※説明会申込受付中※「2023年企業協働プログラム」発表イベント~企業は、ビジネスと人権にどのように取り組むべきか~開催報告

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※「2023年企業協働プログラム」に関する質疑応答セッションを3月1日、8日に開催しますので、本報告の最後をご参照ください。

日本政府は、2020年10月に「ビジネスと人権に関する行動計画(2020-2025)」(通称:NAP)を策定し、企業に対して「ビジネスと人権指導原則」やその他関連する国際的なスタンダードを踏まえ、『人権デューディリジェンス』のプロセス及び『救済メカニズム』へのアクセスを導入することを期待しています。その後、経済産業省や経団連などからガイドラインが出されるなど、国内での取り組みが加速しています。
JP-MIRAIは2022年5月から「外国人労働者相談・救済パイロット事業」を実施し、企業のビジネスと人権の取組みをサポートしてきました。この経験及び企業や有識者の意見を踏まえ、2023年からより総合的に企業を支援する「企業協働プログラム」を展開することとしました。今回は、2023年2月3日に有識者を交えて実施し、約140名の方々にご参加いただきましたJP-MIRAI「2023年企業協働プログラム」発表イベントの様子をご報告いたします。

●まず、本イベントの冒頭に、事務局を代表して一般社団法人JP-MIRAIサービス 代表理事 の矢吹公敏より開催にあたりご挨拶を述べました。
・JP-MIRAIは2020年の設立以来、多くの会員の皆様と外国人労働者の課題解決のために活動をしてきた。JP-MIRAIポータル、相談救済窓口であるJP-MIRAIアシスト、交流アプリのJP-MIRAIフレンズといったコンテンツの開発や様々なテーマの研究会、勉強会を開催してきましたが、皆様の日頃のご協力に感謝の意を述べたい。
国連のビジネスと人権に関する指導原則への注目が高まっているほか、日本政府も責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを昨年発表した。
日に日に、企業の人権デューディリジェンスへの要求は高まっている状況の中で、JP-MIRAIは、今後も企業と外国人労働者をつなぐ役割を果たしていきたいと考えている。
また、6月には組織を一般社団法人化し、より多くの方に参加していただくことで、更なる課題解決を図っていきたい。

●続いて、来賓の一般社団法人日本経済団体連合会 SDGs本部長の池田三知子様よりご挨拶をいただきました。
・初めに、JP-MIRAIの「責任ある外国人労働者の受入れ企業協働プログラム2023」の始動を大変心強く思っている。経団連では2017年に企業行動憲章を改定した頃から、ビジネスと人権に関する自主的な取り組みを推進してきた。近年国内外でビジネスと人権の状況が急速に変化しており、企業に対して人権の取り組み強化を求める動きが加速している。
そこで、経団連では2021年に「企業行動憲章 実行の手引き」の「第4章 人権の尊重」の内容を見直して充実させるとともに、「人権を尊重する経営のためのハンドブック」を新たに作成した。ハンドブックにおいて、グローバルサプライチェーンにおける人権リスクを紹介しているが、いわゆる移民労働者は人権リスクが高いと認識されており、日本の外国人技能実習制度は世界から注目されている。
企業が外国人技能実習生を責任もって受け入れることは重要であり、日本の信頼向上にも資するため、セクター横断で連携しながら知識や情報を共有し、効果的措置を拡大していくことが今後も必要と考えている。
企業が人権デューディリジェンスを行ったとしても、人権リスクを完全になくすことはできないため、実効的な苦情処理メカニズムの構築が必要となる。その点で、JP-MIRAIポータル、フレンズといった人権リスクの早期発見・対応、また協働的な苦情処理メカニズムに期待している。
JP-MIRAIが外国人労働者を責任を持って受け入れるプラットフォームとして国内外から認知され、日本の信頼向上につながることを期待している。

 

●続いて、JP-MIRAI事務局のJICA理事長特別補佐 宍戸健一よりJP-MIRAI「責任ある外国人労働者受入れ企業協働プログラム」の説明をいたしました。
・現在企業の人権デューディリジェンスの取り組みとして、監査やサプライヤーアンケートが行われているが、潜在的な人権リスクを把握することやPDCAを回すことが難しいという課題がある。また、苦情処理に関しては内部通報制度やサプライヤーホットラインを運用している企業が多いが、サプライヤーや製造委託先に通報システムがなく、サプライチェーン全体のリスクマネジメント管理ができないこと等の難しさが存在している。
約100社の関連法人の約2000人の外国人労働者を対象に一年間救済パイロット事業を行ったが、労働者からの相談が少しずつ増えている状況であり、また伴走支援・ADRの利用実績はない。救済パイロット事業から得られた教訓として、ブランドホルダー(BH)企業がサプライチェーン企業の理解を得ることが難しいことや、情報漏洩への懸念、企業毎のサプライチェーン管理方法の違い等があった。
JP-MIRAIでは、企業・団体支援、JP-MIRAIアシスト、外国人労働者セルフチェックシート、JP-MIRAI認証等により、企業の国内サプライチェーンにおいて、外国人労働者の課題解決をサポートしていこうと考えており、今回のプログラムの開発に至った。

プログラムの特徴は以下の通り。

・本プログラムは三種類ある(責任あるサプライチェーン管理基本プログラム、責任あるサプライチェーン管理拡張プログラム、企業単独プログラム)。
・問題が発生した場合には自社及び関連法人が外国人労働者に対し不利益を被らないことを徹底する。
・利用段階、深刻な問題発生・リスクが発生した場合は個人特定をせずに随時報告する。また、本人が希望する場合はADRを利用して事前報告する。企業には、三か月ごとに報告をする。
・JP-MIRAIの窓口に通報された相談を企業で解決する場合は、相談者の了解を得てブランドホルダー企業の内部通報窓口につなぎ、JP-MIRAIとしては相談者への聞き取りを通じてモニタリングをする形を考えている。
・相談窓口は特定非営利活動法人 国際活動市民中心(CINGA)に委託予定である。
・ADRは裁判と比べて解決までの日数が短く、非公開であり、未来志向で解決を図れるという点で、本人、企業双方にとってメリットがある。ADRの利用にあたっては費用の5割を企業にご負担いただく。
・拡張プログラムにより得た資金を使用し、現在運用中のJICAロット(外国人労働者セルフチェックシート・相談窓口)を一般版として継続する予定である。

なお、詳細につきましては、こちらよりご確認ください。

 

●続いて、以下のパネリスト3名によるパネルディスカッション「企業は現場でどのように取り組むべきか」を行いました。
パネリスト①
一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 事務局次長 氏家啓一様
パネリスト②
トヨタ自動車株式会社 人事部グローバル労政室 室長 奥山洋介様
パネリスト③
日本繊維産業連盟 副会長 富吉賢一様
モデレーター
一般社団法人JP-MIRAIサービス 事務局長 青山伸

ディスカッションの内容は以下の通り。

テーマ1:企業を取り巻く人権への取り組みに関する課題

氏家様
日本政府のビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)に関わっている者として発言したい。政府の一義的な人権保護の義務、企業の人権尊重の責任はそれぞれ別物であり、それをつなぐのが行動計画の役割である。2020年10月にNAPを策定したが、中身を知られておらず、存在感が薄いことは課題の一つであると考える。NAPの外国人労働者の施策を三つ紹介する。まず、国内外のサプライチェーン上の労働者のディーセントワークを実現することが盛り込まれている。六つの横断的事項の一つに外国人材の受け入れ、共生の取り組みがある。外国人技能実習生に関しては、救済へのアクセスと実践、実習先の転籍支援、保護について取り上げている。債務負担を減らす取り組み施策がないのは残念である。昨年日本政府による責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインが制定され、企業は人権デューディリジェンスの実施段階に入った。政府調達の人権デューディリジェンスの実施を入札の優遇条件とすることを検討しているとニュースに上がったので、実行に移してほしいと考える。

富吉様
日本繊維産業連盟では、昨年「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」を策定し、繊維業界はガイドライン、人権デューディリジェンスの普及フェーズに入った。策定に至った背景は、①技能実習生問題など人権に関する深刻な課題、②長年取り組んできた取引適正化、③生き残りをかけた海外展開が必須、④労働力不足への対応、の四点がある。それらの背景を踏まえ、外国人労働者の適正運用、すなわち労働コンプライアンスの確立が必要だと考え、労働者の人権に特化し、かつ中小企業を対象としたガイドラインを策定した。中小企業を対象としたガイドラインは世界初であると自負している。また、ILOの協力を得ながら具体的な解説を加えており、チェックリストを盛り込んだ点も特徴である。

奥山様
国際的な労務や人権、ダイバーシティを担当している。トヨタ自動車ではビジネスと人権は比較的新しい分野で、国際労務から派生してスタディを始め、様々なステークホルダーに導かれて国連のガイドラインにたどり着き、2019年からようやく見様見真似で人権デューディリジェンスの様なことをはじめた段階。弊社のサプライチェーンはアフリカの鉱山からアマゾンの農地まで傘が広く多岐にわたっており、人権課題の範囲も広い。現在いくつかの優先課題を取り上げて対応をしており、外国人技能実習生についても優先課題として認識している。日本国内で経済活動を守るために、産業の垣根を超えて、外国人から選んでもらえる環境を皆さんとともに作っていかなければいけないと考えている。

テーマ2:企業の取組状況とその進捗に見る難易度

氏家様
GCNJのSDGs進捗レポート2022で、指導原則の示す人権デューディリジェンスのプロセスの実施度を調査報告している。回答企業の90%以上が、人権方針・コミットメントの表明は実施済みという結果がある一方で、ステークホルダーとの対話により人権リスクを把握していると回答した企業は23.8%だった。現在進行形である企業の人権デューディリジェンスの課題は二つあり、①人権リスク特定のための調査の難しさと、②ステークホルダーと意義ある対話の実施である。
昨年6月にNAPの政府レビュー報告があり、行動計画の5つの重要課題に対する評価方法を決定した旨記載されている。サプライチェーンの人権尊重を促進する仕組みの整備に対し、施策検討のための活動実績、会合の開催回数を評価測定としている。また、救済メカニズムの整備については、相談窓口の利用実績を評価測定としている。この指標が目標にすり替わってしまうことを危惧している。何を実現するのか、ライツホルダーとの対話を通して考えることを忘れてはいけない。

富吉様
説明会では心得るべき三つの点を伝えている。①コミットメント、②エンゲージメント、③課題発掘(優先順位付け)である。それらは企業経営そのものであると説明することで理解を得やすくしている。一方、日本繊維産業連盟のデューディリジェンスガイドライン普及への課題は、何よりサプライチェーンを管理する立場であるアパレル、商社の意識向上である。欧米のブランドと取引のある中小企業の意識は高い。発注側が要求をしないと人権デューディリジェンスは進まないと感じている。さらに、救済措置、労働組合の協力、専門家(社会保険労務士)の協力、英語版発行も課題であると認識し、対応を進めている。

奥山様
産業構造上、サプライチェーン上の労務問題は事業に直結するため、もともと国際労務の観点から様々なステークホルダーと関係をもっていたというベースがある。人権について議論し始めた際は、関係者や当事者に話を聞くところ、つまりステークホルダーとの対話からスタートした。そうした中で外国人技能実習生の問題を知り、アセスメント、デューディリジェンスを行った。特に手数料問題(債務労働)を優先課題と位置付けている。また、2021年には人権方針を策定し、優先課題として明記した。
人権は法令順守を超えたところにあるので、一部の取引先企業に理解を得られない点は難しさを感じている。また、産業の特徴としてサプライチェーンが広く、深い関係上、能動的なデューディリジェンス活動は深刻そうな問題、問題の多そうなところを優先しておこなうので、すべてに届く訳ではない。困っている人の側から声を上げてもらえる、苦情処理メカニズムの重要性を感じている。また、取引先企業は複数のブランドホルダーと取引をしていることもあり、困りごとの内容も企業が解決できる問題ばかりではない為、横断的な取り組みが必要であると考えている。

テーマ3:「責任ある企業協働プログラムへの評価と期待」について

氏家様
救済メカニズムへの参画と、デューディリジェンスプロセスへの参画、グローバルサプライチェーン上の人権侵害撲滅への関与が重要である。JP-MIRAIに期待することとして、「ライツホルダーと本当の対話を支援するツール」であり続けてほしいと考える。JP-MIRAIはライツホルダーと企業をつなぐ強力なインフラになりつつあると感じている。人権課題に取り組む企業へ相互的に支援していくことになるだろう。パッケージイメージをより具体化し、特に中小企業に使ってもらえるものにしていくことが重要である。責任あるサプライチェーンの取り組みは2015年のG7サミット首脳宣言が出てから日本は本格的に動き始めた。今年、日本はG7サミットのホスト国となる。再度サプライチェーン上の課題を考え、一歩進んだ取り組みと成果を世界へ広げていけるように、JP-MIRAIとしても取り組んでいくべきである。

富吉様
JP-MIRAIに期待する点は外国人労働者のネットワークづくりと、救済メカニズムの仕組みへの支援である。繊産連のガイドラインの中でも救済メカニズムは企業によって形態が違うため用意できなかったが、今後連携していきたい。外国人ネットワークは救済メカニズムとつながるところでもあり、期待をしたい。また、JP-MIRAIの会員には労働組合の方も入っており、グローバルなサプライチェーン管理について、労働組合の持つ国際的なネットワークを活用しながらバックアップしてもらいたいと思う。労働組合とともにJP-MIRAIとして仕組みを構築していくという面で心強いと感じている。また、SDGsの根幹にあるのは環境ではなく、人であるという点をアピールしてもらいたい。

奥山様
トヨタ自動車では2021年に人権方針を策定し、22年には取引先にも適応するガイドラインを展開した段階だが、グリーバンスメカニズムの整備に難しさを感じている。自社と極近しいところでは通報窓口を持っているが、お金と手間がかかる。規模の小さい企業にそれぞれ窓口を作成いただくことは難しいので、このような企業協働プログラムはありがたいと感じる。また、ステークホルダーの中でも特に規模の小さい企業に属する労働者ほど大きな脆弱性を持つと感じている。多様なステークホルダーが集うJP-MIRAIだからこそ効果的な仕組みができるのではないかと期待している。

最後に、パネリストの3名よりお言葉をいただき、閉会となりました。

日本繊維産業連盟 副会長 富吉賢一様の資料はこちら

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。本研究会の全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。

今回のイベントではお伝えしきれなかった部分、興味関心をお持ちの皆様からのご質問は下記専用窓口にお気軽にお問い合わせください。

「責任ある外国人労働者の受入れ企業協働プログラム2023」
問い合わせ先
e-mail: info@jp-mirai.or.jp 電話:03-6261-5539

皆様からのご質問を伺う機会を以下の要領で開催いたしますので、こちらへのご参加もご検討ください。

「責任ある外国人労働者受入れ企業協働プログラム」説明会

一覧

適切な外国人雇用には正しい労務知識が必要不可欠であることから、JP-MIRAIでは、全国社会保険労務士会連合会と共同でセミナーを開催し、116名の方にご参加頂きました。本セミナーでは日本の労働・社会保障制度及び人事・労務管理の専門家としての社会保険労務士(社労士)の役割、「ビジネスと人権」に関する社労士会連合会の取組み、そして社労士の取組み事例をご紹介頂きました。 社会保険労務士の役割と全国社会保険労務士会連合会における「ビジネスと人権」に関する取組みについて 全国社会保険労務士会連合会副会長 河村卓様  まず最初に、全国社会保険労務士会連合会副会長河村卓様より社会保険労務士の役割についてご紹介を頂きました。 社会保険労務士は、①社会保険制度の健全な運用を促進するために、手続きを正しく進めるための支援を実施し②労務管理の専門家として、企業の人事に関する課題について、相談に応じ、助言を行う専門家とのことでした。 いずれの役割においても、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを使命として全国で4.5万人もの社労士の方が活動されているとのことでした。また、その活動の範囲は労働関係法令の遵守といった最低限の労働環境の確保にとどまることなく、労働環境の構築を支援することで、「人を大切にする企業づくり」、ひいては、「人を大切にする社会の実現」のために活動しているとの力強いメッセージを頂きました。 また、「ビジネスと人権」に関する取り組みについては地域や事業規模にかかわらず取組む必要があるとの認識を共有頂きました。そして、「ビジネスと人権に関する指導原則」に取組むことは企業の社会的責任であり、自主的な取組みを行うことでイメージの向上にも資するが、これをおろそかにすると社会や社内からの信頼を失う可能性があるとご指摘頂きました。同指導原則への取組みを通じて、企業活動の質的な転換が遂げられるため、企業はこれを遵守する必要があるとのご示唆を頂きました。企業と伴走する社労士においても「ビジネスと人権」に係る知見を高めていく必要があるため全国社会保険労務士会連合会は社労士育成のプログラムを構築し、実施しているとのことで、プログラムの概要についてご紹介をいただきました。 https://youtu.be/X8x5iYbWSWs 資料はこちら 社会保険労務士の「ビジネスと人権」(人権尊重経営)へのご支援事例 全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバー  薦田勉様 続いて、「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバーの薦田様からは人権尊重経営に関して企業から実際に求められた支援事例についてご紹介頂きました。 まず、自身のご経験をもとに具体的な企業支援に至るまでの過程についてお話を頂きました。当初は「ビジネスと人権」に関する行動計画(National Action Plan:NAP)をはじめとして中央省庁や経済団体からの情報を研究され、その学びを通じて、「『ビジネスと人権』を一括りとして捉えないと理解が進まない」と考えるに至ったそうです。また、並行して外国人労働者に係る企業の実態調査を進められた際の経験談について、具体的な例示をお示し頂きながら、お話頂きました。 そして、実態調査の結果として、「ビジネスと人権」に関する企業の認知度は低い状況にあり、企業によっては実際に発注元から人権デューデリジェンスへの対応を求められた経験もあるものの、その取り組みが必要な背景や理由までは発注元から説明がなされていなかった様子もあったそうです。こうしたご経験から、「なぜ人権デューデリジェンスへの取組みが重要なのか」、「なぜ人権方針を策定するのか」「具体的な人権侵害とは何なのか」等を発注元が発注先に丁寧に説明し、相互のエンゲージメントを強化していくことが重要であるとのご説明を頂きました。 企業が人権デューデリジェンスにかかる取組をはじめる際に最も分かりやすいツールとして、日本繊維産業連盟の「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」(日本繊維産業連盟 (jtf-net.com))をご紹介頂きました。付属のチェックリストを活用することで自社の状況を把握する助けになるとのことでした。 企業の中には自社は常に大手企業の発注先でしかないという認識をもっている方が多くいらっしゃるものの、実はサプライチェーン全体でみると、発注元となる可能性も十分にあるとの認識を持って取組を検討する、その際に国際基準についても勘案することが必要ではないかとのお話を頂きました。 そして、発注元による発注先に対する人権リテラシーを高める努力を行う中でも、人権侵害は現場で発生することもあり、人権教育にかかる支援をする際には、経営層のみならず、現場社員へのアプローチも重要であり、それによって当事者意識の醸成と、企業の裾野にかけての取組み促進により、サプライチェーン全体としての意識向上に繋がるとのご見解をお話頂きました。 https://youtu.be/KR44yC6WMII 資料はこちら 続いて、以下のパネリストによるパネルディスカッションを行いました。 全国社会保険労務士会連合会副会長 河村卓様  全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバー  薦田勉様 モデレーター:JP-MIRAI事務局 宍戸健一 一点目として、今後も増える外国人労働者の受入れに際して、今後社労士の果たしうる役割についてお伺いしました。河村様は、まず、「外国人であっても日本人であっても、日本の企業で働くうえでは労働基準に差がついてはならない」と強調されたうえで、「ビジネスと人権」への取組みを契機として自社内の全ての労働者に適用される労働法規の確認を行い、そのうえで外国人材と日本人の違いを理解することが必要であるとのご意見を頂きました。そのうえで経営層と従業員の対話と意思疎通が大切であるとお話頂きました。 二点目に、「ビジネスと人権」に対応する社労士の規模についてお伺いしたところ、今後の社労士会の取組みとして、労務管理の専門知識に国際基準を取り入れ、研修システムを構築・活用して2年間で600名程の「ビジネスと人権」に対応できる社労士を育てたいとのお話を頂きました。また、サプライチェーンが深くなるほど、現場の企業に近い社労士が果たす役割が大きくなることが想定されるため、専門の社労士を各地の社労士会で探してもらえる仕組みづくりをしたいともお話を頂きました。 三点目に、人権デューデリジェンスに関して企業から問い合わせがあった際に、社労士としてどのように具体的なアプローチをされるのか、お話を頂きました。経営層と二人三脚で歩みを進める社労士として、役員会等で「ビジネスと人権」に関する情報提供を行い、取組みの必要性を認識頂いて、人権侵害のリスクを洗い出して、計画を立てて実行する、PDCAのプロセスの支援をされているとのことでした。 四点目として、企業や社会に対して「ビジネスと人権」について啓発するためには、企業においては人権侵害が発生しやすい一般社員を含めた現場での浸透、社会においては教育現場において人権に関するリテラシーの向上を図ることが重要であることをお話頂きました。 五点目に、労働法違反が散見されるなか、社労士による労務監査的なアプローチが必要なのではないか、とのご意見があったことについて、薦田様からは、日常的に労務監査は実施しており、指摘も伝えているが、公的な権限はなく、企業に検証の機会を提供するに留まるため、最後は企業次第となる、とお話頂きました。他方、また発注元からの問題点の指摘によりすぐに是正された例もあり、発注元の後押しが重要なケースもあると共有頂きました。 https://youtu.be/i3vbTeoqKjg 今後も同じ目標をかかげる全国社会保険労務士会連合会との連携を模索しながら、地域や事業規模に係らず、多くの企業が「ビジネスと人権」に取組める仕組み作りをJP-MIRAIとして検討して参ります。 当セミナー「全国社労士会×JP-MIRAI ~外国人労働者の適正な受け入れに向けた協業の可能性について」にご参加くださいました皆様、ありがとうございました。本セミナーの全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。なお、動画・資料に関しては2023年5月31日までの公開とさせて頂きます。ご了承のほどお願いいたします。...

2023年1月24日(火)に新体制にて2023年第一回専門家委員会・アドバイザリー・グループ会合を実施致しましたのでご報告申し上げます。<開催概要>●日時:2023年 1月 24 日(火) 13:00~14:30●場所:JICA本部(竹橋)及びオンライン(Zoom)●出席者(敬称略)(1)アドバイザリー・グループ田中 賢了  国民生活産業・消費者団体連合会、事務局長富吉 賢一  日本繊維産業連盟、副会長氏家 啓一  一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、事務局次長工藤 尚美  株式会社オリジネーター、取締役専務執行役員/一般社団法人外国人雇用協議会、理事※オブザーバー:鈴木 啓 株式会社良品計画、常勤監査役(2)専門家委員会山田 美和  日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所、新領域研究センター長万城目 正雄 東海大学教養学部、教授大辻 成季  日本労働組合総連合会東京都連合会、地域局次長フィ・ホア  ONE-VALUE株式会社、代表取締役※オブザーバー:平川 秀行 全日本金属産業労働組合協議会、事務局次長/国際局長(3)事務局宍戸 健一  (一社)JP-MIRAI サービス、理事/JICA、理事長特別補佐 青山 伸   (一社)JP-MIRAI サービス、事務局長/トヨタ自動車株式会社中尾 洋三  (一社)JP-MIRAIサービス、アドバイザー福田 茂樹   JICA、国内事業部長小林 洋輔   JICA、国内事業部外国人材受入支援室長礒貝 白日   JICA、国内事業部外国人材受入支援室副室長杉田 昌平   JICA、国内事業部国際協力専門員<議事概要>冒頭に事務局より、JP-MIRAIの2023年活動方針及び活動計画を、①2023年活動方針および活動計画の全体像、②『ビジネスと人権』における協働の取組み、③学びあいと内外への発信、の三点を中心に説明し、各委員より以下のコメント・助言を頂きました。① 2023年活動方針および活動計画について ・相談救済事業の稼働と、人権デュー・ディリジェンスの取組強化が大切。 ・認証制度がウォッシュに利用されないように、議論を尽くすべき。 ・サプライチェーンの中でも、ブランドホルダーから遠いところに問題がある可能性がある。 ・相談・救済事業の企業ロットでも、賛同者の資金をまとめ、一般外国人の方向けの支援が出来ると良い。 ・外国人ユーザーの視点から事業を組み立てれば、企業からの賛同にもつながる。 ・安全衛生に関する相談が深刻なため、就労環境や生活環境をしっかり確認すべき。 ・技能実習制度、特定技能制度の見直しに合わせてアシスト事業を展開すべき。 ・似た取組をする団体との共働も検討すると良い。② 『ビジネスと人権』における協働の取組みについて ・外国人材の目線を大切にし、救済措置として届く仕組みになっているかの検証が必要。 ・中小企業に対する「ビジネスと人権」やJP-MIRAIの活動周知が大切。 ・企業の内部通報制度への移行時は、相談者の意向をよく確認するべき。 ・外国人労働者の権利を守るというJP-MIRAIの本来の趣旨の基本にたち、外国人労働者がどのようにJP-MIRAIを信頼できるのかを考え、   権利侵害を防止する、救済する仕組みとして機能しているのか常に検証していくことが必要。 ・各取組みの名称は、誤解を与えない工夫が必要。 ・認証制度は中小企業による利用を促す工夫をすべき。 ・国際基準にも対応可能な認証制度にすべき。以上...

2023年1月18日(水)、第3回自治体・国際交流協会等勉強会(オンライン)を開催し、自治体、国際交流協会、教育機関、企業など、JP-MIRAI会員内外から、93名の皆様に参加をいただきました。勉強会冒頭、JICA国内事業部・部長の福田より主催者挨拶を行いました。外国人材受入れにおいて多様なステークホルダーが関与する中、地域社会の一員として外国人材を受入れるにあたり、自治体が担い、果たしてきた責任と役割の重要性を改めて確認した上で、本勉強会が有益な学びの機会となるとともに、会を通じて、自治体をはじめとする重要なステークホルダー間の知見共有や、横のつながり・ネットワークが強化され、それぞれの地域での取組が更に促進することを願っている旨、発言しました。JICAは政府開発援助(ODA)の実施機関として、開発途上国への技術援助や資金援助を主な業務とする中、なぜ日本国内の社会課題に取り組むのか、と問われることも多いと言います。相互依存の世界と言われて久しい中、国際社会の問題、開発途上国の開発課題、日本国内の社会課題は根底では連動しており、それぞれを切り離して考え、別々に対応する必要はないのではという問題意識を持っている、とコメントしました。JICAがこれまで培ってきた国際協力の知識と経験をもとに、国内の地域課題解決に対し、地域パートナーと協働していきたと考え、取組を強化しているところである、と発言。JICAが日本国内での取組を進めるにあたり、先進的な事例が全国に様々ある中で、開発政策、開発事業のアプローチという観点でJICAが学ばせていただくことが大変多い状況であることに触れつつ、各地域のステークホルダーである皆さまとJICAとの協業、共創を一層進めることができれば幸いである、とコメントしました。 https://youtu.be/CSXsIOQoFm0基調講演「コロナ禍で見えてきた在留外国人の課題―日本は選ばれる国になりえるか?」公益財団法人日本国際交流センター(JCIE) 執行理事 毛受敏浩様 資料はこちらhttps://youtu.be/VZqNYusHU5c冒頭、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)発生前後の日本人と在留外国人数、外国人労働者数の増減推移を示しながら、コロナ禍でも外国人労働者数が減少しなかった背景には、製造業、サービス業、医療・福祉など、日本のあらゆる産業の重要な担い手として多くの外国人労働者が日本で暮らし・働いている現状があるのではないか、とのお話がありました。そういった中、JCIEの休眠預金事業を通じて見えてきた現状として、コロナ以前から存在した生活・就労環境などにおける外国人労働者の脆弱性が、コロナによってより顕在化したという見方が正しいのではないか、という視点を共有されました。2022年6月に日本政府が出した「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」では、ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援への言及がなされるなど、定住を想定した事業が加速度的に開始している中、「選ばれる国」になるためには、将来を見越して、どれだけ、どの分野で活躍してもらうかをゼロから検討していく必要があり、また、「社会の重要な担い手であるという認識」をしていく必要がある、と発言がありました。外国人(労働者)は、支援が必要な人たち、という側面もあるものの、日本人が持たない多様な価値観、経験、スキルを持つ重要な人材であり、そのような「隠れた潜在力」をどのように発見し、日本の社会に役に立ててもらえるかを考えることは大事である、という点に触れ、それらを実現するために自治体に期待されることとして、以下5点を挙げました:人口政策と結び付けた外国人受入れビジョンの策定、実行外国人活躍を促す仕組みづくり―「日本の社会の中で自分を認めてもらいたい」「社会とつながりたい」という外国人のニーズがある中で、そういった人々の活躍を促す仕組みづくりが肝要地域住民の意識改革地域の多様な主体が関わるプラットフォームの構築―地域の在留外国人がどのような役割を担いうるのか、そして、地域の将来がどうあるべきか、について議論をしていく現場(自治体)の声を政府へ明確に届けていくことで、政府の明確な意思表示を促していく事例共有「美作市における外国人材受入れの取組について」美作市 市長 萩原誠司様 資料はこちらhttps://youtu.be/9spt0g5lPS8美作市における外国人材受入れの取組の位置付けについて、冒頭お話がありました。同市は消滅可能性自治体と言われており、「消滅可能性というレッテルをはがすため」に行っている様々な取組の中に、外国人の受入れ政策が存在するとのこと。受入れ政策を検討する中で、経済界から「日本と親和性のあるベトナムが継続的に産業界に参入できるようパイプ整備をお願いしたい」という趣旨の要望があり、その要望に応えるべく当初は姉妹都市交流を検討したものの、望ましい候補に出会うことができず、最終的には、ダナン大学との友好協定締結に結実。これが同市におけるベトナムからの人材受入れの始まりでした。大学との友好協定を選択した主な理由として、人材供給の源泉がありうるという点、そして、幅広い観点から当市の受入れ政策について議論をすることができる相手であるという2点が挙げられました。美作市でのベトナム人技能実習生受入れにあたっては、市の商工会が監理団体としての役割を担っているという点がひとつの特徴です。これは、ダナン大学との交流によって得られた知見を基にしながら、同市が商工会に働きかけたことがきっかけでした。監理団体として市の商工会を選んだ理由は、同市へ来る際の最初の入口として、安定的であること:つまり、利益動機だけではなく公共的な色彩を兼ね備えた監理団体として、生活の安定、支援の充実や外国人への支援を市と協力してできるのではないかと思ったから、と萩原市長はコメントされました。美作日越友好協会の設立やダナンフェスティバルへの参加など、ベトナムと美作市の交流を促進するための活動とともに、市内住民のベトナムに対する理解、重要性を得るために続けてきた同市の努力は、受入れ政策を進めるにおいて欠かせないことでした。ダナン大学との関係を軸にしたかたちで取組を進めてきたこと、また、ベトナムからの外国人労働者の受入れの仕方が大変丁寧であったことから、同市を評価した上で、ベトナム国内の地域との関係を改めてつくってくれないか、という要請があり、イエンバイ省との友好協力関係につながり、現在は、具体的な事業展開に向かって進んでいるとのこと。最後、日本における外国人受入れ政策に関し、萩原市長の視点から課題認識の共有をしてくださいました。外国人も地域社会の主力の構成員となって、日本社会、日本文化をともに守り、育てていく仲間となってほしいと考えておられる萩原市長。ただ、現行制度の「在留期間の制約」は、受入れ企業側の社内におけるキャリアパスを念頭に置いた雇用、パートナーシップと相反するものになっており、また、外国人にとっても、時限的な在留の中で日本語や日本文化の習熟に対する意欲を高く持つことは難しい、とコメントされました。「では、どうすべきか?」という問いに対し、外国人も日本社会で共に生きていくために必要な環境づくりをしっかりとやっていかなければ、と思っており、社会の重要な構成員として、積極的に文化の担い手になっていく、そんな社会構造になっていくべきだ、とご発言。そして、日本社会をサステイナブルなもの、活力のあるものとして維持していくために、「異次元の少子化政策」と並んで、「まっとうな形での対外政策(人的交流)」の再構築が必要であり、また、問題の重要性が国民に深く理解される進展の中で、司令塔組織が必要になってくるだろう、という点にも触れました。質疑応答・パネルディスカッション〇美作市 市長 萩原誠司様〇JCIE 執行理事 毛受敏浩様〇モデレーター JP-MIRAI事務局 宍戸健一 https://youtu.be/5x7QhW8ZeRk「外国人の受入れに関する将来の地域の絵姿は自治体が決めるべき、という話がありましたが、住民の声をはじめ、市内のステークホルダーの反応などはいかがですか?」(萩原市長)市長着任時、市内人口が3万弱だったが、「10年間で3,000人くらいのペースで(外国人住民を)増やしていきたい旨、以前取材で答えたことがある。市として圧倒されないペースで受入れ、サポートができる数を積算した。3万に対し3,000人というのは、人口の1割程度。ゆっくりと増やしていくことができれば、上手く受入れられるのではと考えた。外国人受入れに関する市民の理解や受け止め方については、年年歳歳ポジティブになりつつあると思う。ネガティブな感情が減ってきている要因には、人口減少により、地域社会が存続していくためには、外国人の受入れの他に方法がないのではないか、ということが理性的に理解され、広まりつつあることが挙げられるだろう。また、スポーツや芸術文化など様々な分野において、日本人の定義に幅が出てきて、その定義の広がりが強く認識されていくようになったという点もあると考えている。「JCIEで主催されている共生未来事業を通じ、色々な地方で様々な方と意見交換をする機会も多いと思いますが、地域における(外国人材受入れに係る)受け止め方について参考になる事例などはありますか?」(毛受様)岡山県の特性だと思うが、「岡山県国際貢献活動推進条例」を定めるなど、外国人に対してとてもオープンマインドであり、そのような住民意識が強い地域ではないかと思っている。萩原市長の話を聞きながら、トップが明確な姿勢を示されている点が素晴らしいと思った。「社会として外国人をどのように位置付けるのか」に関し、リーダーが明確に示すことで、住民の納得を得られるのだと思う。美作市では「交流」を中心に取組を推進してきたことで、外国人が、労働者としてだけではなく、地域と交流していくことができ、受入れが上手く進んでいるのだろう。このように多様なかたちで交流を進めていく姿勢が重要である一方、そこまでの取組を行うことができている自治体はなかなか限られていると思う。「市長のお話の中で、定住者を増やしていきたい、という話がありましたが、定住者を増やすことで、自治体側の負担が重くなる部分もあると思います。住民の理解はあるのでしょうか?」(萩原市長)市内では、ベトナム人を始めとする外国人住民との交流が始まっている。交流をしている方々は、企業の外から(外国人住民を)見ているのにも関わらず、「居続けて欲しい」と思い始めており、外国人を地域の一員として受入れていることに対し、違和感が無くなってきている、というのは特筆すべき点。ベトナム人以外にも、結婚による定住者が当市でも増加傾向にあるが、(外国人だからといって)排他的な扱いを受ける、というような話は耳にしない。ただ、その理由の一つには、受入れている人数が少ない、というのはあると思う。住民が「圧倒されない」レベルで、受入れを進めていくという限りにおいては市民に理解してもらえるのではと考えている。「美作市ではどのような発信を外国人に対してしていますか?」(萩原市長)ベトナム人がSNSをよく使用する点に着目し、FacebookとInstagramでベトナム語での発信を行っている。「美作市はこんなところ」という一般情報だけではなく、SNSを通じて来る外国人住民からの相談に対し、市役所のベトナム人職員が対応している、というやりとりの様子もそこはかとなく見えるようにしている。このような広報発信の宣伝効果は大きいのではないかと思う。「美作市に在住しているベトナム人はどのような将来の夢やビジョンを持っていますか?」(萩原様)コロナ前は、BBQをしながら話を聞く機会が多くあった。そのような場でベトナム人たちと話をすると、特に若者の多くはおしなべて「日本にいたいな」という気持ちがあったことを記憶している。日本に長く住む上で重要なことは、家族を日本で持てるかという点にあると考えており、賃金ももちろん大切であるが、教育もとても重要な要素である。「選ばれる地域になるために、外国人子弟の教育に力を入れている地域の事例などはありますか?」(毛受様)日系ブラジル人の集住地域ではそれらの取組を実施しているものの、日本人と同じレベルの学力になっているかどうかというと、そうではないのが実態。教育に関する課題は、親の経済力や日本語能力なども関連している複合的なものであり、包括的な支援が大切。「自治体関係者をはじめとする参加者へのメッセージをお願いします」(毛受様)萩原市長の話を聞き、とても勇気づけられた。バイタリティー、エネルギーがないとできない取組だろうと思う。(本日の自治体・国際交流協会等勉強会のような)JICA、JP-MIRAIがつくる機会のなかで、共感の輪をいかに広め、世の中を動かしていくか、ということが必要だと思う。(萩原様)「日本を守るために受入れが必要」という根本的な点を共通認識として持つべきではないかと考えている。国全体を動かしていくためにどうしたらいいのか、について、様々な主体を巻き込んで議論していきたいと思う。本日は当市の取組についてお話したが、地域だけでは解決できないことがたくさん残っていることについても最後にコメントしたい。(宍戸)本日の勉強会を通じ、萩原市長の強いビジョンとリーダーシップを基盤に行われている(人材確保という側面にとどまらない)複層的な取組やその戦略について理解が深まった。現在、技能実習制度の見直しに係る議論が進んでいるが、外国人受入れに係るビジョンについて、何らかのかたちで今後皆さんと議論が出来ればと思う。勉強会後の参加者アンケートでは、萩原市長のリーダーシップや美作市の取組についてとても感銘を受けた、参考になったなどの声が多く寄せられました。また、日本の人口減少の現状や、地方自治体における具体的な取組について参考になった、地方が選ばれるために、参照できる事例があればまた話を聞きたい、今後もこのような自治体・国際交流協会等向けの勉強会を開催して欲しい、といった声も聞かれました。JP-MIRAIでは、これらのアンケート結果も踏まえつつ、今後もテーマ毎の勉強会を実施して参ります。本勉強会に参加してくださいました皆様、誠にありがとうございました!<参考:JP-MIRAI自治体・国際交流協会等勉強会について>会員等による相互の取組の共有やJP-MIRAIを含む他機関との今後の連携を目的に2021年11月に「自治体・国際交流協会等第1回意見交換会」を実施しましたが、本意見交換会を通じ、各地域における多文化共生・外国人材受入れに係る取組の現状やニーズの多様性を再確認できた一方で、人材不足や日本語に関する取組など、地域横断的な共通課題があることも明らかになりました。このような意見交換会の結果を受け、多文化共生推進の重要な担い手である自治体・国際交流協会等の地域のステークホルダーに対し、地域横断的な知見共有の場を提供することを通じた多文化共生社会の実現を主眼に、2022年4月以降、毎回テーマを定めて「自治体・国際交流協会等勉強会」を実施しています。第1回の勉強会では、「戦略的な高度外国人材導入と選ばれる地方―『宮崎-バングラデシュモデル』」と題し、宮崎大学、九州センターと共催した合同セミナー形式で勉強会を実施(2022年4月27日、6月27日、8月4~5日)。全3回の本セミナーを通じて、地域における高度人材の導入の好事例である宮崎-バングラデシュモデルへの理解促進だけではなく、他地域で同様のモデルを展開する際、どのように産官学連携を進めていくことが出来るのか等、実務的な観点でも多くの学びあいがなされる場となりました。第2回の勉強会は、「グローカル・ハタラクラスぐんま(GHKG)」と連携の可能性について」と題し、留学生の地域定着モデルの好事例であるGHKGについて理解を深め、また、他地域での展開に際する課題や工夫について考える機会を創出しました。...