本企画では、会員各位の外国人受け入れ事例を紹介しています。 第9回でご紹介するのは、個人会員の大場孝弘さんです。京都にほんごRingsに所属する大場孝弘さんは個人会員としてJP-MIRAIに参加され、2021年度上半期活動報告会での発表で会員相互の投票にて優秀賞にも選ばれています。 https://jp-mirai.org/jp/2021/7375/ 大場さんの活動報告については右記のページの動画でも見ることができます。 https://jp-mirai.org/jp/2021/7660/ (「優良活動報告」の動画) 京都にほんごRingsのウェブサイトは右記をご覧下さい。https://www.kyo-rings.net/ 12月中旬に、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 <大場孝弘さん> Q:京都にほんごRingsの概要を教えてください。 京都にほんごRings(以下、Rings)は、京都府内で日本語教室を開いているボランティア団体のネットワーク型の組織で、2002年に結成されました。Ringsの主な活動は、地域の多文化共生を進め、情報共有・連絡調整を行うことです。3か月に1回会議と年1回の総会を行い、その時々のニーズに沿って、日本語の学習に関する技術の向上を目指しグループを作ったり、京都府の南北の違いなどの地域特性も踏まえ他教室の参考情報を提供したりしています。 日本語教室の対象や目的は団体や支援者により異なりますが、現在は教室を運営する23の団体と個人が加盟し、全員がボランティアで活動しています。2020年度の推定値では、約700人の支援者が延べ2万人の学習者に日本語の学習機会を提供しました。 公益財団法人京都府国際センターと協力し、今まで教室がなかった空白市町村での教室設置を目指して、新規教室の立ち上げ支援や日本語教師の養成講座に取り組んできました。2016年は18教室でしたが、その後、教室、支援者、学習者ともに増加しています。昨年は、新型コロナウイルスの影響で、以前から運営している教室関係者からは、「学習者・支援者とも減少している」と報告がありましたが、新規教室の増加によって全体的に増加傾向にあります。 <京都にほんごRings 教室データ 2018年度版> Ringsに加盟している団体・人は日本語を教えている方がほとんどですが、私自身はボランタリーな活動が目的を果たすための運営面をサポートしています。日本語教育以外の地域の特性や、多文化共生における課題を考えてもらう機会を提供する研修会の企画、自分の教室ではできないが会員から要望としてあがってくる取り組み(特に子どもに関わる活動)などのプロジェクトを進めてきました。 ここ2年間は新型コロナウイルスの拡大の影響で、私自身はオンラインツールの活用サポートが大きな役割となっています。 Q:加盟している日本語教室について教えてください。 歴史の長い教室では、国際交流の一貫として開いた教室や、英語などの媒介語を使った日本語学習をしていた教室もあります。日本語を使って日本語を教えるという、日本語教師の資格を持つ人を中心に開かれた教室もあります。 国際結婚や帰国者などを対象にした教室では、日本語学習とレクリエーションの機会の提供、暮らしの相談を行っているところもあります。最近は、学習者のほとんどが技能実習生という教室もあり、そこでは日本語能力検定対策のニーズが高くなっています。 教室の成り立ちによって支援者の参加動機や関心も異なり、日本語教育の手法に関心を持つメンバーは全体的に多いものの、技能実習生の増加に伴って、生活上の疑問や困りごとを聞くことに関心を持つ支援者が多い教室も生まれています。 Q:JP-MIRAIでは、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」(https://jp-mirai.org/jp/code-of-conduct/)を実践して頂くよう呼び掛けています。下記の行動原則に関連する取り組みを教えてください。 ①各団体への支援・情報提供 2020年のコロナ禍により、それまで行っていた公共施設を利用しての対面での教室は実施できなくなりました。そこでRingsは、各教室へのオンライン会議支援、学習機会の提供、オンラインイベントを開催し、支援を行いました。 RingsでZoomの有料契約を行い、Zoom操作の基礎やホスト運営の勉強会を開き、関心を持つ個人を集めて「Zoom活用グループ」を作り、勉強会や、運営体験を交代で行う体験会、その他のオンラインツールの利用法等の勉強会を開いてきました。また、個別に受けた相談に関して、同じような関心を持つ方を集めたオープン相談会も開いています。 支援者の中にはオンラインに抵抗を持つ方も少なくないため、オンラインでの交流会を開き、オンラインツールの抵抗を減らす取り組みをしてきました。Zoomのブレイクアウト機能を使った9時間のオンラインの交流イベントを実施し、日本語を学ぶ部屋、運営を話し合う部屋などの他に、支援メンバーが趣味を披露する部屋など多様な部屋を開いて、参加者が自由に出入りする催しとなりました。 オンラインでの日本語教育の研修のほか、個人で参加できる日本語教育について学びあう機会を設けたり、京都府内のコロナウイルス関連情報を定期的にMLで流したりしています。 現在、Ringsのウェブサイトでは、ワクチン接種会場で困らないように、ワクチン接種会場における会話スクリプトを作成し、各教室で活用できるようホームページにて公開しています。(https://www.kyo-rings.net/link20/211006/) ②Ringsの取り組みによる各教室や支援者の状況の変化 コロナ禍により完全に活動を停止していた教室もありましたが、個人的な努力でオンライン学習を続けた教室や、オンライン学習に取り組み始める教室も生まれました。オンラインツールに抵抗を示す支援者の理解を得るために、Ringsの研修やイベントを活用された教室もありました。一番大きな変化は、交流会に参加した支援者たちに、これまでは対面でないと開催できないと考えていたパーティーや交流会が工夫をすればオンラインで実施できると感じていただけたことでした。現在は、年始の交流イベントの準備をグループのメンバーとも相談しながら進めています。 特に郊外の市町村では、1か所の教室で、広範囲をカバーすることは難しかったのですが、対応できる見通しが立ってきました。より多様なサポートが可能だと考える支援者が増えてきたことが大きな成果だと感じています。 ③Ringsの取り組みによる学習者の状況の変化 オンラインの活用によって、これまで時間的・距離的な問題で参加できなかった学習者の参加が増えたことは大きな変化だと感じています。教室までの移動の負担がなくなったことで、参加のハードルが低くなったという意見も出ています。 双方が運営に慣れていない場合も多いですが、慣れてくると、日本語の学習だけでなく会話の頻度も増えてきて、学習者としてだけでなく生活者としての面に関心を持つ支援者も生まれていると聞いています。 一方で、特に、技能実習生は、会社からWiFiの環境を提供されていない、学習するスペースがないなど、学習者の通信環境・学習環境が整っていない問題も散見されています。 Q:今後の活動の展望を教えてください これまでの学習者は国際結婚や帰国などで地域の中で日常的に生活をしている人たちでしたが、この5年で、支援者も不足するほど技能実習生が急激に増加してきました。一方で、国際交流から始まった日本語教室も多く、日本語を教えることにやりがいを感じているものの、技能実習生特有の深刻な問題など、当事者の課題に踏み込むことに躊躇されている支援者も多くいらっしゃいます。 これまで、個人的に解決しようにも制度がわからず対応に苦労し、辞めてしまうボランティアもいたため、日本語教育以外は行わない教室もありました。 現在では、外国人技能実習生の課題に関心のある教室運営者も増えてきているため、個人の日常生活のお悩みや課題解決について関心のある教室も増えてきています。 今までもRingsの支援者とは「地域の日本語教室は他の行政サービスでは把握できない外国ルーツの人に出会える場所」であるということを話してきました。 親密度や信頼度が増せば、学習者が困っていることを話すようになることも当然考えられます。教え-教えられるという関係でなく、支援者が学習者に対して、地域に一緒に暮らす人として関心を持ち、接していくことにより、そのような機会が増えてくると感じています。 支援者は問題を一人で解決するのではなく、行政機関やNPO、企業などへの橋渡し役を担うことができるのではないかと思っています。 外国にルーツがある人の現状を知ってもらうことができるような情報提供も続けていきたいと考えています。 Q:JP-MIRAIおよびJP-MIRAI会員に期待していること、貢献できることなどございましたら、教えて下さい 多様な立場の方の経験を伺うことができ、Ringsの運営を考えるにあたってとても役立っていると感じています。それぞれの立場により、どのようなことで困るのか、またどのようなことが得意なのかなどがわかると、お互いに協力できることが増えていくと思います。 課題別に問題改善のチームなどを作り、具体的な改善事例が生まれるとより参考にしやすくなるのではと思います。 <インタビューを終えて> 大場様には、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いていただきました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。 <取材執筆協力 株式会社クレアン 秋山映美・原田宏美>...

本企画では、会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。 第8回でご紹介するのは、NPO法人トゥマンハティふくおかです。トゥマンハティふくおかは会員としてJP-MIRAIに参加され、2021年度上半期活動報告会ではご発表もいただきました。 トゥマンハティふくおかのウェブサイトは右記をご覧下さい。https://temanhati.jimdofree.com/ 11月下旬に、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 <代表理事 弥栄睦子さん> <トゥマンハティふくおかの皆様> Q:NPO法人トゥマンハティふくおかを設立した経緯について教えてください。 1997 年度留学生から学ぶ外国語「インドネシア語初級クラス」を受講したメンバーで、翌年インドネシア語学習サークルを設立しました。そこからインドネシア留学生や研修生と友達づきあいが始まり、現NPOの理事はこのメンバーが中心となっています。 1997年に起こったアジア通貨危機の影響により、インドネシアの通貨「ルピア」が暴落したことで、インドネシアでは経済的な理由から学校に通えない子どもたちが急増してしまいました。それを知った九州大学のインドネシア人留学生たちが、自分のお小遣いからインドネシア現地の子どもたちに支援を始めました。2002年には、留学生側から、チャリティ・イベントを開催したいので手伝ってほしいと頼まれ、『第1回インドネシア・チャリティ・デー』で、その活動をお手伝いするようになったことが団体設立のきっかけです。 2003年7月には、任意団体「インドネシアの子供の教育を救う会」を設立し、ほぼ毎年留学生と一緒にチャリティ・イベントを開催し、経済的理由などで通学を続けられない小・中学生へ奨学金を届けてきました。EPA(Economic Partnership Agreement=経済連携協定)で看護師、介護福祉士の方々が日本に来たり、技能実習生や大学の私費留学が増えたり、国内でもサポートをしなくてはならない人が増えてきたことから、2014年9月に名称を「NPO 法 人トゥマンハティふくおか」とし、特定非営利活動法人化しました。 Q:トゥマンハティふくおかの主な活動内容について教えてください。 トゥマンハティ(Teman Hati)とは、インドネシア語で『心の友』という意味です。日本に住んでいても、インドネシアに住んでいても、居住している国に関わらず、同じ権利を持って暮らせる社会にしたいという思いで名付けました。活動は国際交流、国際協力、多文化共生の三本柱で行っています。インドネシアの子供の教育支援に加え、福岡の国際化推進など、さまざまな活動を通して、地球市民ひとりひとりが「Teman Hati (心の友)」として安心して暮らせる真のユニバーサル社会実現を目指しています。 Q:外国人労働者支援の取り組みを教えてください 【職業性ストレス簡易調査票(57項目)多言語化事業】 EPAで来日していた看護師候補者と出会った際に、滞在期間中に国家試験に通らないといけないというストレスと、母国の家族に仕送りをしないといけないため身体的にも精神的にもいつも疲れていたように見えました。また、企業の受け入れ環境が整っていないことによるインドネシア人技能実習生のトラブルを実際耳にしており、メンタル面でもサポートが必要と感じていました。 国内で働くEPA看護師・介護福祉士候補者や技能実習生のため、簡易性ストレスチェック57項目を7か国語(カンボジア語、フィリピノ語、ミャンマー語、ベンガル語、タイ語、ネパール語、インドネシア語)に翻訳し、Webサイトにて無料で提供しています。 参照:https://stress-check-multilingual.jimdofree.com/ 2020年5月13日~2021年10月22日までの期間で、ページビューは3,635回(うちインドネシア語213、タイ語131、ミャンマー語115)でした。任意でご報告いただいたダウンロード件数は23件です。 検査後には、結果シートの翻訳、産業カウンセラーによる個別面談も受け付けています。 【インドネシア人人財サポート】 インドネシアに特化した強みを生かし、受け入れ準備から滞在期間中、帰国時まで、インドネシア人人財をさまざまな角度からサポートしています。 地域に暮らす外国人と住民が交わるきっかけが持てないことで、さまざまな問題が発生しているケースも見受けられます。まずお互いが文化や言葉について知識を持つことで仲良くなることができれば、就労トラブルなどのさまざまな問題を未然に防げるという考えの元、非営利団体という立場で支援を続けることが大切であると考えています。 多文化共生セミナーやワークショップの開催(受け入れ前の事前学習) 翻訳・通訳(ジャカルタ在住のメンバー) 日本語学習の機会の提供(日本語教師・日本語ボランティアの派遣) 【外国人と仲良く暮らすための多文化共生ワークショップ】 地域の方や同じ職場で働く方に、もっと外国人への理解を深めてもらう目的で、多文化共生についてのワークショップを実施しました。 <ワークショップのプログラム> 1. カードゲームを一緒に楽しんで、インドネシア人と仲良くなろう 講師:dopang株式会社(言語屋)代表 Tania Mirella氏) 2. やさしい日本語のコツを学んで、伝わる自己紹介をしてみよう 講師:「入門・やさしい日本語」認定講師 自見佳珠子氏 3. 「多文化共生ってなんだろう?」~事例を通じてみんなで考えるワークショップ 講師:JICAデスク福岡 国際協力推進員 鬼丸武士氏 4. インドネシアの基礎知識/プレゼンテーション 今回はインドネシア編として実験的にワークショップを実施しましたが、他の国でもアレンジできるプログラムにしたつもりです。今後バージョンアップを重ねて多方面に展開したいと考えています。特に、企業−従業員間のトラブルを未然に防ぐために、外国人材を受け入れている企業にもこのようなワークショップが有用ではないかと考えています。 【特定技能人材候補者との日本語交流会】 2020年度は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令等により、予定していた事業が次々と中止となってしまいました。その一方で、オンライン会議の利点を生かして、現地とリアルタイムに結びつきコミュニケーションを取るという新たな支援の可能性も見えてきました。 2021年3〜5月に3回にわたって、インドネシア、バリ州ジュンブラナ県ヌガラの認定送出機関で日本語を学ぶ特定技能人材候補者たち(参加者:インドネシア人14名、日本人11名)とオンラインで日本語交流会を行いました。日本側からは「日本の生活費の相場」「日本語上達のヒント」「日本で働くことの心構え」について話をしました(インドネシア語での通訳つき)。送出機関とタイアップしてこのような事前レクチャーをすることは大事だと感じています。 Q:JP-MIRAIでは、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」(https://jp-mirai.org/jp/code-of-conduct/)を実践して頂くよう呼び掛けています。下記の行動原則のうち、(1)~(4)について、特に気を付けていることや具体的な取り組みがあれば教えてください。 (1)私たちは、外国人労働者の受入れに当たり、関係法令を遵守します。 (2)私たちは、外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます。 (3)私たちは、働く場と生活の場の両方で、外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します。 (4)私たちは、日本及び国際社会の発展と安定に貢献するため、外国人労働者の能力開発に尽力します。 (5)私たちは、プラットフォームの取り組みを日本国内及び世界に発信していきます。 (2)の外国人の人権尊重を意識しています。特に私たちは労働者に焦点を当てているのではないのですが、私たちのコミュニティの交流の中にインドネシアから日本に来て働いて生活している方々も含まれていると考えています。企業に積極的に提言をしていくような段階にはまだないと考えていますが、特定技能登録支援機関や企業と知り合いになるところから、まずは意見交換から始めていきたいと考えています。皆でお互いに知り合いながら仲良くなっていくことが自然な形ではないかと考えています。 Q:JP-MIRAIおよびJP-MIRAI会員に期待していること、貢献できることなどございましたら、教えて下さい 私たちは、元々インドネシア人からインドネシア語を習っていたメンバーで、インドネシアが好き、という気持ちから交流の延長で団体の活動を行っています。インドネシアに関わって20年という歴史があるため、インドネシアについては国民性や文化などの知識の蓄積があります。何でも聞いていただければと思いますし、インドネシア語の通訳や翻訳も可能です。 NPOとして外国人労働者の責任ある受け入れを考えたとき、NPOだからこそできることとは、行政や企業、外国人とのハブになることだと考えています。前述した多文化共生のワークショップもさまざまな所属の方をお招きしました。NPOというどこにも契約関係のない第三者的な立場だからこそ、外国人労働者の方、ステークホルダーの方へ隣人のように多文化共生の支援を提供できると思っています。 <インタビューを終えて> 弥栄様には、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いていただきました。友人関係の延長線上としての支援というご認識が、とても印象的なインタビューでした。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。 <取材執筆協力 株式会社クレアン 秋山映美・原田宏美>...

本企画では、会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。第7回は、アジア技術交流協同組合です。 アジア技術交流協同組合は「世界中の人や企業にチャンスを提供する」を理念として2008年に設立された監理団体で、インドネシア人を中心とした技能実習生の受入れを行っています。アジア技術交流協同組合の概要については右記ウェブサイトをご覧下さい。https://asea.jp/ 10月26日にJP-MIRAIが行ったJP-MIRAI会員の2021年上半期活動報告会で今年の取り組みについて報告いただきました。そして会員相互の投票により優秀賞に選ばれました。https://jp-mirai.org/jp/2021/7375/ そのアジア技術交流協同組合の事務所をJP-MIRAI事務局が訪問し、取り組みや想いを伺いました。 <インタビューに応じて頂いた アジア技術交流協同組合 左から小川さん、ナディアさん、代表理事の下茅さん> <アジア技術交流協同組合の皆さん> Q. アジア技術交流協同組合(ASEA)のプロフィール、他の監理団体と比べた特徴を教えてください アジア技術交流協同組合(以下ASEA)は2008年設立の監理団体です。設立メンバーがインドネシアとビジネスのつながりがあり、インドネシアに貢献したいという想いからこの団体が設立されました。代表の下茅はもともとグローバル企業に所属しており、仕事の中でインドネシアと関わる機会も多く、そんな中技能実習事業に関する依頼を受け、代表を引き受けることとなりました。 ASEAは技能実習生の受け入れをメインの事業としていますが、特にサポートに力を入れている団体です。東京本社にはインドネシア人スタッフが現在4名おり、皆日本語能力試験N1の資格を持っています。日本人スタッフも海外経験が豊富で、外国人への理解が深いスタッフが多く在籍しています。日本人と外国人双方のメンバーが上手くチームを組みながら技能実習生の受入れを行っています。 具体的には、実習生の受入れ企業に対して監理団体の担当は通常1人だと思いますが、ASEAでは日本人チームとインドネシア人チームのダブルチーム体制で対応しています。企業側、実習生側両方の悩みに応えるため、日本人(企業)の文化とインドネシア人(実習生)の文化の両方を理解できる体制が必要だと考えています。また、月1回以上はASEAの担当者が実習生へコンタクトを取って、状況を確認したり悩みを聞いたりして実習状況の把握に努めています。 ASEAの特徴の一つとしてインドネシア人実習生を中心に受入れを行っていることが挙げられます。彼らは全般に手先が器用で、真面目で素直だと多くの企業から高い評価のお声を聞きます。また、相手の気持ちを気遣うところなど日本人と似ている部分があると言われています。現在の組合員企業様が別の受入れ企業様を紹介して下さることによって、ASEAが関わるインドネシア人実習生の受入れが増加しています。 Q. JP-MIRAIの5つの行動原則(https://jp-mirai.org/jp/code-of-conduct/)の実践において特に重視していることを教えてください 以下の行動原則を特に重視して活動しています。 ●【行動原則3】私たちは、働く場と生活の場の両方で、外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します ・メンターの設置 社内における日本人と外国人の価値観の違いを認識しその課題を解決しようとしています。 具体的には、外国人スタッフを日本人スタッフがフォローし相談に乗っていく「メンター」を2020年の9月から配置しています。 メンターを設置する前から日本人スタッフは外国人スタッフの「相談役」として時々相談には応じ、その中で彼らの課題は見えていました。今までは日本人スタッフは一個人として悩みを聞いていたのですが、そこから組織としてシステムを作っていこうとなってメンター設置に至りました。 東京オフィスにはインドネシア人が4名いますが、彼らに対し日本人メンターを2名配置しています。メンターは外国人スタッフと月1回の面談を実施しマネージャーへ共有、マネージャーから他の日本人スタッフに外国人スタッフの課題と改善策を共有していく、という仕組みです。 外国人スタッフは「文化の壁を気にして自ら発信しない」ことも多く、「大丈夫?」と聞いても「大丈夫」としか言わないことも多いです。そこで立場が近い人間が彼らの意見を吸い上げることがポイントとなります。インドネシア人実習生にも共通することですが、「こちらから聞く」というスタンスが大事だと思っています。具体的に聞くことによって、外国人スタッフは答えやすくなるようです。 ・課題解決と今後の取り組み 例えば実際にあった外国人スタッフの悩みとして、集中してお祈りをする環境がないということがありました。(注:インドネシアはイスラム教徒が多く、1日5回のお祈りがあります。頻度はその方の宗教観によります。)それを受けASEAは、オフィスの中にお祈りコーナーを用意しました。また、車での移動中などでもお祈りが出来るよう配慮しました。お祈り中は外国人スタッフに話しかけたり触れたりしない、ということをASEA全体で周知して、安心してお祈りできる環境を作っています。 また、イスラム教の教えではアルコールは禁止されています。このため外国人スタッフがお酒を飲めないので社内の会合に参加しづらいということがありました。この問題もメンターが察知して日本人スタッフと検討し、外国人スタッフの為「ランチ会」を実施するようになりました。 今後のさらなる取り組みとしては、コロナが落ち着いてきたら、日本人スタッフと外国人スタッフのランチ会を再開し、更に親睦を深めていきたいと思っています。また、インドネシアにゆかりのないスタッフに対しても理解を深めてもらえるよう外国人スタッフによる語学文化講習の取り組みを再開したいと考えています。今後もメンターを活用し、外国人スタッフとの相互理解に努めていきます。 ●【行動原則4】私たちは、日本及び国際社会の発展と安定に貢献するため、外国人の能力開発に尽力します ・技能実習生へのキャリアサポート ASEAが受け入れている外国人にとって、技能実習生の時代が小中学校(土台)と考えると、特定技能に進むことは高校、大学のようなものと捉えることができます。彼らが技能実習満了後、母国へ帰るという選択もありますし、更に技能を磨くため特定技能の道へ進むことも出来ます。進路決定の際は、実習生本人の希望する進路にスムーズに移行できるよう、企業と協力しながらサポートをしています。 Q. 外国人の日本におけるキャリア観と現状の制度下での課題は何だと考えていますか。 技能実習生が3年で帰ってしまうのを残念に思う企業も多いです。熟練するにはもう少し時間が必要だと考える企業も多いからです。そのような企業からは、昨今議論されている、特定技能での在留期限を延ばすという話は歓迎されるかと思います。一方で外国人労働者(特定技能外国人)からすると、日本に長くいるためには整った生活環境も一定の給料も必要です。住居については現状外国人に対して貸し手が多くはないなどの問題が出てきます。さらに、特定技能2号に進む外国人労働者がどんどん増えることで、彼らの家族帯同による問題も出てくるかと思います。その時に、例えば日本語をまだ上手に話すことが出来ない帯同子女の教育について、責任をもって実施できる環境が日本ではまだ平均的には整っていないと言われています。私たち監理団体も今後は彼ら外国人労働者の家族の悩みや教育支援をすることが必要になってくるかもしれません。 Q. 外国人労働者を取り巻く環境に関するアジア技術交流協同組合の想いを教えてください。 私たちの組合は「世界中の人や企業にチャンスを提供する」という理念があります。インドネシアも国民の70%は中間層となりましたが、国民の30%は未だ貧困層です。この層に属する若者たちに引き続き日本に来るチャンスを提供していきたいと思っています。 また、日本国内でも地方の人口減少という問題がある中で、外国人の技能実習生が地域に入ることによって高齢の日本人労働者のモチベーションが上がるという効果も聞いています。 ぜひ海外の方に色々な地域に入って頂き、地方創生に役立ちたいと考えています。 Q. JP-MIRAIおよびJP-MIRAI会員への期待を教えてください。 JP-MIRAIのほかの会員企業のお話はとても勉強になります。もっと会員同士の交流の機会があればと思います。また、世界では国や宗教によって文化や考え方が異なります。それらを私たち日本人が学ぶことのできる専門家によるセミナー動画などがあれば是非活用していきたいと思います。 <インタビューを終えて> 下茅さん、小川さん、ナディアさんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いていただきました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。...

本企画では、会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。第6回でご紹介するのは、NPO法人Adovoです。Adovoは会員として責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム(JP-MIRAI)に参加されています。AdovoはJP-MIRAI会員の中でも最若年に属する会員です。何しろ理事長が高校2年生!他のメンバーも高校生中心に10代で構成されているNPO法人です。「ともに生き、学びあう、『ともいき社会』をつくる」という目標のもとに集まった10代の若者たち。Adovoのウェブサイトは右記をご覧下さい。 https://www.adovo.org/11月上旬に、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 NPO法人Adovo 松岡柊吾さん NPO法人Adovo 名取陸之助さん NPO法人Adovoの皆さんQ. なぜ高校生がNPO法人を作ったのでしょうか?松岡さんが通っている高校でベトナムに2週間行ける「ベトナム研修」があり、その前にベトナム語の先生が来たのですが、その先生がベトナム人技能実習生の保護をしていてNHKに出ているということを聞いて初めて知り、「こんな人がいるのか」と驚きました。また高校の国語の課題でプレゼンをするという課題が出て技能実習生のことを調べているうちに深く知りたいと思い、新聞の切り抜きや本を読んで、でも友達が全然知らないので「僕たちは高校生だから、高校生に知ってもらいたい」と思い、松岡さんが中心となり知り合いに電話し任意団体を結成しました。最初は発信活動をやっていました。SDGsについての活動をやっている高校生は結構いて、イベントで横のつながりがあり、それを使って技能実習生関連の発信(イベントを開いてディスカッションしたりホームページに記事を書いたり)をしていました。でも技能実習生の問題についてどんなに発信しても誰も見てくれません。そこでどうやったらさらに効果的に発信できるかを考えて中高生に技能実習生問題を知ってもらうための作文コンテストを企画しました。しかし、任意団体だと作文コンテストのポスターも貼ってもらえないのではないかと思い、社会的な「信用」が必要だと考え、今年の4月にNPO法人の設立を申請し、7月に設立しました。NPO法人設立の過程ではネットで情報を収集し書類を作って、都庁までお金がなかったので歩いて行って申請に行きました。法務局に提出した印鑑も学校の技術部の助けを借りた手作りでした。Q. 現在の活動の概要と今後の活動予定を教えてください3つの活動の柱があります。国際交流会日本人の外国人への偏見をなくせればいいなと思い、始めました。今年の4月から始めて月2回ベースで今まで10回ほど開催しています。すべてオンラインです。交流会に参加するのは10人から30人。日本人3:外国人各国から7の割合で、日本人は学生が参加し、外国人はバングラデシュ、インドネシア人などで、留学生が中心ですが、最近は社会人も入っています。 交流会の言語は英語がメインですが、交流会の中でLanguage Exchangeというプログラムを入れて、1対1のブレイクアウトセッションの中で、英語ではなくお互いの母国語の言葉をしゃべるという試みをしています。東南アジアの外国人が参加した時、知り合いの技能実習生の話をしてくれて、本で読んだことと違う話を聞くこともあり、実際に本人と話さないとわからないことがあると思いました。日本語教室今年の9月から始めました。これもオンラインで、日本語教師に興味がある学生(8人)が無償で外国人の方(10人強)に週1~2回、1対1の形式で日本語を教えるというものです。外国人は技能実習生などの労働者のほか、現地在住の外国人もいます。Adovoは学生と外国人のマッチングを行います。国際交流したい学生が英語を使ってよりレベルの高い国際交流をできるというのが参加のメリットになります。参加した学生は最初みな落ち込みますが、英語が通じない場合でも、画面共有で絵をかいたりしてコミュニケーションしています。ともいきプロジェクトAdovoがその理念として掲げるのが「ともに生き、ともに学び合う『ともいき社会』を創る」です。この「ともいき社会を創る」ために計画されたプロジェクトが「ともいきプロジェクト」略してともプロです。ともプロの具体的な内容は以下の二つです。全国の中高生を対象とした小論文・作文コンテストの開催上のコンテストで優秀な政策を提案するものがあれば、それを元にした政策提言を行うための署名活動詳細はこちらのサイトをご覧下さい。 https://www.adovo.org/post/operation-tomoiki-%E5%A7%8B%E5%8B%95%EF%BC%81Q. JP-MIRAIの5つの行動原則(https://jp-mirai.org/jp/code-of-conduct/)の実践において特に重視していることを教えてください以下の3つの行動原則を特に重視して活動しています。私たちは、外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます。ともプロのような企画を進めるためにはまずは私たち自身が彼らのことを尊重し、理解し、まずは我々から「ともいき」していくべきだと考えています。そこで、実際の外国人労働者・技能実習生の方々にお話を伺ったり、法律面のこともメンバー皆で共有しつつ、学んでいけたら良いなと考えています。「まずは私たち自身から」というのはAdovoのマインドの一つでもあります。私たちは、日本及び国際社会の発展と安定に貢献するため、外国人労働者の能力開発に尽力します。私たちの日本語教室は高校生が一対一で丁寧に日本語を教えるという形式をとっています。もちろん専門の教育を受けているわけではないから期待通りのものができているわけではありませんが、一対一で日本語をお教えすることで、彼らがあまり触れることがないであろう日本の学生と話すこともでき、日本語だけではない価値があると考えています。生徒さんは随時募集中です!私たちは、プラットフォームの取り組みを日本国内及び世界に発信していきます。私たちの強みといえば、同年代である学生への発信力です。JP-MIRAI Youthも含め、本プラットフォームのことをもっと学生にも知ってもらえるように取り組んでいけたらと思っています。また、最新のテクノロジーや機械系にはめっぽう強い自信があります。Webサイトの制作だって、SNSだって使いこなしています。Q. Adovo設立のきっかけとなった「技能実習生」に関するAdovoの思いを教えてください。「技能実習生を助ける」という設立当初の目標には近づいていると思います。最初に松岡代表がこの問題を提起した時に周りで技能実習生問題を認識している人はいませんでしたが、活動が始まると技能実習生問題にかかわりたいという仲間がどんどん増えてきました。Adovoの中でも、Adovo外の学生団体も その中でできることがもっとあると思っています。活動している中で、「学生のパワー」を感じており、学生だけで解決できる「技能実習生問題」も多いなと感じています。一人でも多くの人を楽にできる、そういうことをする力はあるなと感じています。Q. JP-MIRAIおよびJP-MIRAI会員への期待を教えてください。私たちは本格的に活動してから半年もたっていません。私たちはJP-MIRAIの中ではまだまだ技能実習生に触れる機会の少ない団体です。JP-MIRAIの皆さんから知識を教えて頂きたいし、私たちもどん欲に学んでいきたいです。JP-MIRAIの他の会員各位から何か声をかけられれば何でもやります。是非一緒にプロジェクトをやっていきたいです。Adovo松岡さん、名取さんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いていただきました(特に名取さんは、ニュージーランドからのオンライン取材参加でした)。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。...

本企画では、会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。 第5回でご紹介するのは、茨城県外国人材支援センターです。茨城県は会員として責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム(JP-MIRAI)に参加されています。 茨城県外国人材支援センターのウェブサイトは右記をご覧下さい。https://ifc.ibaraki.jp/ 9月上旬に、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 <茨城県労働政策課 高野弘毅さん> Q:外国人材支援センターを設立した経緯について教えてください。 茨城県外国人材支援センター(以下、「センター」)は平成31年4月に設立されました。 国において、新たな在留資格である「特定技能」が創設され、本県企業の人手不足の解消についても、外国人材等の活用が求められていますが、外国人雇用への理解不足や在留資格などの諸手続きの煩雑さ等から雇用に踏み出せない企業が存在するため、外国人雇用に関する制度の周知等を図り、外国人材活用を進めていくことが課題となっています。 外国人の方々に活躍いただくために就労支援や生活相談等一体的な支援を行うとともに、企業に対し外国人材の受入れに向けた支援全般を行い、就職マッチングや外国人材の県内定着を図ることで、継続的かつ安定的に人材・労働力を確保し、人手不足の解消、及び県内企業の発展を図るのが当センターの目的です。 外国人材の方が活躍するためには、企業において、適切な労働環境が整備されていることが前提になります。外国人材の受入れ経験が無い企業等に対し、茨城県外国人材支援センターのアドバイザーがサポートし適切な受入れ環境を整備した上で丁寧なマッチングを行うことで、外国人の方には「茨城に来てよかった」、企業の方には「外国人材を採用してよかった」と思ってもらえる好事例・モデルケースを発信しPRすることで、「選ばれる茨城」を目指します。 Q:外国人材支援センターの主な活動内容について教えてください。 ① 企業支援の概要 外国人材と企業のマッチングは民間企業含む他の団体でも行われていますが、茨城県では、マッチング前に外国人材を雇用する前の環境を整備したり、就業した後の定着支援のサポートに特に力を入れています。 県内の多くの中小企業では、外国人材の受け入れ実績が無いことはもとより、職員の方が外国人の方々と接したことが無いため異文化に関する知見が無かったり、受入れにあたり必要な就業規則や労務管理などの環境整備に時間と費用がかかるなどの理由により、外国人材の採用まで踏み切れていないケースが見受けられます。特に外国人材を雇用する場合は、従事しようとする業務が、外国人本人が持つ学歴や職歴、経験などと一致していないと在留資格が下りない、という日本人の雇用には無いハードルがあります。 センターには、中小企業役員経験者や海外法人立ち上げ経験者、海外駐在経験者など企業支援スキルを持つ者が専門アドバイザーとして駐在しています。彼らが中心となり、県内企業に、事業内容や人材の充足状況、事業計画、外国人材に対する理解等をヒアリングし、従業員の方が働く現場を見て問題ないと確認した上で、外国人材の雇用を提案します。また、外国人材を雇うために必要な手続きや環境整備、在留資格制度を併せて伝え、外国人材の雇用は決して簡単ではないことも説明します。 在留資格や労務管理の専門的な知見が必要な場合には、定期的に無料開催している行政書士や社会保険労務士の相談会に参加いただき、就業規則改訂や雇用契約書作成、適切な労務管理などの支援を行います。 この他、外国人材を雇用してみたいという企業を開拓することも重要なミッションであることから、駐日在外公館や、JICAさんやJETROさんなどの海外に拠点を持つ公的機関などとも連携し、一流の講師陣を揃えセミナーを開催し、異文化理解や海外事情、外国人材の持つポテンシャル等を講演いただいています。 これらのサービスは、全て無料で行っておりますが、言い方を変えれば、外国人材支援センターは企業さんと対等な立場にあるということだと思います。外国人材の方々に活躍いただくために、我々センターは企業さんに整備いただきたい事項を繰り返しお伝えさせていただきますが、もしご協力いただけない場合には、支援をお断りさせていただくこともございます。 ② 外国人労働者支援の概要 外国人の方は、就職活動に必要な情報を得るのが簡単ではなかったり、想定していた仕事と違っていたので離職したと、いうケースを耳にします。このため、センターでは県内企業の紹介や、県内視察ツアー、インターンシップの企画、県内企業との意見交換会などを開催し、企業と外国人材間のコミュニケーションを丁寧に行うことで、外国人の方に茨城県及び茨城県の企業を好きになってもらった上で就職いただき、ミスマッチの防止に努めています。 ある大学で留学生向けに就職ガイダンスを開催した際に、経済系の文系学生がIT企業でシステムエンジニアとして就職したいという方がいたのですが、在留資格があわないため就職できないことをお伝えしたことがあります。このようなケースは、非常によくあることですので、事例を交えながら、繰り返し、丁寧に説明していくことが重要です。 Q:ウェブサイトでは、ベトナム、インドネシア、モンゴル、ミャンマーを重点4か国に位置付けていらっしゃいますが、現時点でどちらの国籍の方と県内企業のマッチングが多いですか? この4か国は、海外から外国人材を受け入れるにあたっての重点国であり、国内にいる外国人の方々であれば、特に国籍の別なく、県内企業とのマッチングに取り組んでいます。ちなみに、マッチング件数が多い国籍は、ベトナムになります。既にベトナムの方は日本国内にも沢山いらっしゃいますが、企業側にとってなじみがあったり、またベトナム人の留学生も多いことが理由だと思います。 Q:これまでにエントリー(もしくはマッチング)した外国人労働者は、どのような在留資格の方ですか? 本県がメインで支援対象としているのは、「技術・人文知識・国際業務」若しくは「特定技能」の在留資格で就職したい方になります。 ただ、昨年度は、コロナ禍の影響で実習が継続できず、雇止めになってしまった技能実習生に別の実習先を紹介するというサポートもしました。 Q:これまでにエントリー(もしくはマッチング)した企業・団体は、どのような業種・団体ですか? 県内でも企業数の多い製造業や、あとは人手不足の業種とされる建設業やIT業界が多くなっています。その他、数は多くありませんが、人材派遣業や小売業、官公庁などにおいてもマッチング実績があります。 Q:JP-MIRAIでは、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」を実践して頂くよう呼び掛けています。下記の行動原則のうち、(1)~(4)について、特に気を付けていることや具体的な取り組みがあれば教えてください。 (1) 私たちは、外国人労働者の受入れに当たり、関係法令を遵守します。 (2) 私たちは、外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます。 (3)私たちは、働く場と生活の場の両方で、外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します。 (4)私たちは、日本及び国際社会の発展と安定に貢献するため、外国人労働者の能力開発に尽力します。 (5)私たちは、プラットフォームの取り組みを日本国内及び世界に発信していきます。 ① 行動原則1‐法令遵守について ・相手国の法令を意識 本県が海外から人材を受け入れるに向けては、中央政府や地方政府、大学といった信頼できるカウンターパートと連携しています。連携を進めるにあたっては、覚書という公文書を取り交わしておりますが、当覚書の中で、相手国と日本、双方の法令に従って、適切なルートで、適切な人材を受け入れていくが明記されています。 仲介団体が労働者から徴収する手数料への対応については、例えばベトナムでは送り出し機関を経由しないと採用できない仕組みであるため、どうしても手数料が発生してしまいますが、もちろん、金額の妥当性や、何のために徴取する経費なのか等を確認し、他社の金額とも比較した上で、マッチングを行います。 ・登録企業の法令遵守の確認方法 先にお伝えした通り、センターが企業支援するにあたり、外国人材の雇用を具体的に提案する前に、就業規則や雇用契約書、労務管理、同一労働同一賃金、居住環境などが適正であるか、確認いたします。もし、適切でない点が見つかれば、修正をお願いしますし、必要があれば当センターの行政書士や社会保険労務士の相談会に誘導します。 また、センターは既に働いている外国人労働者の方からも広く相談を受け付けており、もしセンターで対応できない問題であれば、出入国在留管理庁や労働基準監督署への相談をご案内しています。センターを利用して就職された方には、何かあれば相談するようご案内しています。 ② 行動原則2-外国人労働者の人権尊重(労働環境・生活環境含む)について ・外国人労働者からのよくある相談事例と対応事例 センターが就職支援を行った外国人の方からではありませんが、「パスポートを取り上げられてしまった」などの深刻な相談が寄せられた際には東京出入国在留管理局水戸出張所を案内したり、残業代が支払われないといった相談には、労働基準監督所を紹介します。 企業からは、外国人労働者がごみの分別が理解できず困っている、音楽のボリュームが大きいなどの騒音、異文化理解の面のトラブルの相談が寄せられることもあります。こういった生活上のルールは、海外に暮らしていた方にとってはなじみがない場合が多いので、問題が発生してからではなく、事前に教える必要があります。特に、初めて外国人材の受入れを行う企業に対しては、外国人労働者を受け入れるということは、生活指導担当者を決めた上で、こういった生活上のルール順守も含めて、外国人の方へのサポート体制を構築する必要がある旨、ご案内しています。 ③ 行動原則3-外国人労働者との相互理解について ・外国人労働者の言語サポート せっかく茨城県を選んで働きに来てくれたので、少しでも日本語のコミュニケーション力を向上し、活躍いただきたいという思いで、本県は日本語学習支援e-ラーニングシステムを構築し、県内企業の担当者及び外国人従業員に無償で利用いただいています。このシステムでは、企業の管理者が、外国人従業員の学習状況を、例えば今月何回ログインし、総学習時間は何時間で、どれだけ学習が進捗したのか、などを確認することができる仕組みになっています。 ただ、課題もあって、このシステムを使って継続して勉強している方の数がアカウント発行総数に比べ少ないので、高いモチベーションをもって勉強を続けてもらえるようなモデルケースの創出に向け、今年度から伴走支援を始めました。 ④ 行動原則4‐外国人労働者の能力開発について ・資格取得のサポート制度について 茨城県は、ベトナム・ロンアン省と外国人材の送出・受入れに関する協力覚書を締結しましたが、この覚書に基づき、県内介護施設で技能実習生を受け入れ、介護福祉士の資格取得までサポートし、茨城県及びベトナムの介護産業を支える介護人材を育成するプロジェクトをスタートさせました。ちなみに、外国人の方が介護福祉士の資格を取得すれば、「介護」という在留資格を得ることができ、更新すれば在留期間の制限がなく日本で就業を続けることが可能になります。 Q:外国人材支援センターはJP-MIRAI共同事務局のJICA(独立行政法人国際協力機構)と協働を行っていますが、センターとしてJICAに期待されていること、具体的に協働されていることにはどういったことがありますか? 2020年12月にJICAさんと茨城県の間で外国人材の送出し・受入れ分野での連携を目的とした覚書を締結いたしました。また、2021年2月からは、センターにJICAさんの国際協力推進員に駐在いただいています。JICAさんには、海外に多数の拠点をお持ちであり、また、途上国に対する長年の開発支援などを通して蓄積した海外の知見やコネクションをお貸しいただきたいと考えています。 これまでの共同の取組みで言うと、例えばJICAモンゴル日本人材開発センターさんと共催で、モンゴルと茨城県をwebでつなぎ、日本への就職に興味があるモンゴル在住のモンゴル人の方々に、茨城県の紹介や在留資格制度の説明をするとともに、茨城県で既に就業しているモンゴル人の方からのメッセージも配信しました。実際に、セミナー参加者から茨城県で就職したいので支援してほしい、という依頼もいただきました。 コロナ禍の渡航制限によりセミナーや就職面接会を対面で開催するのは困難ですが、オンライン環境をフル活用し、JICAさんの海外拠点と連携しながら、コロナ終息後にスムーズな受入れ体制を整えることができるよう取り組んでいきたいと考えています。 Q:JP-MIRAIに貢献できること、期待していることなどございましたら、教えてください。 JP-MIRAIさんには、会員さんにおける先進的な取り組みや優良事例を横展開してくださることを期待しています。他県を見ても、行政が外国人材の受け入れ促進に着手し始めたのはここ数年であり、どの自治体も手探りの状況かと思いますので、是非参考にさせていただきたいと考えております。 茨城県外国人材支援センターと協働されている、JICA筑波センター渡邉所長からも次のようなコメントをいただきました。 JICA筑波センターでは、2020年12月に茨城県と、外国人材の育成、送出し、受入れ等に関する連携強化に向けた覚書を締結し、以下の取り組みを推進しています。 ・外国人材の茨城県内企業への受入れ促進 ・外国人材の県内企業への受入れに必要な各種イベントの開催 ・途上国の開発に資する県内企業の海外展開支援やグローバルな産業人材の育成 ・外国人材と茨城県民との相互理解の促進及び茨城県における共生 等 開発途上国の開発を支援するJICAにとっては、外国人材受入れ支援という活動自体が新しい取り組みで、どのようなことが求められているのか、何をどのように支援できるのか、悩みながら手探りでいろいろな事例を積み上げています。 JICAの目的である「開発途上国の開発を支援する」というところに立ち返ると、来日された方が茨城県で活躍されるだけではなく、母国に戻った後に母国の発展のために活躍できることが大切であると考えています。そのため、今後は茨城県内企業の海外展開支援等も含めて、来県された外国人材の方が母国でも活動される循環型の支援を進めていければと考えています。 茨城県庁高野様、JICA筑波センター渡邉所長様とも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いていただきました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。 <取材執筆協力 株式会社クレアン 秋山映美・原田宏美>...

本企画では、毎月1回会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。 第4回でご紹介するのは、協同組合FUJIで、会員としてJP-MIRAIに参加されている監理団体です。 協同組合FUJIは、横浜と名古屋に本部があり、ベトナム、インドネシア、タイ、中国、インド、フィリピンから技能実習生を受け入れています。 協同組合FUJIのウェブサイトは右記をご覧下さい。https://c-fuji.or.jp/ <協同組合FUJIの皆さん> 6月中旬に、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 Q:監理団体設立から現在の状況について教えてください 2009年、岐阜県で設立しましたが、設立当時は、岐阜県や愛知県で繊維業を中心に研修生や実習生を安い労働力として受け入れる傾向が強くあり、違法行為が日常的に生じていました。そのような中、私たちは、法令順守を意識し、人権に配慮した技能実習生の受け入れを目指し団体を設立しました。 2020年度の技能実習生の受け入れ人数は、ベトナムから3100名、インドネシアから400名、タイから160名、中国から90名、インドから70名、フィリピンから10名で、設立当初は、中国からの受け入れが多かったのですが、近年は、ベトナムからの受け入れが多くなっています。 設立当初から、幅広い業種に対してアプローチをして、さまざまな業種が参加する組合を設立しました。受け入れ企業も、農業、建築、機械・金属、食品製造等、さまざまな業種にわたり、多くは中小企業ですが、上場企業や上場企業系列企業など大企業もあります。 横浜と名古屋に事業所があり、全国にある受け入れ企業各社のフォローを行っています。コロナ禍の現在はオンラインも活用していますが、受け入れ企業や実習生からのご要望にお応えして、週に1回以上訪問するなど、きめ細かくフォローを行っています。 協同組合FUJIでは、スタッフのうち半数の約60名がベトナム、インドネシア、タイ、中国、フィリピンの外国人スタッフで、日本語能力試験のN1に合格したスタッフも多数在籍していて、実習生に対して丁寧に対応をしています。 Q:送出機関との連携や選定基準について教えてください 現在は、コロナ禍により、現地に行くことはかないませんが、送出機関への訪問はかなりの頻度で行っています。実習生受け入れの際には、受け入れ企業とともに訪問し、面接を行い、その際に、送出機関の寮の状況や専門学校の先生の授業の様子を受け入れ企業と一緒に訪問して確認もしています。信頼ができる送出機関とは長いお付き合いをしています。 <参考:6月15日に実施したJP-MIRAI主催手数料問題研究会における協同組合FUJI代表理事 服部説夫様の講演より>送出機関の問題として、高額な手数料の徴収、ブローカーによる手数料の徴収、不十分な教育、労働条件・雇用条件の不適切な説明、監理団体へのキックバックなどが指摘されていますが、どの送出機関も、すべてに該当するわけではなく、一部の項目について問題があるというケースも多くあります。このような問題が発覚した時には、その都度指摘し、改善をしてもらっています。 協同組合FUJIでは、不適切な送出機関を排除するために、実習生全員に入国後のアンケートやヒアリングを行い、送出機関への支払いなど来日までに負担した金額や日本語の語学力を把握し、送出機関の選定基準を設け、現地の日本語学校の日本語ネイティブの教員の数、駐在事務所/駐在員の配置の有無、トラブル発生時の協力と発生後の改善、帰国後の再就職支援の実施状況、現地での情報発信、キックバックや二重契約の提案の有無などを確認しています。 また、送出機関からの接待をなくすために、2年半前より名古屋、新横浜でオンライン面接の設備を整えて現地での接待の機会を減らしたり、キックバックの提案などを行う不適切な送出機関の情報を監理団体間で共有することなども行っています。 これまでに、実習生のアンケート調査で手数料以外にも徴収されていることが判明した場合や、日本語の教育レベルのばらつきなどについて改善依頼をしました。 たとえば、実習生が送出機関に支払う手数料などについて、実習生から聞いた話と送出機関からの説明が異なる場合には、時間をかけて真偽を確認し、場合によっては、その送出機関とは距離を置くというような対応もしています。 Q:受け入れ企業(組合加入企業)の基準はありますか? 基本的には、中小企業組合法で加入希望者を断ることはできませんが、社会保険への加入など法律で決められていることは当然のこととして、それ以外にも、チェックシートでの確認や、受け入れ企業の社長様の人柄、現場の雰囲気、日本人労働者も含め酷使されていないか、ユニフォームが汚い人たちが多くいないかなど、そこで働く実習生の目線に立って確認をしています。 協同組合FUJI側から、受け入れ企業に賃金を少し高くしてほしいと依頼しているので、それに同意してくれる会社に加入をしてもらい、安く受け入れたいという会社はお断りすることもあります。 Q:JP-MIRAIの行動原則についてお伺いいたします。 行動原則1① 「関係法令を遵守します」ということについて 実習生の負担軽減となるような受け入れ基準を設定するために、ベトナム人実習生を対象にインターネットでアンケート調査を実施し、1400名から回答を得ました。そのアンケートをもとに、今後、新たな受け入れ基準を設定する予定です。 <参考:6月15日に実施したJP-MIRAI主催手数料問題研究会における協同組合FUJI代表理事 服部説夫様の講演より>具体的には、海外就労に政府が関与し、手数料を実習生が負担することのないフィリピンモデルを他の国でも展開できないかと考えています。 現在、ベトナムでは、送出機関は、実習生から、3年間で上限3,600 USドル範囲内での手数料の徴収が認められていますが、協同組合FUJIでは、まずは、試験的に、実習生が送出機関に支払う費用の上限を1,500USドルとし、残額を日本側で負担する取り組みを複数の送出機関と検討を始めました。受け入れ企業には実習生が送出機関に支払う初期費用の一部を負担していただき、監理団体も送出機関運用費用とし送出管理費を増額する仕組みです。いずれは、実習生が負担する手数料がゼロになるよう目指しています。 近々、この新基準での受け入れを始めるべく、すでに営業も行っている状況です。 技能実習生の失踪が問題となっていますが、フィリピンからの受け入れを行っている団体では、失踪者がほぼゼロの団体もあるので、手数料の負担額の大きさと失踪は関連があるのではないかと考えています。 行動原則2「外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます」ということについて 実習生が母国とのつながりを維持できるように、ポケットWiFiの貸し出しなど通信環境の整備を行っています。 また、ベトナムでは地震がなく、避難することも知らないため、日本では、地震の際に携帯からアラートがなることや、避難経路の周知、避難場所に直接つれて行くことも行っています。 行動原則3「外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します」ということについて コロナ禍では難しい状況ですが、以前は、実習生と受け入れ企業の方、協同組合FUJIの通訳で、地域が主催しているイベントに参加し、その地域の方たちと一緒に畑を耕し芋ほりやお花見、スポーツなどをしていました。今後は全国のNPOや大学のサークルなどと連携して実習生の地域社会への溶け込みを促進する活動を進めたいと考えています。この活動は、優良団体として必須の活動のため、受け入れ企業にも実施していただくように働きかけています。 行動原則4「外国人労働者の能力開発に尽力します」ということについて 日本語の習得も、母国への帰国後に実習生たちの職業人生に大きく役立つものと考え、日本語習得のサポート体制を構築しています。 受け入れ企業ごとに、実習生のシフトに合わせて、実習生に対するオンラインの勉強会を開催してサポートしています。 そのほか、外国人労働者向けのショート動画がたくさんアップされている株式会社soeasyさんの動画ツールsoeasy buddyを活用しています。協同組合FUJIでも、さまざまな言語の通訳スタッフが、あいさつの仕方、「危ない」、「痛い」などの日本語をショート動画にしてアップし、実習生がその動画を見て勉強できるツールを開発しています。 Q:コロナ禍における課題や問題などはありますか? いくつかの受け入れ企業で、実習生を雇用できなくなったことがありましたが、幸い、他の受け入れ企業や知り合いの監理組合などに相談し、ほぼすべての実習生の転職先を見つけることができました。さらに、他の監理団体からも、600人ほどの実習生の再就職先についての相談があり対応をしているところです。 Q:実習生と受け入れ企業とのトラブルの解決はどのように行っていますか? 受け入れ企業側には、同じ日本人として思いやりをもって実習生に接してほしいと思いますし、実習生の言い分もすべて正しいわけではありませんが、コミュニケーション不足でミスマッチが起こることも多いため、現場に行き、実習生と受け入れ企業の両者の話をしっかり聞いて、それぞれ改善すべき点は改善していただくようにしています。どうしても、雇用する企業側は強い立場にありますので、どちらかというと、実習生の立場に立って、目線を合わせて話をすることを心がけています。 Q:JP-MIRAIに期待していることはありますか? JP-MIRAIでは、手数料問題勉強会を4回にわたって開催されていますが、この問題は、どこか1か所だけに問題があるということではないため、制度の根本的な改善の提言をしていただきたいと思っています。JP-MIRAIに加盟している団体はSDGsを含めた問題解決を適切に行っている団体の証になるようなプラットフォームを目指していただきたいと思っています。 続いて、協同組合FUJIさんの紹介を頂き、いすゞエンジン製造北海道株式会社で2019年から働くベトナム人のVI VAN TRUONGさんにもオンラインで取材を行わせて頂きました。 <VI VAN TRUONGさん> インタビューには協同組合FUJIのNGUYEN THI PHUONGさんにも立ち会い頂き、取材をサポート頂きました。 Q:なぜ日本で働きたいと思ったのですか? 日本は先進国で先進技術を持っているということを聞いていました。新しいことを体験したい、勉強したいと思ったので2019年に日本に来ました。 Q : いすゞエンジンで働いて、期待通りの経験をしましたか? 思った以上の経験はありましたか? 工場の最新の設備に驚きました。機械とかロボットとかに驚きました。 Q : いすゞエンジンで実習生として働く中で問題があったことはありますか? 協同組合FUJIに相談しましたか? 協同組合FUJIはどのようにあなたをサポートしましたか? いすゞエンジンの工場に来て、最初に困ったのは機械の操作です。ベトナム語版の作業手順書を頂いたのですが、タッチパネルには日本語の説明しかないので最初は協同組合FUJIのフォンさんに横にいてもらい翻訳してもらって教えてもらい、機械の操作を理解しました。 ほかにも、日本の生活習慣がベトナムと違うので困惑することがありました。車が道路の左側を通るとかごみの分別の習慣とか。 協同組合FUJIのフォンさんは、みんなに説明会を開いたり、月1~2回工場の現場に来てくれて困ったことがないか尋ねてくれたり、Facebookでいつでも困ったことに関して質問に答えてくれます。いすゞエンジンにも生活指導と技術指導の方がいるし、工場に通訳の人もいてお世話になっていますが、フォンさんにはいつもサポートしてもらっています。日本語も今は自分で勉強していますが、協同組合FUJIさんに日本語の勉強の資料をもらって勉強しています。 Q : 日本に来る前に知っておくべき情報はありますか? 日本の文化、地域の風俗や生活習慣を来日前に知るべきだと思います。 Q : ベトナムでの研修中に何か問題に遭遇しましたか? 日本語の勉強が大変でした。ベトナム語と全然違います。最初は漢字が全然覚えられませんでした。 Q : 外国人労働者を受け入れる日本の企業や組織に何を期待しますか。 外国人に対して思いやりの感情を持ってもらいたいです。文化も生活も全然違う国で働くといろいろ困ったことがありますし、特に言語に関しては誤解されていると感じることもあります。日本と外国との文化の違い、外国で働く労働者の環境を受け入れ企業側も理解してほしいと思います。 Q : 社外の外国人労働者と接触はありますか? ベトナムにいたころからの知り合いがいます。休みの日は工場以外のそういった友達と遊びます。 Q : 外国人労働者の観点から、JP-MIRAIに何を期待しますか? 外国人労働者の職種に関するアンケート・調査を行ったり交流イベントを開催したりして外国人労働者と企業がお互い理解しあえるようにしてほしいです。ベトナム人はFacebookを良く使っているので、Facebookを活用してほしいです。 <コラム:JP-MIRAI会員としての、今後のさらなる「外国人労働者と企業がお互い理解しあえる」社会の実現に向けての取り組み~協同組合FUJIより> 協同組合FUJIとしては、活動計画にも掲げているとおり、地域イベントへの参加を気兼ねなくできるように、組合職員が言語支援(通訳)として同行を予定しています。 この、地域イベントに組合職員が言語支援(通訳)として同行する活動は受入企業へもアナウンスし、地域社会・受入企業・訪日外国人のコミュニケーションの場となるように計画しております。 また、日本の若者と訪日外国人のそれぞれが交流できる場の企画も予定しており、主に大学のサークルや、NPO法人等と連携し、職場・地域社会・国籍に囚われずに、相互理解を深める事を目的とします。 また、受入企業のいすゞエンジンは敷地内での家庭菜園を行ったり登山企画や週に数時間も終業時間内に検定対策の勉強、指導を行ったり、ゲームを交えた日本語勉強会なども行っています。 協同組合FUJIの皆様、TRUONGさんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いて頂きました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。 <取材執筆協力 株式会社クレアン 秋山映美・岸田匡>...

本企画では、毎月1回会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。 第3回に登場するのは、久健興業株式会社の山口健社長で、企業会員としてJP-MIRAIに参加されています。 久健興業株式会社は、北海道千歳市にある建設会社で、土木建設工事、一般住宅の新築・リフォーム工事、仲介や売買を中心とした不動産業を幅広く行い、現在、従業員は50人で、そのうち、24人のベトナム人技能実習生が建設現場で働いています。また、山口社長は、監理団体である北海道技術支援協同組合の代表理事や一般社団法人北海道鳶土木工業連合会の理事としても、適切な技能実習生の受入れや、日本に受け入れた技能実習生の技術向上などに取り組まれています。 久健興業株式会社 https://www.hisaken.co.jp/ <山口健社長> 4月の中旬、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。 Q:外国人労働者を採用するきっかけについて教えてください 人手不足で悩んでいたところ同業者に技能実習制度を紹介され、2017年1月から受け入れを開始しました。受け入れ前は、単価も安く、外国人を雇用するのがはやっていると聞いていたので、軽い気持ちでベトナムに行き、技能実習の希望者と面接を行いました。 面接の際も、最初は、採用してあげると上から目線で見ていたのですが、私から「日本に来てしたいことは何か」と聞いたとき、希望者から「チャンスをつかみたい」と言われたことにより、このような態度でいてはだめだ、実習生の将来を考える責任があると感じました。 この時、18歳の時に父を亡くし貧しかったころのことを思い出していました。当時、高校を中退し23歳で独立した経験から、このような思いに至りました。 Q:外国人労働者(技能実習生)を受け入れている中で課題と感じていることはありますか? 言葉の壁が一番の課題と感じています。ベトナムで面接後、半年間、現地で日本語を勉強して来日しますが、現地では教員もベトナム人なので、技能実習生は来日時に、十分に会話ができない状況です。 建設業は危険な作業もあるため、「危ない!」とすぐに反応しければならない時があるので、言葉の壁は問題になります。業務の中で必要な言葉は、現場で最初に伝えていますが、それ以外にも、送迎の車の中や休憩時間などに、前の晩の食事の話や家族のことなど、積極的に日常会話をしています。 制度面では、技能実習生が第3号技能実習に変わる時の試験の内容が難しすぎること、練習問題がないことなどが課題と感じています。 Q:責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)は、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」の実践を呼び掛けていますが、技能実習生の受け入れ企業としての心構えや気を付けていることなどはありますか? ①「関係法令を遵守します」ということについて たとえば、残業代が払われていないのではないかというようなことについて、疑われるような行動はとらないということを心がけています。あなたたちを絶対にだまさないという態度を示し、ここに身を預けても大丈夫だという信頼関係を築くようにしています。 ②「外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます」ということについて 1期生(5年目の実習生)が4人いるので、24人の実習生を6人ずつ4班に分けて、2期生以降の実習生が必要なこと、困っていることなどを各班のリーダーに伝えることができるような体制を整えています。さらに、各班には、リーダーの実習生が、相談しやすいなどの理由から指名した日本人従業員をメンターとして配置して、いつでも相談できるような、要望を聞けるような体制にしています。これまで、追加の自転車や扇風機などの要望があり対応してきました。 ③「外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します」ということにについて 技能実習生に一方的に日本語を教えるというのではなく、日本人従業員も、技能実習生からベトナム語を教えてもらい、お互いにそれぞれの言葉を覚えて信頼関係を築くよう心がけています。私の家に実習生が遊びに来たり、従業員も、実習生の家に遊びにいったりと、同僚としての付き合いをしています。 また、法律が改正された際には、通訳の方にはいってもらい、実習生全員に雇用条件も含め改正点を説明し、毎年昇給することも伝えました。これまで失踪した実習生はいませんが、1人だけ、家業を継ぐことになり、途中で帰国した実習生がいました。帰国後も、彼と連絡を取っていたところ、昨年ベトナムで大洪水があり、彼の実家や村の人たちが被害を受けたことを知り、日本で募金を集め、彼を通じて現地に寄付をしました。彼は、現在、コロナ禍で事業が厳しくなり、もう一度日本に戻ってきたいと希望しているため、手続きを進めているところです。 ④「外国人労働者の能力開発に尽力します」ということについて 当社には、環境、技術、広報の委員会を設けており、技術委員会の中で日本語が勉強できるようにしています。また、一般社団法人北海道鳶土木工業連合会と協力して、ベトナム人技能実習生向けの「玉掛け技能講習」や「足場の組立て等作業従事者特別教育」を受講できるようにしています。嬉しいことに受講者全員が試験に合格しました。技能実習生がベトナムに戻ってからも、日本で習得した技術をいかせるようにと、現地で建設などを行っている企業と話をしているところです。ベトナムで建設事業を行っている会社から仕事を請け負い、当社から彼らに給与を払うことができるよう現地に支社を作りたいという想いもあります。1期生が終了するのは、2022年の2月ごろで、そのうち何人かは、特定技能に切り替えたいと言ってくれているので、当社にとってもベテランのスタッフが増えることはうれしいことです。 Q:山口社長は、監理団体の代表理事もされていますが、監理団体として気をつけていることはありますか? 外国人労働者は、誰でも受け入れることができるわけではありません。受入企業については、外国人を受け入れる体制ができているのかということを重視しています。 失踪の理由はほとんどが賃金や扱いに関するものです。技能実習生の状況と受入企業のミスマッチを防ぐために、飲酒や喫煙などの実習生に求める条件や、実習生が使用する部屋や家具、作業に使う道具について支給かリースかなど、企業の募集条件を最初から明確にしておくことが重要と考えています。 さらに、監理団体として、企業に対しては、何がリスクになるのかということや実習生が集まりやすい条件などを伝えるようにしています。 送り出し機関については、現地で直接訪問し、ブローカーをはさまないようにしてもらっています。ブローカーが間に入ると手数料がどんどん上乗せされてしまうため、来日するベトナム人に迷惑がかかります。そのため、ブローカーをはさむようでしたら取引はしないということを明確に伝えています。 Q:技能実習生の受け入れを始めて以降、社長以外の社員の意識の変化や、会社への良い影響はありましたか? 5年前に技能実習生を受け入れるという話をしたときには、社内では大丈夫だろうかという反応もありましたが、今では、言葉の壁さえクリアすれば関係ないという認識になりました。技能実習生を受け入れたことにより、相手に対して気持ちをうまく伝えることができるような経験ができたのは会社にとっても従業員にとってもよかったです。 Q:JP-MIRAIに期待していることはありますか? 外国人を受け入れた後に、仕事がなくなってしまうこともあり、それが失踪の原因になってしまうこともあります。そのような時に、情報が共有できたり、また、失踪の原因についても情報共有できるような仕組みがあるとよいと感じています。 続いて、山口さんの紹介を頂き、久健興業株式会社で5年近く働くベトナム人のDUONG NGOC THANHさんにもオンラインで取材を行わせて頂きました。 <現場で働くDUONG NGOC THANHさん> Q:なぜ日本で働きたいと思ったのですか? 私の家族は、昔から大変でした。日本に来る前に、先輩や先生から、日本は世界でも経済が強い国と聞いていたので、行ってみたいと思いました。たくさん働いて、お金をためて、自分の子どもも家族も幸せになりたいと思ったのです。 Q:「久健興業株式会社」で働いて、期待どおりでしたか?期待を上回る経験はありましたか? 日本人のイメージが変わりました。日本のことは、70年から80年前にたくさん戦争していたということを教えられていたので、そのようなイメージでした。 日本に来て、日本人は本当にやさしいと思いました。スーパーに行って、売り場がどこにあるか聞くとそこまで連れていってくれて、驚きました。職場の先輩もたくさん仕事も日本語も教えてくれて、うれしかったです。 日本に来たばかりのころは、私は日本語がわからないので苦労しました。今は私のようなベトナム人の先輩がいることによって、後輩は仕事がしやすくなっていると思います。 Q:日本に来る前に、知っておいたほうが良かった情報はありますか?  これから行く会社がいい会社かどうか、について事前に知ることができるといいと思います。良くない会社もあるようですが、ベトナムから日本に行く前には現在はその情報を知ることができないのです。 Q:来日前、ベトナムで研修を受けているときに、困ったことはありましたか? 半年、センターで勉強して、日本語が本当に難しかったです。それ以外は困ったことはなかったです。 Q:外国人労働者を受け入れる日本の企業・団体にどのようなことを期待しますか? 日本の会社は、外国人に対する思いやりを持ってもらいたいと思います。日本人には仕事の話しかしない人もいますが、できれば「困ったことあるの?」「なんで楽しくないの?」「家族が入院しているから寂しいよね?」と、外国人の表情を見ながら声をかけてくれるといいです。 Q:あなたは、会社以外の外国人労働者との交流はありますか? いろいろなところに行って、ベトナム人以外に、中国人、タイ人、ミャンマー人、フィリピンの人にもたくさん会いました。その時に日本語で会話して、あなたの出身地はどこですか、仕事は楽しいですか、ということを話しました。 Q:JP-MIRAIに外国人労働者の視点から何を期待しますか? 注意深く、技能実習生のことを調べてほしいです。 自分の会社ではないですが、悪い会社で働いている外国人労働者は、不満を持っていることも多いです。若い日本人が日本語をわからない外国人をいじめている、そんなことを聞くこともあります。思いやりのない若い日本人が、外国人労働者の悪口を話しているということもあります。このような状況をJP-MIRAIに調べてほしいと思います。 山口さん、THANHさんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いて頂きました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。 <取材執筆協力 株式会社クレアン 秋山映美・岸田匡> *山口社長のインタビューについては右リンクでもご覧頂けます。 https://creators.yahoo.co.jp/kishidahirokazu/0200089407...

本企画では、毎月1回会員各位の外国人労働者受け入れ事例を取材させて頂き、皆様に共有しています。第2回に登場するのは、個人会員の井上泰弘様です。井上さんは個人会員としてJP-MIRAIに加入されていますが、本業では大阪で大阪王将/やよい軒8店舗を展開する(株)ヒロフードサービスの代表取締役でもあり、また早くから外国人労働者の採用に取り組まれてきた中で(有)新たな外国人材も設立され、更に2年前の入管法改正に向けた働きかけに取り組む中で、現在食品産業特定技能協議会委員および(一社 ) 大阪外食産業協会 外国人雇用委員会委員長の役職も務められている方です。井上さんの事業については下記をご覧下さい。http://www.hirofoodservice.com/about/http://www.hirofoodservice.com/group/ <ヒロフードサービスで働く様々な国の皆さん>そんな井上さんにJP-MIRAIの事務局がオンラインでお話を伺いました。 <井上泰弘さん>2021年3月8日(月)11:00-12:30 インタビュー実施Q. 井上さんが外国人労働者を採用するきっかけ、そしてその後の活動について教えてくださいA. 私は外食産業に37年関わっていますが、慢性的な人材不足に悩んでいました。2013年に4年に一度の「食の博覧会・大阪」があり、副本部長をさせて頂く機会を頂きました。ちょうど自社の成長の機会を模索していた時期で、この事は自社の今後を考えるきっかけとなりました。日本人スタッフがたくさん辞めてしまった時期と重なったのですが、この時、初めて外国人採用を始めました。最初は中国人を採用し、その後ベトナム人採用を勧められて現地で面接し、採用することになったのですが、その人を迎えにいくときに「日本に来る前にお金を払ってないか」と聞いたら「それは言えません」と返答が返ってきました。これから一緒に働くので、秘密は無しにしましょう!と言ったところ、「100数十万円払った」と話してくれたのです。驚きました。その後、「日本に来るには、いろんなブローカールートがある」事を知ったのです。一体どういう事なのか?真実を知りたく思い、ベトナム人を紹介してくれた行政書士に聞いても「知らない」と逃げられ、現地の送り出し機関に会いに行ったのですがやはり「知らない」と言われ、結局、日本でいろんな関係者に会って、そこで様々なややこしい話を、より詳細に知るようになっていきました。その後、より詳細な現実を知る為、ベトナム・ミャンマー・インドネシア・カンボジア等多くのアセアンの国の学校を訪問し、現地で日本語学校に泊めてもらいながら日本語を少し教え、日本に来る方々の現実を目の当たりにしてきました。外国人労働者の採用に当たってはいろんなお金の流れ、裏の事情が存在します。受入企業の社長さんはほとんど知らないのが現実です。このまま放置すると入管法違反で社長が逮捕?と言うリスクもあります。そうならない為にも、入管法を理解し、外食産業全体で話し合わなければならない。その想いを結実させる時期と2年前の入管法改正のタイミングが重なり、活動を続けました。Q. 入管法改正において、そしてその後の井上さんの活動を教えて頂けますか?A. まず、2年前の入管法改正時に創設された特定技能14業種に「外食業」を入れてもらう活動に関与出来た事です。実は入管法改正の4年前から「外食業にも技能実習を!」という活動を(一社)大阪外食産業協会で行っていましたが、ある時、農水省から「特定技能」という制度の話が出てきたので、特定技能に絞った活動に変更しました。私たちが活動を始めた時、「外食業」はまだ特定技能14業種に入っていませんでしたが、以前から行政には足を運んでいた事と、様々な方々のお力もあり、外食業も「特定技能」という資格を得られる事が出来ました。その後、農水省と連絡交換し「食品産業特定技能協議会」の委員にも入りました。技能実習制度のようなしがらみのない特定技能は、慢性的に人材不足を抱える外食業界にとっては、大きな一歩と感じました。そして、外食業で正しく雇用してもらう為に創ったのが(一社)大阪外食産業協会業界独自の「外国人材適正雇用推進認定制度」です。 「外国人材適正雇用推進認定制度(Fair Marks)」とは、健全な外国人雇用を促進することを目的とし、外国人が安心して働ける場か否かを認証する「グローバル事業者認証」、就労を希望するがんばる外国人材の実力を見える化する「グローバル人材認証」、さらに外国人材の紹介や、日本語研修・生活支援等を健全に 実施する事業者であることを認定する「外国人材雇用関連事業者認定」の3つの制度から成り立っています。入管法改正によって、外食は特定技能だけでなく、技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)の在留資格なども含めて外国人採用に関して、適正雇用を検討できるようになりました。それによって雇用も変わってくるのです。外国人労働者の「定着」というのが、ともすると話題になりますが、多くの外国人は日本に出稼ぎに来ています。日本企業の多くは、人手不足だけに目を向け、本人の人生と残された家族のことを考えていないのではないでしょうか。企業は外国人の家族に責任を持てるのか―そこを見ないで「定着」にばかり努力してもいけないと思っています。また、特定技能1号が出来た事で、外食業における外国人の適正雇用の実例を創る必要性を感じ、弊社自身で取組みを行っています。例えば、弊社では「メンター制度」を創り、新しく来た外国人スタッフには、先輩が「母国語」で伝えることを行っています。伝えるという事に関しては、「やさしい日本語」を使い、微妙なニュアンスは、母国語で伝える事が大事だと思います。弊社では、「日本に永く働いてほしい・・」では無く、本人の希望を最大限考慮し、3~5年を目安に採用しています。そして、注意しておきたいことは、在留資格の知識です。現在、外食業はコロナ禍で大変ですが、外食業はそもそも人材不足が慢性的な産業で、一昨年の入管法改正前迄は、多くの外国人雇用をする企業様がおられました。しかし、入管申請時の理由書と実際の仕事内容が違うような申請が多くあったようです。「単純労働とされていた外食業」では、正社員として働ける在留資格が、基本的には同業種(母国で中華歴であれば中華等)で10年以上の経験がある人、又は身分・地位(永住・その配偶者や定住・日本人配偶者等)による在留しか認められていなかったのです。特によく誤解されているのが技術・人文知識・国際業務と言う通称「技人国」という在留資格です。特定技能が出来た事で入管法を正しく理解し、現在の雇用されている外国人スタッフの在留資格を注意してみておくことも大切です。外食産業は、外国人スタッフの大学の「学部」も日本語能力検定の「N1」や「N2」も、関係がないのです。この業界は、業界の実情にフィットした採用基準が必要です。それが上に説明した「人材認証」なのです。企業も「人材認証」されている人を採用すると安心です。また、入管も同様と思います。ぜひこれは外食業界だけでなく他の産業でも、導入してもらえると良いと思っています。Q. 井上様の「責任ある外国人労働者受入れ」に対する思い、それを一言で表現するとどういったものになりますか?A. 「知らないことを知っているふりをしないでほしい」ということです!海外から来る人たちは、「ワンクリックで箱に入ってやってくる」「お金さえ払えば簡単に手に入る」というモノではないことを企業としてもう1度考えてほしいです。お国にはお国の文化もあるし考え方も違う。人を受け入れるということを日本の経営者はもっと考えてほしいです。Q. 責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)は、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」を実践して頂くよう呼び掛けています(https://jp-mirai.org/jp/code-of-conduct/)。井上さんの外国人労働者に対する取り組みは、上記5つの行動原則を実践していると言えますか。実践しているのはどう言った取り組みか、会員への模範事例として、具体的にご教示頂ければと思います。A. 2.(私たちは、外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます)と 3.(私たちは、働く場と生活の場の両方で、外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します)が大事なのではないかと思います。つまり、多文化共生を意識しながら雇用することが大事で、「人手」として雇用するのではないのです。私の会社にもミャンマー人が6人いるのですが、この前その人に会ったらいきなり泣かれてしまいました。家族と連絡が取れない…と。それは他人事ではないのです。海外は、身近になってきました。未だに、外国人を「安く」使おうなどというのはおかしいのです。まずは、外国人労働者の皆さんが、何を求めて日本に来ているのか?理解してほしいと思います。Q. 責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)は、受け入れ企業・団体・監理団体・弁護士・学会の先生方など幅広い外国人労働者受入れに関わる方々を会員に迎えており、今後右のような活動を予定しています(https://jp-mirai.org/jp/about/ に掲載の「主な活動内容」)。井上さんが今までの活動を実践していく中で、気づいたこと、課題と感じたこと、そして上記5つのJP-MIRAIの活動の中で今後特にJP-MIRAIが活動すべきと思われることとして、具体的にどのようなことがありますか?A. 戦ってもらいたいです。正しいと思うことに対して、「話が通らないから、あまり知らないから辞めておこう、意見する方が気を悪くされるから辞めておこう・・・」ではなく、プラットフォームの中で真剣に意見をぶつけ合って、未来(外国人が適正雇用される)に対して、戦って頂きたいです。続いて、井上さんの紹介を頂き、ヒロフードサービスで4年近く働くベトナム人のNGUYEN THANH TRUC(グエン タン トルック)さんにもオンラインで取材を行わせて頂きました。 <NGUYEN THANH TRUCさん>2021年3月17日(水)14:00-15:00 インタビュー実施 <インタビューにはヒロフードサービスの武山様およびインターンシップ中の外国人の皆様にも同席頂きました>Q. なぜ日本で働きたいと思ったのですか?A. 12年前に技能実習生として日本に来ました。当時は工場で車のドアを組み立てていました。3年後にベトナムに帰ったのですが、その間に日本のことが好きになったのでまた日本で働きたいなと思ったのです。Q. 「ヒロフードサービス」で働いて、期待どおりでしたか?期待を上回る経験はありましたか?A. 最初は外食のことがわからず大変だったのですが、努力しているうちに会社の皆さんが徐々に私のことを理解して応援してくれるようになりました。今は、会社で外国人初のマネージャーとして重い責任を負っています。これは、期待以上のことです。Q. あなたは、外国人労働者を受け入れる日本の企業・団体にどのようなことを期待しますか?A. 外国人と日本人との間の差別をなくしてほしいと思っています。Q. それは具体的にはどういうことですか?A. 以前技能実習生として働いていたとき、油にアレルギーを感じ、体調が悪化しました。そのことを会社に訴えたのですが会社は私が病院で受診することを認めてくれませんでした。当時はそれを差別とは感じなかったのですが今ではそれは差別であったと感じています。Q. あなたは、会社以外の外国人労働者との交流はありますか?A. 技能実習生時代の同僚で今日本で働いている人とはコンタクトを取っています。皆さんそれぞれ頑張って仕事をしていますが、一人暮らしなので孤独を感じることもあるようです。Q. JP-MIRAIに外国人労働者の視点から何を期待しますか?A. 外国人と日本人との差別をなくすために、イベントやSNS発信など様々な活動を行ってほしいです。井上さん、TRUCさんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いて頂きました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。...

責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム(JP-MIRAI)が設立されて3ヶ月、現在150を超える企業・団体・個人の皆様を会員に迎えることができました。責任ある外国人労働者受け入れによって選ばれる日本となるために。今月(2021年2月)から毎月1回、会員各位の素晴らしい外国人労働者受け入れ事例を取材させて頂き、皆様に共有させて頂くこととしました。 第1回に登場するのは、株式会社農園たやの田谷徹社長です。福井県でこだわりを持った農園を営む田谷社長は、インドネシアからの技能実習生を迎え入れるにあたり、実習生が派遣される前から実習生一人一人のビジネスプランを考え、実際に派遣された後は農業の実習のみならずキャリアプランを構築する様々なトレーニングやワークショップを実施し、実習生帰国後のビジネスまでも支援するという、まさに技能実習生の受け入れを国際貢献の場として活動されている方です。農園たやの取り組みについては以下のホームページをご覧下さい。 https://www.nouentaya.com/project/ 農園たやで働く技能実習生の皆さん そんな田谷社長にJP-MIRAIの事務局が2月5日にオンラインで取材を行わせて頂きました。取材は当初の予定時間を大幅に超えて、田谷社長の熱い想いを伺う機会となりました。 株式会社農園たや 田谷社長 2021年2月5日(金)16:30-17:30 インタビュー実施 Q.御社が行っている「インドネシア農業技能実習プログラム」を始める前の御社と技能実習生との関わり/このプログラムを始めたきっかけは? A.2002年に農業高校の交流事業においてインドネシア語の通訳を行ったのがきっかけです。ちょうど「グレーである」「賃金が安い」などといった技能実習生の問題が起きていたころで、私自身2003年から2005年までインドネシアのボゴール農科大学大学院に留学しており、自分がインドネシアと関わっていく中で、技能実習制度がもっと素晴らしい交流・出会いの場にならないか?ということを考えました。タンジュンサリ農業高校からも要望あり、自分の農園で技能実習生を受け入れることとなったものです。 私は昔、青年海外協力隊に参加したこともあり、ともするとブラックなイメージで語られがちな技能実習制度を、ワーキングホリデーのように、あるいは青年海外協力隊の逆バージョンのように、外国で知見を得る学びの場所になってほしいと思ったのです。 Q.このプログラムを始めることによって何が変わりましたか? A.1点目は、経験値の共有方法です。農業というとマニュアル化されていない、勘や経験、職人芸のところがありますが、技能実習生の受け入れを機にできるだけ簡素にし、より簡単なことばで言い表せるようにしました。その結果、経験値の共有が楽に進むようになり、社内の整理整頓も以前にも増して進みました。農業は家族経営がほとんどなので、曖昧になりがちなのですが、3年で入れ替わる外国人が来ることで、より分かりやすく使用、整理整頓しよう、言葉も簡単にしようという意識が生まれていると思います。 例えば、指示の出し方です。「ちょっと」収穫してというところを「一握り分」というとか、「何グラム」など、具体的に話すようになり、社内のコミュニケーションもよくなった。 そのようにした結果、作業の生産性が上がったように思います。 2点目は、日本人の若いスタッフが増えたということです。私の農園には国際協力したいというメンバーが日本全国からきています。福井は農業者の平均年齢70歳だが、私の農園は日本人スタッフも20代、30代の若者が来てくれます。これは福井の中ではかなり珍しいことです。国際協力がしたい若者が日本全国から農業の場に来るのです。私の農園のスタッフは全員県外の方です。東京からも2名来ています。とても意外でした。 Q.責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)は、会員企業・団体に、「責任ある外国人受け入れのための5つの行動原則」を実践して頂くよう呼び掛けています(https://jp-mirai.org/jp/code-of-conduct/) 農園たやの技能実習生に対する取り組みは、上記5つの行動原則を実践していると言えますか。実践しているのはどう言った取り組みか、会員への模範事例として、具体的にご教示頂ければと思います。 A.守っていると思います。もちろん1.の法令遵守は必要ですが、「選ばれる日本」というのを目指すのであれば、4. の「私たちは、日本及び国際社会の発展と安定に貢献するため、外国人労働者の能力開発に尽力します」という行動原則が大事だと思います。「あそこに行ったらキャリアアップになる」と思ってもらえないといけないと思います。今、私の農園では農業高校から来たい人が増えていますが、2名しか受け入れられず、生徒会長か学年1位かしか来られないくらいで、農園にいる実習生の中には国立大学を蹴ってきてくれた子もいるのです。 Q.責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)は、受け入れ企業・団体・監理団体・弁護士・学会の先生方など幅広い外国人労働者受入れに関わる方々を会員に迎えており、今後右のような活動を予定しています(https://jp-mirai.org/jp/about/ に掲載の「主な活動内容」)農園たやが独自に「インドネシア農業技能実習プログラム」を実践していく中で、気づいたこと、課題と感じたこと、そして上記5つのJP-MIRAIの活動の中で今後特にJP-MIRAIが活動すべきと思われることとして、具体的にどのようなことがありますか? A.農園の中では私ともう1名がインドネシア語が出来るのですが、社内での語学の格差や意識の格差が若干生まれています。今後そういったところに向けて、JICAのスキーム(民間連携でのJICA海外協力隊)を使って社員をインドネシアに送っていくことで、社員が向こうの現場の理解を深まっていけると思っています。技能実習生たちの生活環境を理解したうえで受け入れをするということが、大事で、安心につながります。受け入れも進むし、帰った実習生たちの地域をどうしていくのかも、共感を持って考えていけます。そういった「共感を持った人材」の育成が大きな急務だと思います。 また、技能実習生の問題で一番大きい、送り出しのところを改善していかないと思います。必要以上なカリキュラムを組むことで日本での生活に必要のない授業をして、それが実習生の借金につながるケースがあり、こちらの現場と向こうの現場とのすり合わせが必要だと思います。 続いて、田谷社長の紹介を頂き、農園たやで2年近く働くインドネシア人の技能実習生、Dadan Lesmanaさんにもオンラインで取材を行わせて頂きました。 インタビューに答えるDadanさん 2021年2月12日(金)19:00-20:00 インタビュー実施 Q.なぜ日本で働きたいと思ったのですか? A.もともと日本のアニメーションや桜などの文化に興味があったのと、日本の農業の現代技術を勉強しようと思い、日本に来ようと思ったのです。 Q.なぜ「農園たや」を選んだのですか? A.農業を学ぶだけでなく、ビジネスプランも学ぶことができると思ったからです。 Q.実際に「農園たや」で働いて、期待どおりでしたか?期待を上回る経験はありましたか? A.期待を上回る経験がありました。「農園たや」は野菜農場ですが、私はインドネシアに帰ったら酪農と野菜栽培のハイブリッドの経営をしたいと考えていてそれを田谷社長に相談したところ、外の酪農農場での研修も受けさせてもらえました。 Q.あなたは、外国人労働者を受け入れる日本の企業・団体にどのようなことを期待しますか? A.コミュニケーションの問題を重視することだと思います。 Q.それは具体的にはどういうことですか? A.私は今大変いいコミュニケーションの下で働いているのですが、知り合いの技能実習生の中には、日本人が外国人労働者を過小評価し、「お前は何も知らない」のようなことをいう人もいるのだそうです。それではいいチームワークができないと思います。 いいチームワーク、いいコミュニケーションのためには、日本人と外国人労働者、お互いの「respect=尊敬」が必要だと思います。田谷社長がインドネシア語を話せるのはコミュニケーションに役立ってはいますが、より重要なのは「態度」、そして「respect=尊敬」だと思います。「農園たや」では、そのおかげで社員がファミリーのようなのです。 Q.JP-MIRAIに外国人労働者の視点から何を期待しますか? A.日本人と外国人労働者の間にはコミュニケーションの問題がしばしば存在すると思っています。JP-MIRAIには、ぜひこの問題を研究して頂き、解決策を考えてもらいたいです。 田谷社長、Dadanさんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いて頂きました。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。...