているところです。 ④「外国人労働者の能力開発に尽力します」ということについて 当社には、環境、技術、広報の委員会を設けており、技術委員会の中で日本語が勉強できるようにしています。また、一般社団法人北海道鳶土木工業連合会と協力して、ベトナム人技能実習生向けの「玉掛け技能講習」や「足場の組立て等作業従事者特別教育」を受講できるようにしています。嬉しいことに受講者全員が試験に合格しました。技能実習生がベトナムに戻ってからも、日本で習得した技術をいかせるようにと、現地で建設などを行っている企業と話をしているところです。ベトナムで建設事業を行っている会社から仕事を請け負い、当社から彼らに給与を払うことができるよう現地に支社を作りたいという想いもあります。1期生が終了するのは、2022年の2月ごろで、そのうち何人かは、特定技能に切り替えたいと言ってくれているので、当社にとってもベテランのスタッフが増えることはうれしいことです。 Q:山口社長は、監理団体の代表理事もされていますが、監理団体として気をつけていることはありますか? 外国人労働者は、誰でも受け入れることができるわけではありません。受入企業については、外国人を受け入れる体制ができているのかということを重視しています。 失踪の理由はほとんどが賃金や扱いに関するものです。技能実習生の状況と受入企業のミスマッチを防ぐために、飲酒や喫煙などの実習生に求める条件や、実習生が使用する部屋や家具、作業に使う道具について支給かリースかなど、企業の募集条件を最初から明確にしておくことが重要と考えています。 さらに、監理団体として、企業に対しては、何がリスクになるのかということや実習生が集まりやすい条件などを伝えるようにしています。 送り出し機関については、現地で直接訪問し、ブローカーをはさまないようにしてもらっています。ブローカーが間に入ると手数料がどんどん上乗せされてしまうため、来日するベトナム人に迷惑がかかります。そのため、ブローカーをはさむようでしたら取引はしないということを明確に伝えています。 Q:技能実習生の受け入れを始めて以降、社長以外の社員の意識の変化や、会社への良い影響はありましたか? 5年前に技能実習生を受け入れるという話をしたときには、社内では大丈夫だろうかという反応もありましたが、今では、言葉の壁さえクリアすれば関係ないという認識になりました。技能実習生を受け入れたことにより、相手に対して気持ちをうまく伝えることができるような経験ができたのは会社にとっても従業員にとってもよかったです。 Q:JP-MIRAIに期待していることはありますか? 外国人を受け入れた後に、仕事がなくなってしまうこともあり、それが失踪の原因になってしまうこともあります。そのような時に、情報が共有できたり、また、失踪の原因についても情報共有できるような仕組みがあるとよいと感じています。 続いて、山口さんの紹介を頂き、久健興業株式会社で5年近く働くベトナム人のDUONG NGOC THANHさんにもオンラインで取材を行わせて頂きました。 <現場で働くDUONG NGOC THANHさん> Q:なぜ日本で働きたいと思ったのですか? 私の家族は、昔から大変でした。日本に来る前に、先輩や先生から、日本は世界でも経済が強い国と聞いていたので、行ってみたいと思いました。たくさん働いて、お金をためて、自分の子どもも家族も幸せになりたいと思ったのです。 Q:「久健興業株式会社」で働いて、期待どおりでしたか?期待を上回る経験はありましたか? 日本人のイメージが変わりました。日本のことは、70年から80年前にたくさん戦争していたということを教えられていたので、そのようなイメージでした。 日本に来て、日本人は本当にやさしいと思いました。スーパーに行って、売り場がどこにあるか聞くとそこまで連れていってくれて、驚きました。職場の先輩もたくさん仕事も日本語も教えてくれて、うれしかったです。 日本に来たばかりのころは、私は日本語がわからないので苦労しました。今は私のようなベトナム人の先輩がいることによって、後輩は仕事がしやすくなっていると思います。 Q:日本に来る前に、知っておいたほうが良かった情報はありますか?  これから行く会社がいい会社かどうか、について事前に知ることができるといいと思います。良くない会社もあるようですが、ベトナムから日本に行く前には現在はその情報を知ることができないのです。 Q:来日前、ベトナムで研修を受けているときに、困ったことはありましたか? 半年、センターで勉強して、日本語が本当に難しかったです。それ以外は困ったことはなかったです。 Q:外国人労働者を受け入れる日本の企業・団体にどのようなことを期待しますか? 日本の会社は、外国人に対する思いやりを持ってもらいたいと思います。日本人には仕事の話しかしない人もいますが、できれば「困ったことあるの?」「なんで楽しくないの?」「家族が入院しているから寂しいよね?」と、外国人の表情を見ながら声をかけてくれるといいです。 Q:あなたは、会社以外の外国人労働者との交流はありますか? いろいろなところに行って、ベトナム人以外に、中国人、タイ人、ミャンマー人、フィリピンの人にもたくさん会いました。その時に日本語で会話して、あなたの出身地はどこですか、仕事は楽しいですか、ということを話しました。 Q:JP-MIRAIに外国人労働者の視点から何を期待しますか? 注意深く、技能実習生のことを調べてほしいです。 自分の会社ではないですが、悪い会社で働いている外国人労働者は、不満を持っていることも多いです。若い日本人が日本語をわからない外国人をいじめている、そんなことを聞くこともあります。思いやりのない若い日本人が、外国人労働者の悪口を話しているということもあります。このような状況をJP-MIRAIに調べてほしいと思います。 山口さん、THANHさんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いて頂きました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。 <取材執筆協力 株式会社クレアン 秋山映美・岸田匡> *山口社長のインタビューについては右リンクでもご覧頂けます。 https://creators.yahoo.co.jp/kishidahirokazu/0200089407...