受入企業・団体等の認証について考える研究会第3回「民間企業の取組みとJP-MIRAIの役割」開催報告

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望ましい外国人労働者の受入れには、適切なステークホルダーとの連携が必要である一方で、その探し方、連携関係の構築が難しいといった課題があります。JP-MIRAIは、外国人労働者の雇用や受入れに関して望ましい行動をとっている企業や団体等が選ばれやすくなるための仕組みとして、認証制度の活用を検討する研究会、「受入企業・団体等の認証について考える研究会」を開催して参りました。この度、その最終回として第3回「民間企業の取組みとJP-MIRAIの役割」を開催し、52名の方にご参加頂きましたので、その内容をご報告します。

●まず、本セミナーの冒頭では事務局より今までの研究会の振り返りを行いました。
第1回研究会では、既に認証制度を運用されている自治体や業界団体にご参加頂き、外国人労働者に係るステークホルダーのコンプライアンス遵守は認証の前提要件であることが統一的な見解として示されました。その上でコンプライアンス違反の実態を把握することが困難であるとの課題への対策として、例えば、加入前に誓約書の提出を義務付けるといったような取り組みをご紹介頂きました。他方、自治体・業界団体による認証制度の目的は違反者の摘発ではなく、例えば自治体であれば、同自治体内企業の外国人労働者の適切な受入れ環境の向上であることが共有されました。そして、JP-MIRAIによる認証制度については、特に個々の取組みだけでは解決できないような手数料問題等に関連した項目を含めて新たな認証制度として設計することへの期待をお寄せ頂きました。

第2回研究会では、国際基準による認証や評価制度について関係企業よりご紹介頂き、その理念や活用メリットについての情報共有を行いました。外国人労働者に選ばれる日本になるためには、日本の基準のみならず、国際的に認められた厳格な基準を満たすことを示す必要があるということ、そのうえで、適切なサプライチェーン管理を推進するためには、バイヤーからサプライヤーに対しての、認証に取組むメリットを丁寧に説明するといったエンゲージメントが必要不可欠であることが報告されました。グローバルスタンダードを目指すためには、人権意識の向上と、バイヤーとサプライヤーが一体となった取り組みを継続することが非常に重要であるということが示された研究会となりました。

●続いて、民間企業の取組みに関して次の2名のゲストをお招きしてお話をお伺い致しました。

①受入れ企業チェックシートについて
株式会社One Terrace 取締役 阿久津 大輔 様

最初に、株式会社One Terraceの阿久津様より受入れ企業向けの日本法ならびに国際法規が基礎となる外国人雇用管理アセスメントとその雇用管理チェックリストをご紹介頂きました。
このアセスメントが誕生した背景として、外国人雇用管理に関して、第三者評価によって外国人材を適正に登用する企業であることを証明する必要性の高まりがあるとのお話がございました。その理由として、①一部の企業における対応や人権問題により企業全体が社会から厳しい目にさらされる環境に置かれていること、②企業の社会的責任が問われる時代になり、その対応次第で企業の成長ドライバーでもある外国人材から選ばれなくなる可能性があること、の2点が挙げられました。
本アセスメントを通じて企業は社会的な信頼を獲得するだけでなく、問題の早期発見や継続的な改善に繋げられるとのことでした。直接的なメリットとして、①外国籍社員や従業員が適正雇用企業であることを認識できる、②責任者が外国籍社員の登用や活躍支援を推進しやすい環境になる、③第三者機関により適正雇用事業者であることが証明されること、が挙げられました。間接的なメリットとして、①社会的信用が増し、企業イメージが良くなる、②社会課題への対応ができる、③レピュテーションリスクを低減しガバナンス強化に繋がる、とのお話がありました。
また、本アセスメントの具体的な内容として、導入企業のニーズ(「自社管理」「子会社管理」「取引先管理(サプライチェーン)」「フランチャイズ管理」の4点)に対して7つの調査項目(①採用②労務③人事制度④人材マネジメント⑤働きがい⑥人権⑦社内合意)と40の小項目を、事前アンケート・実地調査等を通じて行っているとのご紹介がありました。アセスメント後は、調査報告書をまとめ、S、A、B、C、Dの5段階で評価を行い、B以上(S、A又はB)の評価を得た企業を適正雇用が行われているとして、1年更新で認定証を発行しているとのことでした。

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②外国人雇用に関する認証制度等の構築支援について
株式会社ワールディング マネージャー 池邊正一朗 様

次に株式会社ワールディングの池邊様より外国人雇用に関する認証制度等の構築支援、具体的には、同社による「雇用ガイドライン策定支援」とそれに係る「受入基準制定・運用支援」についてご紹介頂きました。
支援にあたっては、基準を満たすための実施推奨施策を案内することを重視されているとのことでした。実際に、ガイドライン策定の支援を行ううえでは、主体者、例えば、受入企業、ライツホルダー、自治体、日本政府等によりぞれぞれの目的があるため、「誰の目線でガイドラインを策定するか」が重要あり、多様な視点を加味して基準となるKPIを設定する必要があるとのお話がございました。
適切な受入基準の制定に向けてのポイントとして、受入企業とライツホルダーの2つの目線からのお話を頂きました。まず、受入企業目線として、主な課題を2点共有頂きました。1点目は、企業の理念・経営理念実現のための行動指針に即した「受入基準の制定」、2点目は円滑な外国人活用、不測事態への即時対応を実現させるための「情報・ノウハウの集約」です。これらは非常に多くの企業が直面している共通課題であるとのお話がありました。次にライツホルダー目線として、国際的規範・ガイドラインにいかに準拠できているかがポイントであるとのお話がございました。その例として、英国の「ビジネスと人権研究所(IHRB)」主導で作成されたダッカ原則を基準として、ベトナム人技能実習生247名に対してアンケート調査を実施したところ、「費用徴収」や「労働組合に入る権利」そして、「グリーバンスメカニズムの整備」といった点が不十分との結果になったとの報告を頂きました。また、遵守が軽視されがちなコンプライアンスとして、「日本語学習機会の提供とその範囲」、「寄宿舎規定」、「監理団体・登録支援機関の選定」があるとのことでした。最後に、ライツホルダー及び投資家として、「人的資本可視化のための開示事項の設定と開示」が重要とのお話がありました。これらを踏まえたうえで認証制度を検討することも可能ではないかとのご示唆を頂きました。

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●次に、JP-MIRAI事務局より現在検討中の認証制度についてご説明しました。本認証は、外国人労働者を適正に受け入れようとする団体等のインセンティブを高めることを目的としていること、認証制度構築にあたっては様々なステークホルダーの皆様と協働するほか、既に認証制度を運用している自治体・業界団体・民間企業とも連携を図ることで信頼性や知名度の向上を目指すことをご説明しました。また、本認証の基本的な方向性として、法令順守状況を中心に適格性を確認する基本認証を中心とすることで、大企業のみならず中小企業の皆様にも取組みやすい内容とすることをお伝えしました。
さらに、認証制度とあわせて、外国人労働者に適切な情報を提供すべく、JP-MIRAIポータルと連動し、母国語で、外国人労働者に法令順守状況を質問する、外国人労働者向けセルフチェックシートの導入を準備していることをお伝えしました。

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●続いて、新たにゲストを2名お招きして、パネルディスカッションを行いました。まず、冒頭でゲスト2名よりそれぞれのお取り組みをご紹介頂きました。

群馬県 地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課 外国人活躍推進係長 後藤 昌宏様
群馬県の後藤様からは、群馬県多文化共創カンパニー認証制度についてご紹介を頂きました。
「多文化共創カンパニー認証制度」は、外国人労働者受け入れに関して、特に優れた取り組みを行う事業者を認証すること、そして、その取り組みを国内外に情報発信をしていくことがセットになった認証制度であることをご紹介頂きました。また、この認証制度の普及を通じて、県内企業に対しては、外国人材が活躍できる働く場づくりのヒントとして頂き、一方で外国人材に対しては、群馬県に活躍できる環境が整っていることを知り、群馬県を働く場として選んでもらうことを目的に取り組んでいるとのお話を頂きました。

アジア技術交流協同組合 代表理事 下茅 亮様
次にアジア技術交流協同組合の下茅様より、監理団体のお立場からお話を頂きました。
外国人受入れに携わる監理団体・登録支援機関等が急速に増えている一方で、人権に特化した指標が無いことについて問題提起を頂きました。これらの課題を解決するため、また、外国人労働者の方が団体を見分けるための印が必要とのご意見を頂きました。

続いて、以下のパネリストによるパネルディスカッションを行いました。
パネリスト①
群馬県 地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課 外国人活躍推進係長 後藤 昌宏氏
パネリスト②
アジア技術交流協同組合 代表理事 下茅 亮氏
パネリスト③
株式会社One Terrace 取締役 阿久津 大輔 氏
パネリスト④
株式会社ワールディング マネージャー 池邊 正一朗氏
パネリスト⑤
JP-MIRAI事務局 宍戸 健一
モデレーター
JP-MIRAI事務局 秋山 映美

1つ目の議題として、コンプライアンス違反に対する対応方法について意見交換を行いました。参加者からは法令遵守は認証を受けるうえでの最低基準であるとの見解が示されました。また、ワンテラス様、ワールディング様におかれましては、コンプライアンス違反を確認した場合について、改善提案報告書にてフィードバックを行い、適正化に向けて伴走支援を行っているとのことでした。また、ワールディング様からは監理団体のコンプライアンス状況を確認する方法として「外部監査報告書」「事業報告書」「(監理団体の)優良要件適合申告書」を求めるべきではないかとのアドバイスを頂きました。

2つ目の議題として「手数料問題」について意見交換を行いました。参加者からは手数料問題は複雑であり、センシティブな問題であるとの声がありました。例えば、教育費と手数料の区分基準の設定の難しさや、手数料をゼロとした場合の必要経費の負担を誰が担うのか、といった点で議論がありました。そのうえで、サプライチェーン全体で適切にコスト分散しているかどうかを認証基準の1つに入れることは非常に有益とのお話を頂きました。

3つ目の議題として日本全体で外国人労働者の受入れ環境を向上するという観点から、JP-MIRAI認証はどのような水準で行っていくべきか、について議論を行いました。参加者からは「最低限のコンプライアンス確認であれば、定期監査を実施している監理団体を認証審査機関として活用できるのではないか。」「監理団体に丸投げにならないように受入企業を巻き込んだ取組みが必要なのではないか。」「監理団体だけがチェック機能を持つのではなく、第三者機関が別の視点でダブルチェックすることが有効ではないか。」等のご意見を頂きました。

4つ目の議題として参加者それぞれのお立場からJP-MIRAI認証の構想についてご意見を頂きました。全体として、認証制度やそれに紐づくチェックシートは受入企業・支援機関・外国人労働者にとってもコンプライアンスを再確認する良い機会になるのではないかとの前向きなご意見を頂きました。

そして、今後更なる検討を進めるうえで、下記の通り具体的なアドバイスを頂戴いたしました。
<認証制度全体について>
・認証の仕組みの中に監査等も含む非常に重いチェック項目があることから、「認証取得のメリット」を明確に打ち出すことが重要である。
・「認証取得のメリット」はブランドだけでなく、入管手続きの簡易化や、送り出し機関からの優先的な人材確保、企業単独での技能実習生の受入れ等の具体的なメリットとなるものが実現できると望ましい。
・この認証は海外での採用活動に非常に有効となる可能性がある。海外での認証の普及に向けた仕組み作りが重要である。
・外国人労働者の受入れに関わる多くの団体が参加できるよう費用負担を下げる仕組みを検討したうえでの価格設定が必要である。
・自治体との連携にあたっては、既存の認証制度とJP-MIRAIの認証制度が同一の目的、方向性が担保できるか、また実現可能な実施体制の調整ができるのかが重要である。

<セルフチェックシートについて>
・外国人労働者向けセルフチェックシートに関しては、対象が外国人という特別視した設問を検討するのではなく、一度日本人に置き換えて、導入した場合にはどのような影響が出るのかを経営者目線で検討することで新たな課題がみえてくるのではないか。
・チェックシートの設問は曖昧にせず、具体的な例示等を示しながら明確化する必要がある。
・より多くの監理団体に参画頂くためには企業向けセルフチェックシートに「認証を受けた監理団体を通して受け入れているか」、監理団体向けには「認証を受けているか」等を設問に入れることも一案ではないか。

群馬県 地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課 外国人活躍推進係長 後藤 昌宏氏の資料はこちら

アジア技術交流協同組合 代表理事 下茅 亮氏の資料はこちら

●研究会終了後の参加者からのアンケートでは「認証制度は非常に意義のあることだと感じた」「地方自治体でも利用できる制度の完成を期待している」「第三者認証としての信頼性の担保やメリットが必要」「監理団体の選定等を含めて、グループ会社に任せきりになっている企業が多いとの指摘から大きなヒントを得た」という声を頂きました。

第3回「受入企業・団体等の認証について考える」公開研究会にご参加くださいました皆様、ありがとうございました。本研究会の全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。

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適切な外国人雇用には正しい労務知識が必要不可欠であることから、JP-MIRAIでは、全国社会保険労務士会連合会と共同でセミナーを開催し、116名の方にご参加頂きました。本セミナーでは日本の労働・社会保障制度及び人事・労務管理の専門家としての社会保険労務士(社労士)の役割、「ビジネスと人権」に関する社労士会連合会の取組み、そして社労士の取組み事例をご紹介頂きました。 社会保険労務士の役割と全国社会保険労務士会連合会における「ビジネスと人権」に関する取組みについて 全国社会保険労務士会連合会副会長 河村卓様  まず最初に、全国社会保険労務士会連合会副会長河村卓様より社会保険労務士の役割についてご紹介を頂きました。 社会保険労務士は、①社会保険制度の健全な運用を促進するために、手続きを正しく進めるための支援を実施し②労務管理の専門家として、企業の人事に関する課題について、相談に応じ、助言を行う専門家とのことでした。 いずれの役割においても、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを使命として全国で4.5万人もの社労士の方が活動されているとのことでした。また、その活動の範囲は労働関係法令の遵守といった最低限の労働環境の確保にとどまることなく、労働環境の構築を支援することで、「人を大切にする企業づくり」、ひいては、「人を大切にする社会の実現」のために活動しているとの力強いメッセージを頂きました。 また、「ビジネスと人権」に関する取り組みについては地域や事業規模にかかわらず取組む必要があるとの認識を共有頂きました。そして、「ビジネスと人権に関する指導原則」に取組むことは企業の社会的責任であり、自主的な取組みを行うことでイメージの向上にも資するが、これをおろそかにすると社会や社内からの信頼を失う可能性があるとご指摘頂きました。同指導原則への取組みを通じて、企業活動の質的な転換が遂げられるため、企業はこれを遵守する必要があるとのご示唆を頂きました。企業と伴走する社労士においても「ビジネスと人権」に係る知見を高めていく必要があるため全国社会保険労務士会連合会は社労士育成のプログラムを構築し、実施しているとのことで、プログラムの概要についてご紹介をいただきました。 https://youtu.be/X8x5iYbWSWs 資料はこちら 社会保険労務士の「ビジネスと人権」(人権尊重経営)へのご支援事例 全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバー  薦田勉様 続いて、「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバーの薦田様からは人権尊重経営に関して企業から実際に求められた支援事例についてご紹介頂きました。 まず、自身のご経験をもとに具体的な企業支援に至るまでの過程についてお話を頂きました。当初は「ビジネスと人権」に関する行動計画(National Action Plan:NAP)をはじめとして中央省庁や経済団体からの情報を研究され、その学びを通じて、「『ビジネスと人権』を一括りとして捉えないと理解が進まない」と考えるに至ったそうです。また、並行して外国人労働者に係る企業の実態調査を進められた際の経験談について、具体的な例示をお示し頂きながら、お話頂きました。 そして、実態調査の結果として、「ビジネスと人権」に関する企業の認知度は低い状況にあり、企業によっては実際に発注元から人権デューデリジェンスへの対応を求められた経験もあるものの、その取り組みが必要な背景や理由までは発注元から説明がなされていなかった様子もあったそうです。こうしたご経験から、「なぜ人権デューデリジェンスへの取組みが重要なのか」、「なぜ人権方針を策定するのか」「具体的な人権侵害とは何なのか」等を発注元が発注先に丁寧に説明し、相互のエンゲージメントを強化していくことが重要であるとのご説明を頂きました。 企業が人権デューデリジェンスにかかる取組をはじめる際に最も分かりやすいツールとして、日本繊維産業連盟の「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」(日本繊維産業連盟 (jtf-net.com))をご紹介頂きました。付属のチェックリストを活用することで自社の状況を把握する助けになるとのことでした。 企業の中には自社は常に大手企業の発注先でしかないという認識をもっている方が多くいらっしゃるものの、実はサプライチェーン全体でみると、発注元となる可能性も十分にあるとの認識を持って取組を検討する、その際に国際基準についても勘案することが必要ではないかとのお話を頂きました。 そして、発注元による発注先に対する人権リテラシーを高める努力を行う中でも、人権侵害は現場で発生することもあり、人権教育にかかる支援をする際には、経営層のみならず、現場社員へのアプローチも重要であり、それによって当事者意識の醸成と、企業の裾野にかけての取組み促進により、サプライチェーン全体としての意識向上に繋がるとのご見解をお話頂きました。 https://youtu.be/KR44yC6WMII 資料はこちら 続いて、以下のパネリストによるパネルディスカッションを行いました。 全国社会保険労務士会連合会副会長 河村卓様  全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバー  薦田勉様 モデレーター:JP-MIRAI事務局 宍戸健一 一点目として、今後も増える外国人労働者の受入れに際して、今後社労士の果たしうる役割についてお伺いしました。河村様は、まず、「外国人であっても日本人であっても、日本の企業で働くうえでは労働基準に差がついてはならない」と強調されたうえで、「ビジネスと人権」への取組みを契機として自社内の全ての労働者に適用される労働法規の確認を行い、そのうえで外国人材と日本人の違いを理解することが必要であるとのご意見を頂きました。そのうえで経営層と従業員の対話と意思疎通が大切であるとお話頂きました。 二点目に、「ビジネスと人権」に対応する社労士の規模についてお伺いしたところ、今後の社労士会の取組みとして、労務管理の専門知識に国際基準を取り入れ、研修システムを構築・活用して2年間で600名程の「ビジネスと人権」に対応できる社労士を育てたいとのお話を頂きました。また、サプライチェーンが深くなるほど、現場の企業に近い社労士が果たす役割が大きくなることが想定されるため、専門の社労士を各地の社労士会で探してもらえる仕組みづくりをしたいともお話を頂きました。 三点目に、人権デューデリジェンスに関して企業から問い合わせがあった際に、社労士としてどのように具体的なアプローチをされるのか、お話を頂きました。経営層と二人三脚で歩みを進める社労士として、役員会等で「ビジネスと人権」に関する情報提供を行い、取組みの必要性を認識頂いて、人権侵害のリスクを洗い出して、計画を立てて実行する、PDCAのプロセスの支援をされているとのことでした。 四点目として、企業や社会に対して「ビジネスと人権」について啓発するためには、企業においては人権侵害が発生しやすい一般社員を含めた現場での浸透、社会においては教育現場において人権に関するリテラシーの向上を図ることが重要であることをお話頂きました。 五点目に、労働法違反が散見されるなか、社労士による労務監査的なアプローチが必要なのではないか、とのご意見があったことについて、薦田様からは、日常的に労務監査は実施しており、指摘も伝えているが、公的な権限はなく、企業に検証の機会を提供するに留まるため、最後は企業次第となる、とお話頂きました。他方、また発注元からの問題点の指摘によりすぐに是正された例もあり、発注元の後押しが重要なケースもあると共有頂きました。 https://youtu.be/i3vbTeoqKjg 今後も同じ目標をかかげる全国社会保険労務士会連合会との連携を模索しながら、地域や事業規模に係らず、多くの企業が「ビジネスと人権」に取組める仕組み作りをJP-MIRAIとして検討して参ります。 当セミナー「全国社労士会×JP-MIRAI ~外国人労働者の適正な受け入れに向けた協業の可能性について」にご参加くださいました皆様、ありがとうございました。本セミナーの全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。なお、動画・資料に関しては2023年5月31日までの公開とさせて頂きます。ご了承のほどお願いいたします。...

2023年1月24日(火)に新体制にて2023年第一回専門家委員会・アドバイザリー・グループ会合を実施致しましたのでご報告申し上げます。<開催概要>●日時:2023年 1月 24 日(火) 13:00~14:30●場所:JICA本部(竹橋)及びオンライン(Zoom)●出席者(敬称略)(1)アドバイザリー・グループ田中 賢了  国民生活産業・消費者団体連合会、事務局長富吉 賢一  日本繊維産業連盟、副会長氏家 啓一  一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、事務局次長工藤 尚美  株式会社オリジネーター、取締役専務執行役員/一般社団法人外国人雇用協議会、理事※オブザーバー:鈴木 啓 株式会社良品計画、常勤監査役(2)専門家委員会山田 美和  日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所、新領域研究センター長万城目 正雄 東海大学教養学部、教授大辻 成季  日本労働組合総連合会東京都連合会、地域局次長フィ・ホア  ONE-VALUE株式会社、代表取締役※オブザーバー:平川 秀行 全日本金属産業労働組合協議会、事務局次長/国際局長(3)事務局宍戸 健一  (一社)JP-MIRAI サービス、理事/JICA、理事長特別補佐 青山 伸   (一社)JP-MIRAI サービス、事務局長/トヨタ自動車株式会社中尾 洋三  (一社)JP-MIRAIサービス、アドバイザー福田 茂樹   JICA、国内事業部長小林 洋輔   JICA、国内事業部外国人材受入支援室長礒貝 白日   JICA、国内事業部外国人材受入支援室副室長杉田 昌平   JICA、国内事業部国際協力専門員<議事概要>冒頭に事務局より、JP-MIRAIの2023年活動方針及び活動計画を、①2023年活動方針および活動計画の全体像、②『ビジネスと人権』における協働の取組み、③学びあいと内外への発信、の三点を中心に説明し、各委員より以下のコメント・助言を頂きました。① 2023年活動方針および活動計画について ・相談救済事業の稼働と、人権デュー・ディリジェンスの取組強化が大切。 ・認証制度がウォッシュに利用されないように、議論を尽くすべき。 ・サプライチェーンの中でも、ブランドホルダーから遠いところに問題がある可能性がある。 ・相談・救済事業の企業ロットでも、賛同者の資金をまとめ、一般外国人の方向けの支援が出来ると良い。 ・外国人ユーザーの視点から事業を組み立てれば、企業からの賛同にもつながる。 ・安全衛生に関する相談が深刻なため、就労環境や生活環境をしっかり確認すべき。 ・技能実習制度、特定技能制度の見直しに合わせてアシスト事業を展開すべき。 ・似た取組をする団体との共働も検討すると良い。② 『ビジネスと人権』における協働の取組みについて ・外国人材の目線を大切にし、救済措置として届く仕組みになっているかの検証が必要。 ・中小企業に対する「ビジネスと人権」やJP-MIRAIの活動周知が大切。 ・企業の内部通報制度への移行時は、相談者の意向をよく確認するべき。 ・外国人労働者の権利を守るというJP-MIRAIの本来の趣旨の基本にたち、外国人労働者がどのようにJP-MIRAIを信頼できるのかを考え、   権利侵害を防止する、救済する仕組みとして機能しているのか常に検証していくことが必要。 ・各取組みの名称は、誤解を与えない工夫が必要。 ・認証制度は中小企業による利用を促す工夫をすべき。 ・国際基準にも対応可能な認証制度にすべき。以上...

※「2023年企業協働プログラム」に関する質疑応答セッションを3月1日、8日に開催しますので、本報告の最後をご参照ください。 日本政府は、2020年10月に「ビジネスと人権に関する行動計画(2020-2025)」(通称:NAP)を策定し、企業に対して「ビジネスと人権指導原則」やその他関連する国際的なスタンダードを踏まえ、『人権デューディリジェンス』のプロセス及び『救済メカニズム』へのアクセスを導入することを期待しています。その後、経済産業省や経団連などからガイドラインが出されるなど、国内での取り組みが加速しています。 JP-MIRAIは2022年5月から「外国人労働者相談・救済パイロット事業」を実施し、企業のビジネスと人権の取組みをサポートしてきました。この経験及び企業や有識者の意見を踏まえ、2023年からより総合的に企業を支援する「企業協働プログラム」を展開することとしました。今回は、2023年2月3日に有識者を交えて実施し、約140名の方々にご参加いただきましたJP-MIRAI「2023年企業協働プログラム」発表イベントの様子をご報告いたします。 ●まず、本イベントの冒頭に、事務局を代表して一般社団法人JP-MIRAIサービス 代表理事 の矢吹公敏より開催にあたりご挨拶を述べました。 ・JP-MIRAIは2020年の設立以来、多くの会員の皆様と外国人労働者の課題解決のために活動をしてきた。JP-MIRAIポータル、相談救済窓口であるJP-MIRAIアシスト、交流アプリのJP-MIRAIフレンズといったコンテンツの開発や様々なテーマの研究会、勉強会を開催してきましたが、皆様の日頃のご協力に感謝の意を述べたい。 国連のビジネスと人権に関する指導原則への注目が高まっているほか、日本政府も責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを昨年発表した。 日に日に、企業の人権デューディリジェンスへの要求は高まっている状況の中で、JP-MIRAIは、今後も企業と外国人労働者をつなぐ役割を果たしていきたいと考えている。 また、6月には組織を一般社団法人化し、より多くの方に参加していただくことで、更なる課題解決を図っていきたい。 https://youtu.be/HiOFcP8lRHY ●続いて、来賓の一般社団法人日本経済団体連合会 SDGs本部長の池田三知子様よりご挨拶をいただきました。 ・初めに、JP-MIRAIの「責任ある外国人労働者の受入れ企業協働プログラム2023」の始動を大変心強く思っている。経団連では2017年に企業行動憲章を改定した頃から、ビジネスと人権に関する自主的な取り組みを推進してきた。近年国内外でビジネスと人権の状況が急速に変化しており、企業に対して人権の取り組み強化を求める動きが加速している。 そこで、経団連では2021年に「企業行動憲章 実行の手引き」の「第4章 人権の尊重」の内容を見直して充実させるとともに、「人権を尊重する経営のためのハンドブック」を新たに作成した。ハンドブックにおいて、グローバルサプライチェーンにおける人権リスクを紹介しているが、いわゆる移民労働者は人権リスクが高いと認識されており、日本の外国人技能実習制度は世界から注目されている。 企業が外国人技能実習生を責任もって受け入れることは重要であり、日本の信頼向上にも資するため、セクター横断で連携しながら知識や情報を共有し、効果的措置を拡大していくことが今後も必要と考えている。 企業が人権デューディリジェンスを行ったとしても、人権リスクを完全になくすことはできないため、実効的な苦情処理メカニズムの構築が必要となる。その点で、JP-MIRAIポータル、フレンズといった人権リスクの早期発見・対応、また協働的な苦情処理メカニズムに期待している。 JP-MIRAIが外国人労働者を責任を持って受け入れるプラットフォームとして国内外から認知され、日本の信頼向上につながることを期待している。 https://youtu.be/6KF-UTMQgNM ●続いて、JP-MIRAI事務局のJICA理事長特別補佐 宍戸健一よりJP-MIRAI「責任ある外国人労働者受入れ企業協働プログラム」の説明をいたしました。 ・現在企業の人権デューディリジェンスの取り組みとして、監査やサプライヤーアンケートが行われているが、潜在的な人権リスクを把握することやPDCAを回すことが難しいという課題がある。また、苦情処理に関しては内部通報制度やサプライヤーホットラインを運用している企業が多いが、サプライヤーや製造委託先に通報システムがなく、サプライチェーン全体のリスクマネジメント管理ができないこと等の難しさが存在している。 約100社の関連法人の約2000人の外国人労働者を対象に一年間救済パイロット事業を行ったが、労働者からの相談が少しずつ増えている状況であり、また伴走支援・ADRの利用実績はない。救済パイロット事業から得られた教訓として、ブランドホルダー(BH)企業がサプライチェーン企業の理解を得ることが難しいことや、情報漏洩への懸念、企業毎のサプライチェーン管理方法の違い等があった。 JP-MIRAIでは、企業・団体支援、JP-MIRAIアシスト、外国人労働者セルフチェックシート、JP-MIRAI認証等により、企業の国内サプライチェーンにおいて、外国人労働者の課題解決をサポートしていこうと考えており、今回のプログラムの開発に至った。 プログラムの特徴は以下の通り。 ・本プログラムは三種類ある(責任あるサプライチェーン管理基本プログラム、責任あるサプライチェーン管理拡張プログラム、企業単独プログラム)。 ・問題が発生した場合には自社及び関連法人が外国人労働者に対し不利益を被らないことを徹底する。 ・利用段階、深刻な問題発生・リスクが発生した場合は個人特定をせずに随時報告する。また、本人が希望する場合はADRを利用して事前報告する。企業には、三か月ごとに報告をする。 ・JP-MIRAIの窓口に通報された相談を企業で解決する場合は、相談者の了解を得てブランドホルダー企業の内部通報窓口につなぎ、JP-MIRAIとしては相談者への聞き取りを通じてモニタリングをする形を考えている。 ・相談窓口は特定非営利活動法人 国際活動市民中心(CINGA)に委託予定である。 ・ADRは裁判と比べて解決までの日数が短く、非公開であり、未来志向で解決を図れるという点で、本人、企業双方にとってメリットがある。ADRの利用にあたっては費用の5割を企業にご負担いただく。 ・拡張プログラムにより得た資金を使用し、現在運用中のJICAロット(外国人労働者セルフチェックシート・相談窓口)を一般版として継続する予定である。 なお、詳細につきましては、こちらよりご確認ください。 https://youtu.be/mcAnrg_sOXI ●続いて、以下のパネリスト3名によるパネルディスカッション「企業は現場でどのように取り組むべきか」を行いました。 パネリスト① 一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 事務局次長 氏家啓一様 パネリスト② トヨタ自動車株式会社 人事部グローバル労政室 室長 奥山洋介様 パネリスト③ 日本繊維産業連盟 副会長 富吉賢一様 モデレーター 一般社団法人JP-MIRAIサービス 事務局長 青山伸 ディスカッションの内容は以下の通り。 テーマ1:企業を取り巻く人権への取り組みに関する課題 氏家様 日本政府のビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)に関わっている者として発言したい。政府の一義的な人権保護の義務、企業の人権尊重の責任はそれぞれ別物であり、それをつなぐのが行動計画の役割である。2020年10月にNAPを策定したが、中身を知られておらず、存在感が薄いことは課題の一つであると考える。NAPの外国人労働者の施策を三つ紹介する。まず、国内外のサプライチェーン上の労働者のディーセントワークを実現することが盛り込まれている。六つの横断的事項の一つに外国人材の受け入れ、共生の取り組みがある。外国人技能実習生に関しては、救済へのアクセスと実践、実習先の転籍支援、保護について取り上げている。債務負担を減らす取り組み施策がないのは残念である。昨年日本政府による責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインが制定され、企業は人権デューディリジェンスの実施段階に入った。政府調達の人権デューディリジェンスの実施を入札の優遇条件とすることを検討しているとニュースに上がったので、実行に移してほしいと考える。 富吉様 日本繊維産業連盟では、昨年「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」を策定し、繊維業界はガイドライン、人権デューディリジェンスの普及フェーズに入った。策定に至った背景は、①技能実習生問題など人権に関する深刻な課題、②長年取り組んできた取引適正化、③生き残りをかけた海外展開が必須、④労働力不足への対応、の四点がある。それらの背景を踏まえ、外国人労働者の適正運用、すなわち労働コンプライアンスの確立が必要だと考え、労働者の人権に特化し、かつ中小企業を対象としたガイドラインを策定した。中小企業を対象としたガイドラインは世界初であると自負している。また、ILOの協力を得ながら具体的な解説を加えており、チェックリストを盛り込んだ点も特徴である。 奥山様 国際的な労務や人権、ダイバーシティを担当している。トヨタ自動車ではビジネスと人権は比較的新しい分野で、国際労務から派生してスタディを始め、様々なステークホルダーに導かれて国連のガイドラインにたどり着き、2019年からようやく見様見真似で人権デューディリジェンスの様なことをはじめた段階。弊社のサプライチェーンはアフリカの鉱山からアマゾンの農地まで傘が広く多岐にわたっており、人権課題の範囲も広い。現在いくつかの優先課題を取り上げて対応をしており、外国人技能実習生についても優先課題として認識している。日本国内で経済活動を守るために、産業の垣根を超えて、外国人から選んでもらえる環境を皆さんとともに作っていかなければいけないと考えている。 テーマ2:企業の取組状況とその進捗に見る難易度 氏家様 GCNJのSDGs進捗レポート2022で、指導原則の示す人権デューディリジェンスのプロセスの実施度を調査報告している。回答企業の90%以上が、人権方針・コミットメントの表明は実施済みという結果がある一方で、ステークホルダーとの対話により人権リスクを把握していると回答した企業は23.8%だった。現在進行形である企業の人権デューディリジェンスの課題は二つあり、①人権リスク特定のための調査の難しさと、②ステークホルダーと意義ある対話の実施である。 昨年6月にNAPの政府レビュー報告があり、行動計画の5つの重要課題に対する評価方法を決定した旨記載されている。サプライチェーンの人権尊重を促進する仕組みの整備に対し、施策検討のための活動実績、会合の開催回数を評価測定としている。また、救済メカニズムの整備については、相談窓口の利用実績を評価測定としている。この指標が目標にすり替わってしまうことを危惧している。何を実現するのか、ライツホルダーとの対話を通して考えることを忘れてはいけない。 富吉様 説明会では心得るべき三つの点を伝えている。①コミットメント、②エンゲージメント、③課題発掘(優先順位付け)である。それらは企業経営そのものであると説明することで理解を得やすくしている。一方、日本繊維産業連盟のデューディリジェンスガイドライン普及への課題は、何よりサプライチェーンを管理する立場であるアパレル、商社の意識向上である。欧米のブランドと取引のある中小企業の意識は高い。発注側が要求をしないと人権デューディリジェンスは進まないと感じている。さらに、救済措置、労働組合の協力、専門家(社会保険労務士)の協力、英語版発行も課題であると認識し、対応を進めている。 奥山様 産業構造上、サプライチェーン上の労務問題は事業に直結するため、もともと国際労務の観点から様々なステークホルダーと関係をもっていたというベースがある。人権について議論し始めた際は、関係者や当事者に話を聞くところ、つまりステークホルダーとの対話からスタートした。そうした中で外国人技能実習生の問題を知り、アセスメント、デューディリジェンスを行った。特に手数料問題(債務労働)を優先課題と位置付けている。また、2021年には人権方針を策定し、優先課題として明記した。 人権は法令順守を超えたところにあるので、一部の取引先企業に理解を得られない点は難しさを感じている。また、産業の特徴としてサプライチェーンが広く、深い関係上、能動的なデューディリジェンス活動は深刻そうな問題、問題の多そうなところを優先しておこなうので、すべてに届く訳ではない。困っている人の側から声を上げてもらえる、苦情処理メカニズムの重要性を感じている。また、取引先企業は複数のブランドホルダーと取引をしていることもあり、困りごとの内容も企業が解決できる問題ばかりではない為、横断的な取り組みが必要であると考えている。 テーマ3:「責任ある企業協働プログラムへの評価と期待」について 氏家様 救済メカニズムへの参画と、デューディリジェンスプロセスへの参画、グローバルサプライチェーン上の人権侵害撲滅への関与が重要である。JP-MIRAIに期待することとして、「ライツホルダーと本当の対話を支援するツール」であり続けてほしいと考える。JP-MIRAIはライツホルダーと企業をつなぐ強力なインフラになりつつあると感じている。人権課題に取り組む企業へ相互的に支援していくことになるだろう。パッケージイメージをより具体化し、特に中小企業に使ってもらえるものにしていくことが重要である。責任あるサプライチェーンの取り組みは2015年のG7サミット首脳宣言が出てから日本は本格的に動き始めた。今年、日本はG7サミットのホスト国となる。再度サプライチェーン上の課題を考え、一歩進んだ取り組みと成果を世界へ広げていけるように、JP-MIRAIとしても取り組んでいくべきである。 富吉様 JP-MIRAIに期待する点は外国人労働者のネットワークづくりと、救済メカニズムの仕組みへの支援である。繊産連のガイドラインの中でも救済メカニズムは企業によって形態が違うため用意できなかったが、今後連携していきたい。外国人ネットワークは救済メカニズムとつながるところでもあり、期待をしたい。また、JP-MIRAIの会員には労働組合の方も入っており、グローバルなサプライチェーン管理について、労働組合の持つ国際的なネットワークを活用しながらバックアップしてもらいたいと思う。労働組合とともにJP-MIRAIとして仕組みを構築していくという面で心強いと感じている。また、SDGsの根幹にあるのは環境ではなく、人であるという点をアピールしてもらいたい。 奥山様 トヨタ自動車では2021年に人権方針を策定し、22年には取引先にも適応するガイドラインを展開した段階だが、グリーバンスメカニズムの整備に難しさを感じている。自社と極近しいところでは通報窓口を持っているが、お金と手間がかかる。規模の小さい企業にそれぞれ窓口を作成いただくことは難しいので、このような企業協働プログラムはありがたいと感じる。また、ステークホルダーの中でも特に規模の小さい企業に属する労働者ほど大きな脆弱性を持つと感じている。多様なステークホルダーが集うJP-MIRAIだからこそ効果的な仕組みができるのではないかと期待している。 最後に、パネリストの3名よりお言葉をいただき、閉会となりました。 https://youtu.be/n6UO-l9nkmY 日本繊維産業連盟 副会長 富吉賢一様の資料はこちら ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。本研究会の全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。 今回のイベントではお伝えしきれなかった部分、興味関心をお持ちの皆様からのご質問は下記専用窓口にお気軽にお問い合わせください。 「責任ある外国人労働者の受入れ企業協働プログラム2023」 問い合わせ先 e-mail: info@jp-mirai.or.jp 電話:03-6261-5539 皆様からのご質問を伺う機会を以下の要領で開催いたしますので、こちらへのご参加もご検討ください。 「責任ある外国人労働者受入れ企業協働プログラム」説明会...