適切な外国人雇用には正しい労務知識が必要不可欠であることから、JP-MIRAIでは、全国社会保険労務士会連合会と共同でセミナーを開催し、116名の方にご参加頂きました。本セミナーでは日本の労働・社会保障制度及び人事・労務管理の専門家としての社会保険労務士(社労士)の役割、「ビジネスと人権」に関する社労士会連合会の取組み、そして社労士の取組み事例をご紹介頂きました。 社会保険労務士の役割と全国社会保険労務士会連合会における「ビジネスと人権」に関する取組みについて 全国社会保険労務士会連合会副会長 河村卓様  まず最初に、全国社会保険労務士会連合会副会長河村卓様より社会保険労務士の役割についてご紹介を頂きました。 社会保険労務士は、①社会保険制度の健全な運用を促進するために、手続きを正しく進めるための支援を実施し②労務管理の専門家として、企業の人事に関する課題について、相談に応じ、助言を行う専門家とのことでした。 いずれの役割においても、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを使命として全国で4.5万人もの社労士の方が活動されているとのことでした。また、その活動の範囲は労働関係法令の遵守といった最低限の労働環境の確保にとどまることなく、労働環境の構築を支援することで、「人を大切にする企業づくり」、ひいては、「人を大切にする社会の実現」のために活動しているとの力強いメッセージを頂きました。 また、「ビジネスと人権」に関する取り組みについては地域や事業規模にかかわらず取組む必要があるとの認識を共有頂きました。そして、「ビジネスと人権に関する指導原則」に取組むことは企業の社会的責任であり、自主的な取組みを行うことでイメージの向上にも資するが、これをおろそかにすると社会や社内からの信頼を失う可能性があるとご指摘頂きました。同指導原則への取組みを通じて、企業活動の質的な転換が遂げられるため、企業はこれを遵守する必要があるとのご示唆を頂きました。企業と伴走する社労士においても「ビジネスと人権」に係る知見を高めていく必要があるため全国社会保険労務士会連合会は社労士育成のプログラムを構築し、実施しているとのことで、プログラムの概要についてご紹介をいただきました。 https://youtu.be/X8x5iYbWSWs 資料はこちら 社会保険労務士の「ビジネスと人権」(人権尊重経営)へのご支援事例 全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバー  薦田勉様 続いて、「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバーの薦田様からは人権尊重経営に関して企業から実際に求められた支援事例についてご紹介頂きました。 まず、自身のご経験をもとに具体的な企業支援に至るまでの過程についてお話を頂きました。当初は「ビジネスと人権」に関する行動計画(National Action Plan:NAP)をはじめとして中央省庁や経済団体からの情報を研究され、その学びを通じて、「『ビジネスと人権』を一括りとして捉えないと理解が進まない」と考えるに至ったそうです。また、並行して外国人労働者に係る企業の実態調査を進められた際の経験談について、具体的な例示をお示し頂きながら、お話頂きました。 そして、実態調査の結果として、「ビジネスと人権」に関する企業の認知度は低い状況にあり、企業によっては実際に発注元から人権デューデリジェンスへの対応を求められた経験もあるものの、その取り組みが必要な背景や理由までは発注元から説明がなされていなかった様子もあったそうです。こうしたご経験から、「なぜ人権デューデリジェンスへの取組みが重要なのか」、「なぜ人権方針を策定するのか」「具体的な人権侵害とは何なのか」等を発注元が発注先に丁寧に説明し、相互のエンゲージメントを強化していくことが重要であるとのご説明を頂きました。 企業が人権デューデリジェンスにかかる取組をはじめる際に最も分かりやすいツールとして、日本繊維産業連盟の「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」(日本繊維産業連盟 (jtf-net.com))をご紹介頂きました。付属のチェックリストを活用することで自社の状況を把握する助けになるとのことでした。 企業の中には自社は常に大手企業の発注先でしかないという認識をもっている方が多くいらっしゃるものの、実はサプライチェーン全体でみると、発注元となる可能性も十分にあるとの認識を持って取組を検討する、その際に国際基準についても勘案することが必要ではないかとのお話を頂きました。 そして、発注元による発注先に対する人権リテラシーを高める努力を行う中でも、人権侵害は現場で発生することもあり、人権教育にかかる支援をする際には、経営層のみならず、現場社員へのアプローチも重要であり、それによって当事者意識の醸成と、企業の裾野にかけての取組み促進により、サプライチェーン全体としての意識向上に繋がるとのご見解をお話頂きました。 https://youtu.be/KR44yC6WMII 資料はこちら 続いて、以下のパネリストによるパネルディスカッションを行いました。 全国社会保険労務士会連合会副会長 河村卓様  全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修構築プロジェクトメンバー  薦田勉様 モデレーター:JP-MIRAI事務局 宍戸健一 一点目として、今後も増える外国人労働者の受入れに際して、今後社労士の果たしうる役割についてお伺いしました。河村様は、まず、「外国人であっても日本人であっても、日本の企業で働くうえでは労働基準に差がついてはならない」と強調されたうえで、「ビジネスと人権」への取組みを契機として自社内の全ての労働者に適用される労働法規の確認を行い、そのうえで外国人材と日本人の違いを理解することが必要であるとのご意見を頂きました。そのうえで経営層と従業員の対話と意思疎通が大切であるとお話頂きました。 二点目に、「ビジネスと人権」に対応する社労士の規模についてお伺いしたところ、今後の社労士会の取組みとして、労務管理の専門知識に国際基準を取り入れ、研修システムを構築・活用して2年間で600名程の「ビジネスと人権」に対応できる社労士を育てたいとのお話を頂きました。また、サプライチェーンが深くなるほど、現場の企業に近い社労士が果たす役割が大きくなることが想定されるため、専門の社労士を各地の社労士会で探してもらえる仕組みづくりをしたいともお話を頂きました。 三点目に、人権デューデリジェンスに関して企業から問い合わせがあった際に、社労士としてどのように具体的なアプローチをされるのか、お話を頂きました。経営層と二人三脚で歩みを進める社労士として、役員会等で「ビジネスと人権」に関する情報提供を行い、取組みの必要性を認識頂いて、人権侵害のリスクを洗い出して、計画を立てて実行する、PDCAのプロセスの支援をされているとのことでした。 四点目として、企業や社会に対して「ビジネスと人権」について啓発するためには、企業においては人権侵害が発生しやすい一般社員を含めた現場での浸透、社会においては教育現場において人権に関するリテラシーの向上を図ることが重要であることをお話頂きました。 五点目に、労働法違反が散見されるなか、社労士による労務監査的なアプローチが必要なのではないか、とのご意見があったことについて、薦田様からは、日常的に労務監査は実施しており、指摘も伝えているが、公的な権限はなく、企業に検証の機会を提供するに留まるため、最後は企業次第となる、とお話頂きました。他方、また発注元からの問題点の指摘によりすぐに是正された例もあり、発注元の後押しが重要なケースもあると共有頂きました。 https://youtu.be/i3vbTeoqKjg 今後も同じ目標をかかげる全国社会保険労務士会連合会との連携を模索しながら、地域や事業規模に係らず、多くの企業が「ビジネスと人権」に取組める仕組み作りをJP-MIRAIとして検討して参ります。 当セミナー「全国社労士会×JP-MIRAI ~外国人労働者の適正な受け入れに向けた協業の可能性について」にご参加くださいました皆様、ありがとうございました。本セミナーの全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。なお、動画・資料に関しては2023年5月31日までの公開とさせて頂きます。ご了承のほどお願いいたします。...

2023年1月24日(火)に新体制にて2023年第一回専門家委員会・アドバイザリー・グループ会合を実施致しましたのでご報告申し上げます。<開催概要>●日時:2023年 1月 24 日(火) 13:00~14:30●場所:JICA本部(竹橋)及びオンライン(Zoom)●出席者(敬称略)(1)アドバイザリー・グループ田中 賢了  国民生活産業・消費者団体連合会、事務局長富吉 賢一  日本繊維産業連盟、副会長氏家 啓一  一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、事務局次長工藤 尚美  株式会社オリジネーター、取締役専務執行役員/一般社団法人外国人雇用協議会、理事※オブザーバー:鈴木 啓 株式会社良品計画、常勤監査役(2)専門家委員会山田 美和  日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所、新領域研究センター長万城目 正雄 東海大学教養学部、教授大辻 成季  日本労働組合総連合会東京都連合会、地域局次長フィ・ホア  ONE-VALUE株式会社、代表取締役※オブザーバー:平川 秀行 全日本金属産業労働組合協議会、事務局次長/国際局長(3)事務局宍戸 健一  (一社)JP-MIRAI サービス、理事/JICA、理事長特別補佐 青山 伸   (一社)JP-MIRAI サービス、事務局長/トヨタ自動車株式会社中尾 洋三  (一社)JP-MIRAIサービス、アドバイザー福田 茂樹   JICA、国内事業部長小林 洋輔   JICA、国内事業部外国人材受入支援室長礒貝 白日   JICA、国内事業部外国人材受入支援室副室長杉田 昌平   JICA、国内事業部国際協力専門員<議事概要>冒頭に事務局より、JP-MIRAIの2023年活動方針及び活動計画を、①2023年活動方針および活動計画の全体像、②『ビジネスと人権』における協働の取組み、③学びあいと内外への発信、の三点を中心に説明し、各委員より以下のコメント・助言を頂きました。① 2023年活動方針および活動計画について ・相談救済事業の稼働と、人権デュー・ディリジェンスの取組強化が大切。 ・認証制度がウォッシュに利用されないように、議論を尽くすべき。 ・サプライチェーンの中でも、ブランドホルダーから遠いところに問題がある可能性がある。 ・相談・救済事業の企業ロットでも、賛同者の資金をまとめ、一般外国人の方向けの支援が出来ると良い。 ・外国人ユーザーの視点から事業を組み立てれば、企業からの賛同にもつながる。 ・安全衛生に関する相談が深刻なため、就労環境や生活環境をしっかり確認すべき。 ・技能実習制度、特定技能制度の見直しに合わせてアシスト事業を展開すべき。 ・似た取組をする団体との共働も検討すると良い。② 『ビジネスと人権』における協働の取組みについて ・外国人材の目線を大切にし、救済措置として届く仕組みになっているかの検証が必要。 ・中小企業に対する「ビジネスと人権」やJP-MIRAIの活動周知が大切。 ・企業の内部通報制度への移行時は、相談者の意向をよく確認するべき。 ・外国人労働者の権利を守るというJP-MIRAIの本来の趣旨の基本にたち、外国人労働者がどのようにJP-MIRAIを信頼できるのかを考え、   権利侵害を防止する、救済する仕組みとして機能しているのか常に検証していくことが必要。 ・各取組みの名称は、誤解を与えない工夫が必要。 ・認証制度は中小企業による利用を促す工夫をすべき。 ・国際基準にも対応可能な認証制度にすべき。以上...

※「2023年企業協働プログラム」に関する質疑応答セッションを3月1日、8日に開催しますので、本報告の最後をご参照ください。 日本政府は、2020年10月に「ビジネスと人権に関する行動計画(2020-2025)」(通称:NAP)を策定し、企業に対して「ビジネスと人権指導原則」やその他関連する国際的なスタンダードを踏まえ、『人権デューディリジェンス』のプロセス及び『救済メカニズム』へのアクセスを導入することを期待しています。その後、経済産業省や経団連などからガイドラインが出されるなど、国内での取り組みが加速しています。 JP-MIRAIは2022年5月から「外国人労働者相談・救済パイロット事業」を実施し、企業のビジネスと人権の取組みをサポートしてきました。この経験及び企業や有識者の意見を踏まえ、2023年からより総合的に企業を支援する「企業協働プログラム」を展開することとしました。今回は、2023年2月3日に有識者を交えて実施し、約140名の方々にご参加いただきましたJP-MIRAI「2023年企業協働プログラム」発表イベントの様子をご報告いたします。 ●まず、本イベントの冒頭に、事務局を代表して一般社団法人JP-MIRAIサービス 代表理事 の矢吹公敏より開催にあたりご挨拶を述べました。 ・JP-MIRAIは2020年の設立以来、多くの会員の皆様と外国人労働者の課題解決のために活動をしてきた。JP-MIRAIポータル、相談救済窓口であるJP-MIRAIアシスト、交流アプリのJP-MIRAIフレンズといったコンテンツの開発や様々なテーマの研究会、勉強会を開催してきましたが、皆様の日頃のご協力に感謝の意を述べたい。 国連のビジネスと人権に関する指導原則への注目が高まっているほか、日本政府も責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを昨年発表した。 日に日に、企業の人権デューディリジェンスへの要求は高まっている状況の中で、JP-MIRAIは、今後も企業と外国人労働者をつなぐ役割を果たしていきたいと考えている。 また、6月には組織を一般社団法人化し、より多くの方に参加していただくことで、更なる課題解決を図っていきたい。 https://youtu.be/HiOFcP8lRHY ●続いて、来賓の一般社団法人日本経済団体連合会 SDGs本部長の池田三知子様よりご挨拶をいただきました。 ・初めに、JP-MIRAIの「責任ある外国人労働者の受入れ企業協働プログラム2023」の始動を大変心強く思っている。経団連では2017年に企業行動憲章を改定した頃から、ビジネスと人権に関する自主的な取り組みを推進してきた。近年国内外でビジネスと人権の状況が急速に変化しており、企業に対して人権の取り組み強化を求める動きが加速している。 そこで、経団連では2021年に「企業行動憲章 実行の手引き」の「第4章 人権の尊重」の内容を見直して充実させるとともに、「人権を尊重する経営のためのハンドブック」を新たに作成した。ハンドブックにおいて、グローバルサプライチェーンにおける人権リスクを紹介しているが、いわゆる移民労働者は人権リスクが高いと認識されており、日本の外国人技能実習制度は世界から注目されている。 企業が外国人技能実習生を責任もって受け入れることは重要であり、日本の信頼向上にも資するため、セクター横断で連携しながら知識や情報を共有し、効果的措置を拡大していくことが今後も必要と考えている。 企業が人権デューディリジェンスを行ったとしても、人権リスクを完全になくすことはできないため、実効的な苦情処理メカニズムの構築が必要となる。その点で、JP-MIRAIポータル、フレンズといった人権リスクの早期発見・対応、また協働的な苦情処理メカニズムに期待している。 JP-MIRAIが外国人労働者を責任を持って受け入れるプラットフォームとして国内外から認知され、日本の信頼向上につながることを期待している。 https://youtu.be/6KF-UTMQgNM ●続いて、JP-MIRAI事務局のJICA理事長特別補佐 宍戸健一よりJP-MIRAI「責任ある外国人労働者受入れ企業協働プログラム」の説明をいたしました。 ・現在企業の人権デューディリジェンスの取り組みとして、監査やサプライヤーアンケートが行われているが、潜在的な人権リスクを把握することやPDCAを回すことが難しいという課題がある。また、苦情処理に関しては内部通報制度やサプライヤーホットラインを運用している企業が多いが、サプライヤーや製造委託先に通報システムがなく、サプライチェーン全体のリスクマネジメント管理ができないこと等の難しさが存在している。 約100社の関連法人の約2000人の外国人労働者を対象に一年間救済パイロット事業を行ったが、労働者からの相談が少しずつ増えている状況であり、また伴走支援・ADRの利用実績はない。救済パイロット事業から得られた教訓として、ブランドホルダー(BH)企業がサプライチェーン企業の理解を得ることが難しいことや、情報漏洩への懸念、企業毎のサプライチェーン管理方法の違い等があった。 JP-MIRAIでは、企業・団体支援、JP-MIRAIアシスト、外国人労働者セルフチェックシート、JP-MIRAI認証等により、企業の国内サプライチェーンにおいて、外国人労働者の課題解決をサポートしていこうと考えており、今回のプログラムの開発に至った。 プログラムの特徴は以下の通り。 ・本プログラムは三種類ある(責任あるサプライチェーン管理基本プログラム、責任あるサプライチェーン管理拡張プログラム、企業単独プログラム)。 ・問題が発生した場合には自社及び関連法人が外国人労働者に対し不利益を被らないことを徹底する。 ・利用段階、深刻な問題発生・リスクが発生した場合は個人特定をせずに随時報告する。また、本人が希望する場合はADRを利用して事前報告する。企業には、三か月ごとに報告をする。 ・JP-MIRAIの窓口に通報された相談を企業で解決する場合は、相談者の了解を得てブランドホルダー企業の内部通報窓口につなぎ、JP-MIRAIとしては相談者への聞き取りを通じてモニタリングをする形を考えている。 ・相談窓口は特定非営利活動法人 国際活動市民中心(CINGA)に委託予定である。 ・ADRは裁判と比べて解決までの日数が短く、非公開であり、未来志向で解決を図れるという点で、本人、企業双方にとってメリットがある。ADRの利用にあたっては費用の5割を企業にご負担いただく。 ・拡張プログラムにより得た資金を使用し、現在運用中のJICAロット(外国人労働者セルフチェックシート・相談窓口)を一般版として継続する予定である。 なお、詳細につきましては、こちらよりご確認ください。 https://youtu.be/mcAnrg_sOXI ●続いて、以下のパネリスト3名によるパネルディスカッション「企業は現場でどのように取り組むべきか」を行いました。 パネリスト① 一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 事務局次長 氏家啓一様 パネリスト② トヨタ自動車株式会社 人事部グローバル労政室 室長 奥山洋介様 パネリスト③ 日本繊維産業連盟 副会長 富吉賢一様 モデレーター 一般社団法人JP-MIRAIサービス 事務局長 青山伸 ディスカッションの内容は以下の通り。 テーマ1:企業を取り巻く人権への取り組みに関する課題 氏家様 日本政府のビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)に関わっている者として発言したい。政府の一義的な人権保護の義務、企業の人権尊重の責任はそれぞれ別物であり、それをつなぐのが行動計画の役割である。2020年10月にNAPを策定したが、中身を知られておらず、存在感が薄いことは課題の一つであると考える。NAPの外国人労働者の施策を三つ紹介する。まず、国内外のサプライチェーン上の労働者のディーセントワークを実現することが盛り込まれている。六つの横断的事項の一つに外国人材の受け入れ、共生の取り組みがある。外国人技能実習生に関しては、救済へのアクセスと実践、実習先の転籍支援、保護について取り上げている。債務負担を減らす取り組み施策がないのは残念である。昨年日本政府による責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインが制定され、企業は人権デューディリジェンスの実施段階に入った。政府調達の人権デューディリジェンスの実施を入札の優遇条件とすることを検討しているとニュースに上がったので、実行に移してほしいと考える。 富吉様 日本繊維産業連盟では、昨年「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」を策定し、繊維業界はガイドライン、人権デューディリジェンスの普及フェーズに入った。策定に至った背景は、①技能実習生問題など人権に関する深刻な課題、②長年取り組んできた取引適正化、③生き残りをかけた海外展開が必須、④労働力不足への対応、の四点がある。それらの背景を踏まえ、外国人労働者の適正運用、すなわち労働コンプライアンスの確立が必要だと考え、労働者の人権に特化し、かつ中小企業を対象としたガイドラインを策定した。中小企業を対象としたガイドラインは世界初であると自負している。また、ILOの協力を得ながら具体的な解説を加えており、チェックリストを盛り込んだ点も特徴である。 奥山様 国際的な労務や人権、ダイバーシティを担当している。トヨタ自動車ではビジネスと人権は比較的新しい分野で、国際労務から派生してスタディを始め、様々なステークホルダーに導かれて国連のガイドラインにたどり着き、2019年からようやく見様見真似で人権デューディリジェンスの様なことをはじめた段階。弊社のサプライチェーンはアフリカの鉱山からアマゾンの農地まで傘が広く多岐にわたっており、人権課題の範囲も広い。現在いくつかの優先課題を取り上げて対応をしており、外国人技能実習生についても優先課題として認識している。日本国内で経済活動を守るために、産業の垣根を超えて、外国人から選んでもらえる環境を皆さんとともに作っていかなければいけないと考えている。 テーマ2:企業の取組状況とその進捗に見る難易度 氏家様 GCNJのSDGs進捗レポート2022で、指導原則の示す人権デューディリジェンスのプロセスの実施度を調査報告している。回答企業の90%以上が、人権方針・コミットメントの表明は実施済みという結果がある一方で、ステークホルダーとの対話により人権リスクを把握していると回答した企業は23.8%だった。現在進行形である企業の人権デューディリジェンスの課題は二つあり、①人権リスク特定のための調査の難しさと、②ステークホルダーと意義ある対話の実施である。 昨年6月にNAPの政府レビュー報告があり、行動計画の5つの重要課題に対する評価方法を決定した旨記載されている。サプライチェーンの人権尊重を促進する仕組みの整備に対し、施策検討のための活動実績、会合の開催回数を評価測定としている。また、救済メカニズムの整備については、相談窓口の利用実績を評価測定としている。この指標が目標にすり替わってしまうことを危惧している。何を実現するのか、ライツホルダーとの対話を通して考えることを忘れてはいけない。 富吉様 説明会では心得るべき三つの点を伝えている。①コミットメント、②エンゲージメント、③課題発掘(優先順位付け)である。それらは企業経営そのものであると説明することで理解を得やすくしている。一方、日本繊維産業連盟のデューディリジェンスガイドライン普及への課題は、何よりサプライチェーンを管理する立場であるアパレル、商社の意識向上である。欧米のブランドと取引のある中小企業の意識は高い。発注側が要求をしないと人権デューディリジェンスは進まないと感じている。さらに、救済措置、労働組合の協力、専門家(社会保険労務士)の協力、英語版発行も課題であると認識し、対応を進めている。 奥山様 産業構造上、サプライチェーン上の労務問題は事業に直結するため、もともと国際労務の観点から様々なステークホルダーと関係をもっていたというベースがある。人権について議論し始めた際は、関係者や当事者に話を聞くところ、つまりステークホルダーとの対話からスタートした。そうした中で外国人技能実習生の問題を知り、アセスメント、デューディリジェンスを行った。特に手数料問題(債務労働)を優先課題と位置付けている。また、2021年には人権方針を策定し、優先課題として明記した。 人権は法令順守を超えたところにあるので、一部の取引先企業に理解を得られない点は難しさを感じている。また、産業の特徴としてサプライチェーンが広く、深い関係上、能動的なデューディリジェンス活動は深刻そうな問題、問題の多そうなところを優先しておこなうので、すべてに届く訳ではない。困っている人の側から声を上げてもらえる、苦情処理メカニズムの重要性を感じている。また、取引先企業は複数のブランドホルダーと取引をしていることもあり、困りごとの内容も企業が解決できる問題ばかりではない為、横断的な取り組みが必要であると考えている。 テーマ3:「責任ある企業協働プログラムへの評価と期待」について 氏家様 救済メカニズムへの参画と、デューディリジェンスプロセスへの参画、グローバルサプライチェーン上の人権侵害撲滅への関与が重要である。JP-MIRAIに期待することとして、「ライツホルダーと本当の対話を支援するツール」であり続けてほしいと考える。JP-MIRAIはライツホルダーと企業をつなぐ強力なインフラになりつつあると感じている。人権課題に取り組む企業へ相互的に支援していくことになるだろう。パッケージイメージをより具体化し、特に中小企業に使ってもらえるものにしていくことが重要である。責任あるサプライチェーンの取り組みは2015年のG7サミット首脳宣言が出てから日本は本格的に動き始めた。今年、日本はG7サミットのホスト国となる。再度サプライチェーン上の課題を考え、一歩進んだ取り組みと成果を世界へ広げていけるように、JP-MIRAIとしても取り組んでいくべきである。 富吉様 JP-MIRAIに期待する点は外国人労働者のネットワークづくりと、救済メカニズムの仕組みへの支援である。繊産連のガイドラインの中でも救済メカニズムは企業によって形態が違うため用意できなかったが、今後連携していきたい。外国人ネットワークは救済メカニズムとつながるところでもあり、期待をしたい。また、JP-MIRAIの会員には労働組合の方も入っており、グローバルなサプライチェーン管理について、労働組合の持つ国際的なネットワークを活用しながらバックアップしてもらいたいと思う。労働組合とともにJP-MIRAIとして仕組みを構築していくという面で心強いと感じている。また、SDGsの根幹にあるのは環境ではなく、人であるという点をアピールしてもらいたい。 奥山様 トヨタ自動車では2021年に人権方針を策定し、22年には取引先にも適応するガイドラインを展開した段階だが、グリーバンスメカニズムの整備に難しさを感じている。自社と極近しいところでは通報窓口を持っているが、お金と手間がかかる。規模の小さい企業にそれぞれ窓口を作成いただくことは難しいので、このような企業協働プログラムはありがたいと感じる。また、ステークホルダーの中でも特に規模の小さい企業に属する労働者ほど大きな脆弱性を持つと感じている。多様なステークホルダーが集うJP-MIRAIだからこそ効果的な仕組みができるのではないかと期待している。 最後に、パネリストの3名よりお言葉をいただき、閉会となりました。 https://youtu.be/n6UO-l9nkmY 日本繊維産業連盟 副会長 富吉賢一様の資料はこちら ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。本研究会の全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。 今回のイベントではお伝えしきれなかった部分、興味関心をお持ちの皆様からのご質問は下記専用窓口にお気軽にお問い合わせください。 「責任ある外国人労働者の受入れ企業協働プログラム2023」 問い合わせ先 e-mail: info@jp-mirai.or.jp 電話:03-6261-5539 皆様からのご質問を伺う機会を以下の要領で開催いたしますので、こちらへのご参加もご検討ください。 「責任ある外国人労働者受入れ企業協働プログラム」説明会...

2023年1月18日(水)、第3回自治体・国際交流協会等勉強会(オンライン)を開催し、自治体、国際交流協会、教育機関、企業など、JP-MIRAI会員内外から、93名の皆様に参加をいただきました。勉強会冒頭、JICA国内事業部・部長の福田より主催者挨拶を行いました。外国人材受入れにおいて多様なステークホルダーが関与する中、地域社会の一員として外国人材を受入れるにあたり、自治体が担い、果たしてきた責任と役割の重要性を改めて確認した上で、本勉強会が有益な学びの機会となるとともに、会を通じて、自治体をはじめとする重要なステークホルダー間の知見共有や、横のつながり・ネットワークが強化され、それぞれの地域での取組が更に促進することを願っている旨、発言しました。JICAは政府開発援助(ODA)の実施機関として、開発途上国への技術援助や資金援助を主な業務とする中、なぜ日本国内の社会課題に取り組むのか、と問われることも多いと言います。相互依存の世界と言われて久しい中、国際社会の問題、開発途上国の開発課題、日本国内の社会課題は根底では連動しており、それぞれを切り離して考え、別々に対応する必要はないのではという問題意識を持っている、とコメントしました。JICAがこれまで培ってきた国際協力の知識と経験をもとに、国内の地域課題解決に対し、地域パートナーと協働していきたと考え、取組を強化しているところである、と発言。JICAが日本国内での取組を進めるにあたり、先進的な事例が全国に様々ある中で、開発政策、開発事業のアプローチという観点でJICAが学ばせていただくことが大変多い状況であることに触れつつ、各地域のステークホルダーである皆さまとJICAとの協業、共創を一層進めることができれば幸いである、とコメントしました。 https://youtu.be/CSXsIOQoFm0基調講演「コロナ禍で見えてきた在留外国人の課題―日本は選ばれる国になりえるか?」公益財団法人日本国際交流センター(JCIE) 執行理事 毛受敏浩様 資料はこちらhttps://youtu.be/VZqNYusHU5c冒頭、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)発生前後の日本人と在留外国人数、外国人労働者数の増減推移を示しながら、コロナ禍でも外国人労働者数が減少しなかった背景には、製造業、サービス業、医療・福祉など、日本のあらゆる産業の重要な担い手として多くの外国人労働者が日本で暮らし・働いている現状があるのではないか、とのお話がありました。そういった中、JCIEの休眠預金事業を通じて見えてきた現状として、コロナ以前から存在した生活・就労環境などにおける外国人労働者の脆弱性が、コロナによってより顕在化したという見方が正しいのではないか、という視点を共有されました。2022年6月に日本政府が出した「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」では、ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援への言及がなされるなど、定住を想定した事業が加速度的に開始している中、「選ばれる国」になるためには、将来を見越して、どれだけ、どの分野で活躍してもらうかをゼロから検討していく必要があり、また、「社会の重要な担い手であるという認識」をしていく必要がある、と発言がありました。外国人(労働者)は、支援が必要な人たち、という側面もあるものの、日本人が持たない多様な価値観、経験、スキルを持つ重要な人材であり、そのような「隠れた潜在力」をどのように発見し、日本の社会に役に立ててもらえるかを考えることは大事である、という点に触れ、それらを実現するために自治体に期待されることとして、以下5点を挙げました:人口政策と結び付けた外国人受入れビジョンの策定、実行外国人活躍を促す仕組みづくり―「日本の社会の中で自分を認めてもらいたい」「社会とつながりたい」という外国人のニーズがある中で、そういった人々の活躍を促す仕組みづくりが肝要地域住民の意識改革地域の多様な主体が関わるプラットフォームの構築―地域の在留外国人がどのような役割を担いうるのか、そして、地域の将来がどうあるべきか、について議論をしていく現場(自治体)の声を政府へ明確に届けていくことで、政府の明確な意思表示を促していく事例共有「美作市における外国人材受入れの取組について」美作市 市長 萩原誠司様 資料はこちらhttps://youtu.be/9spt0g5lPS8美作市における外国人材受入れの取組の位置付けについて、冒頭お話がありました。同市は消滅可能性自治体と言われており、「消滅可能性というレッテルをはがすため」に行っている様々な取組の中に、外国人の受入れ政策が存在するとのこと。受入れ政策を検討する中で、経済界から「日本と親和性のあるベトナムが継続的に産業界に参入できるようパイプ整備をお願いしたい」という趣旨の要望があり、その要望に応えるべく当初は姉妹都市交流を検討したものの、望ましい候補に出会うことができず、最終的には、ダナン大学との友好協定締結に結実。これが同市におけるベトナムからの人材受入れの始まりでした。大学との友好協定を選択した主な理由として、人材供給の源泉がありうるという点、そして、幅広い観点から当市の受入れ政策について議論をすることができる相手であるという2点が挙げられました。美作市でのベトナム人技能実習生受入れにあたっては、市の商工会が監理団体としての役割を担っているという点がひとつの特徴です。これは、ダナン大学との交流によって得られた知見を基にしながら、同市が商工会に働きかけたことがきっかけでした。監理団体として市の商工会を選んだ理由は、同市へ来る際の最初の入口として、安定的であること:つまり、利益動機だけではなく公共的な色彩を兼ね備えた監理団体として、生活の安定、支援の充実や外国人への支援を市と協力してできるのではないかと思ったから、と萩原市長はコメントされました。美作日越友好協会の設立やダナンフェスティバルへの参加など、ベトナムと美作市の交流を促進するための活動とともに、市内住民のベトナムに対する理解、重要性を得るために続けてきた同市の努力は、受入れ政策を進めるにおいて欠かせないことでした。ダナン大学との関係を軸にしたかたちで取組を進めてきたこと、また、ベトナムからの外国人労働者の受入れの仕方が大変丁寧であったことから、同市を評価した上で、ベトナム国内の地域との関係を改めてつくってくれないか、という要請があり、イエンバイ省との友好協力関係につながり、現在は、具体的な事業展開に向かって進んでいるとのこと。最後、日本における外国人受入れ政策に関し、萩原市長の視点から課題認識の共有をしてくださいました。外国人も地域社会の主力の構成員となって、日本社会、日本文化をともに守り、育てていく仲間となってほしいと考えておられる萩原市長。ただ、現行制度の「在留期間の制約」は、受入れ企業側の社内におけるキャリアパスを念頭に置いた雇用、パートナーシップと相反するものになっており、また、外国人にとっても、時限的な在留の中で日本語や日本文化の習熟に対する意欲を高く持つことは難しい、とコメントされました。「では、どうすべきか?」という問いに対し、外国人も日本社会で共に生きていくために必要な環境づくりをしっかりとやっていかなければ、と思っており、社会の重要な構成員として、積極的に文化の担い手になっていく、そんな社会構造になっていくべきだ、とご発言。そして、日本社会をサステイナブルなもの、活力のあるものとして維持していくために、「異次元の少子化政策」と並んで、「まっとうな形での対外政策(人的交流)」の再構築が必要であり、また、問題の重要性が国民に深く理解される進展の中で、司令塔組織が必要になってくるだろう、という点にも触れました。質疑応答・パネルディスカッション〇美作市 市長 萩原誠司様〇JCIE 執行理事 毛受敏浩様〇モデレーター JP-MIRAI事務局 宍戸健一 https://youtu.be/5x7QhW8ZeRk「外国人の受入れに関する将来の地域の絵姿は自治体が決めるべき、という話がありましたが、住民の声をはじめ、市内のステークホルダーの反応などはいかがですか?」(萩原市長)市長着任時、市内人口が3万弱だったが、「10年間で3,000人くらいのペースで(外国人住民を)増やしていきたい旨、以前取材で答えたことがある。市として圧倒されないペースで受入れ、サポートができる数を積算した。3万に対し3,000人というのは、人口の1割程度。ゆっくりと増やしていくことができれば、上手く受入れられるのではと考えた。外国人受入れに関する市民の理解や受け止め方については、年年歳歳ポジティブになりつつあると思う。ネガティブな感情が減ってきている要因には、人口減少により、地域社会が存続していくためには、外国人の受入れの他に方法がないのではないか、ということが理性的に理解され、広まりつつあることが挙げられるだろう。また、スポーツや芸術文化など様々な分野において、日本人の定義に幅が出てきて、その定義の広がりが強く認識されていくようになったという点もあると考えている。「JCIEで主催されている共生未来事業を通じ、色々な地方で様々な方と意見交換をする機会も多いと思いますが、地域における(外国人材受入れに係る)受け止め方について参考になる事例などはありますか?」(毛受様)岡山県の特性だと思うが、「岡山県国際貢献活動推進条例」を定めるなど、外国人に対してとてもオープンマインドであり、そのような住民意識が強い地域ではないかと思っている。萩原市長の話を聞きながら、トップが明確な姿勢を示されている点が素晴らしいと思った。「社会として外国人をどのように位置付けるのか」に関し、リーダーが明確に示すことで、住民の納得を得られるのだと思う。美作市では「交流」を中心に取組を推進してきたことで、外国人が、労働者としてだけではなく、地域と交流していくことができ、受入れが上手く進んでいるのだろう。このように多様なかたちで交流を進めていく姿勢が重要である一方、そこまでの取組を行うことができている自治体はなかなか限られていると思う。「市長のお話の中で、定住者を増やしていきたい、という話がありましたが、定住者を増やすことで、自治体側の負担が重くなる部分もあると思います。住民の理解はあるのでしょうか?」(萩原市長)市内では、ベトナム人を始めとする外国人住民との交流が始まっている。交流をしている方々は、企業の外から(外国人住民を)見ているのにも関わらず、「居続けて欲しい」と思い始めており、外国人を地域の一員として受入れていることに対し、違和感が無くなってきている、というのは特筆すべき点。ベトナム人以外にも、結婚による定住者が当市でも増加傾向にあるが、(外国人だからといって)排他的な扱いを受ける、というような話は耳にしない。ただ、その理由の一つには、受入れている人数が少ない、というのはあると思う。住民が「圧倒されない」レベルで、受入れを進めていくという限りにおいては市民に理解してもらえるのではと考えている。「美作市ではどのような発信を外国人に対してしていますか?」(萩原市長)ベトナム人がSNSをよく使用する点に着目し、FacebookとInstagramでベトナム語での発信を行っている。「美作市はこんなところ」という一般情報だけではなく、SNSを通じて来る外国人住民からの相談に対し、市役所のベトナム人職員が対応している、というやりとりの様子もそこはかとなく見えるようにしている。このような広報発信の宣伝効果は大きいのではないかと思う。「美作市に在住しているベトナム人はどのような将来の夢やビジョンを持っていますか?」(萩原様)コロナ前は、BBQをしながら話を聞く機会が多くあった。そのような場でベトナム人たちと話をすると、特に若者の多くはおしなべて「日本にいたいな」という気持ちがあったことを記憶している。日本に長く住む上で重要なことは、家族を日本で持てるかという点にあると考えており、賃金ももちろん大切であるが、教育もとても重要な要素である。「選ばれる地域になるために、外国人子弟の教育に力を入れている地域の事例などはありますか?」(毛受様)日系ブラジル人の集住地域ではそれらの取組を実施しているものの、日本人と同じレベルの学力になっているかどうかというと、そうではないのが実態。教育に関する課題は、親の経済力や日本語能力なども関連している複合的なものであり、包括的な支援が大切。「自治体関係者をはじめとする参加者へのメッセージをお願いします」(毛受様)萩原市長の話を聞き、とても勇気づけられた。バイタリティー、エネルギーがないとできない取組だろうと思う。(本日の自治体・国際交流協会等勉強会のような)JICA、JP-MIRAIがつくる機会のなかで、共感の輪をいかに広め、世の中を動かしていくか、ということが必要だと思う。(萩原様)「日本を守るために受入れが必要」という根本的な点を共通認識として持つべきではないかと考えている。国全体を動かしていくためにどうしたらいいのか、について、様々な主体を巻き込んで議論していきたいと思う。本日は当市の取組についてお話したが、地域だけでは解決できないことがたくさん残っていることについても最後にコメントしたい。(宍戸)本日の勉強会を通じ、萩原市長の強いビジョンとリーダーシップを基盤に行われている(人材確保という側面にとどまらない)複層的な取組やその戦略について理解が深まった。現在、技能実習制度の見直しに係る議論が進んでいるが、外国人受入れに係るビジョンについて、何らかのかたちで今後皆さんと議論が出来ればと思う。勉強会後の参加者アンケートでは、萩原市長のリーダーシップや美作市の取組についてとても感銘を受けた、参考になったなどの声が多く寄せられました。また、日本の人口減少の現状や、地方自治体における具体的な取組について参考になった、地方が選ばれるために、参照できる事例があればまた話を聞きたい、今後もこのような自治体・国際交流協会等向けの勉強会を開催して欲しい、といった声も聞かれました。JP-MIRAIでは、これらのアンケート結果も踏まえつつ、今後もテーマ毎の勉強会を実施して参ります。本勉強会に参加してくださいました皆様、誠にありがとうございました!<参考:JP-MIRAI自治体・国際交流協会等勉強会について>会員等による相互の取組の共有やJP-MIRAIを含む他機関との今後の連携を目的に2021年11月に「自治体・国際交流協会等第1回意見交換会」を実施しましたが、本意見交換会を通じ、各地域における多文化共生・外国人材受入れに係る取組の現状やニーズの多様性を再確認できた一方で、人材不足や日本語に関する取組など、地域横断的な共通課題があることも明らかになりました。このような意見交換会の結果を受け、多文化共生推進の重要な担い手である自治体・国際交流協会等の地域のステークホルダーに対し、地域横断的な知見共有の場を提供することを通じた多文化共生社会の実現を主眼に、2022年4月以降、毎回テーマを定めて「自治体・国際交流協会等勉強会」を実施しています。第1回の勉強会では、「戦略的な高度外国人材導入と選ばれる地方―『宮崎-バングラデシュモデル』」と題し、宮崎大学、九州センターと共催した合同セミナー形式で勉強会を実施(2022年4月27日、6月27日、8月4~5日)。全3回の本セミナーを通じて、地域における高度人材の導入の好事例である宮崎-バングラデシュモデルへの理解促進だけではなく、他地域で同様のモデルを展開する際、どのように産官学連携を進めていくことが出来るのか等、実務的な観点でも多くの学びあいがなされる場となりました。第2回の勉強会は、「グローカル・ハタラクラスぐんま(GHKG)」と連携の可能性について」と題し、留学生の地域定着モデルの好事例であるGHKGについて理解を深め、また、他地域での展開に際する課題や工夫について考える機会を創出しました。...

2022年11月24日(木)、JP-MIRAI(責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム)は、オンラインセミナー「責任ある企業行動セミナー~日本繊維産業連盟および日本政府のガイドラインから考える企業の行動~」を開催しました。当日は、JP-MIRAI会員および非会員の方66名が参加されました。 日本繊維産業連盟の「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」と、日本政府の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」は、下記ウェブページよりダウンロードが可能です。 ・日本繊維産業連盟「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」 https://www.jtf-net.com/download-center/ ・日本政府「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」 https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220913003/20220913003-a.pdf 【基調講演 】 基調講演では、日本繊維産業連盟の副会長・事務総長の富吉様より、「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」をご紹介いただきました。 デュー・ディリジェンスのプロセスにおいて重要な三つのポイント(①コミットメント、②ステークホルダー・エンゲージメント、③人権課題の確認と優先順位付け)を強調されました。また、デュー・ディリジェンスの進め方をPDCC(Plan, Do, Check and Communication)を回すこととし、それぞれについてご説明いただくとともに、「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」と他ガイドラインとの違いや特徴をご説明いただきました。 https://youtu.be/msCnvL6ICiw 資料はこちら 【パネルディスカッション】 <パネリスト登壇者> ・国連開発計画(UNDP) ビジネスと人権リエゾンオフィサー 佐藤暁子様 ・帝人フロンティア株式会社 環境安全・品質保証部 部長 岡本真人様 ・JICA国内事業部/弁護士法人Global HR Strategy 代表社員  杉田昌平様 ・日本繊維産業連盟 副会長・事務総長 富吉賢一様 ・JICA 理事長特別補佐  宍戸健一(モデレーター) 国連開発計画(UNDP)ビジネスと人権リエゾンオフィサーの佐藤暁子様には、「指導原則が企業に求める行動 日本政府のガイドラインの意義 UNDPによるビジネスと人権プロジェクト」というテーマでお話をいただきました。 日本政府のガイドラインは国内外のサプライチェーン全体で人権DDを進める際、指導原則に加えて共通の指針として活用することが期待されていることに加え、日本企業において特に課題として認識されているステークホルダーとの対話を進める基盤となることをお示しいただきました。また、現在UNDPが日本政府の支援により行っている、ビジネスと人権のプロジェクトの内容についてもご紹介いただきました。 次に、帝人フロンティア株式会社 環境安全・品質保証部 部長の岡本真人様より、「CSR調達への取り組み」をご報告いただきました。 CSR調達管理におけるPDCAの回し方や、CSR調達基準書が国際的人権基準に基づき制定されていることをお話しいただきました。また、2019年より開始した「ゼロフィー・プロジェクト」と呼ばれる、送り出し機関が手数料を徴収しないスキーム構築についてもご説明いただきました。 JICA国内事業部・弁護士法人Global HR Strategyの杉田昌平様からは、移住労働者の脆弱性についてお話いただきました。 移住労働者の脆弱性を作り出す要因を特定し、可能な限りその要因を取り除くとともに、脆弱性の存在を認識し、それを利用しない/利用させない仕組みを作ることが大切であることに加え、企業による人権尊重として、コンプライアンスとは別に人権をどこまで守るのか方針を立て、方針の中でコミットするものを決定し、各国の送り出し費用に関し対応することが求められていると、ご意見をいただきました。 その後、国際基準に沿って策定されたガイドラインにより、企業はどのようにアクションに結び付けていくべきかということについてパネルディスカッションを行いました。 中小企業や家族経営企業、地方産業で人権を守る取り組みを進めることは世界各国共通の課題であり、具体的にどのような取り組みが求められているのかということを地道に伝えている事例として、UNDPとタイ政府が協働して各地方で実施しているワークショップについてご紹介いただきました。また、人権の取り組みに正解があるわけではないため、プリンシパルに則り企業としてどのように積極的な判断、取り組みをするかを定め、その判断に対しステークホルダーと対話をし、必要があれば変化させていくことが重要であることを確認しました。 また、「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」はサプライチェーン管理にこだわらず、個々の企業が人権を守る観点で策定されている点が高く評価されていることや、日本政府の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が策定されたことにより、それが日本の公的基準であると企業が国内外の取引先へ説明し、協力していただける取引先が増えることへの期待が示されました。 技能実習生による送り出し費用負担をゼロにする「ゼロフィー・プロジェクト」や、社会労務士の活用についても議論されました。 最後に、経済の力を使って、ガイドライン遵守を含む「いいこと」をすればメリットがあるという土台をつくることへの期待や、人権の取り組みは長期的な投資であり、現在は、元々外部化していたものを内部化している過渡期であるという考えが共有されました。最後に、経済の力を使って、ガイドライン遵守を含む「いいこと」をすればメリットがあるという土台をつくることへの期待や、人権の取り組みは長期的な投資であり、現在は、元々外部化していたものを内部化している過渡期であるという考えが共有されました。 https://www.youtube.com/watch?v=REJtVzMjhm0 国連開発計画(UNDP) ビジネスと人権リエゾンオフィサー 佐藤暁子様の資料はこちら 帝人フロンティア株式会社 環境安全・品質保証部 部長 岡本真人様の資料はこちら JICA国内事業部/弁護士法人Global HR Strategy 代表社員 杉田昌平様の資料はこちら 当日はJP-MIRAI会員を含む66名の皆様にご参加いただきました。 セミナー終了後のアンケートでは、「業界は異なるものの、実務的で具体的なお話を伺うことができた」「引き続きセミナーなどで人権DDの最新動向などについて発信してほしい」といったお声を頂戴しました。 また、「ガイドラインを浸透させる方法として認証制度を導入するという手がないか」というお声もいただきました。JP-MIRAIでは現在認証制度の具体的な検討を進めており、今後もマルチステークホルダーの皆様と議論をしながら取り組んでまいります。 今後、JP-MIRAIでは新しい活動として、社会労務士の皆様との勉強会の実施を検討しています。 ご参加いただいた皆様、登壇者の皆様、誠にありがとうございました。...

望ましい外国人労働者の受入れには、適切なステークホルダーとの連携が必要である一方で、その探し方、連携関係の構築が難しいといった課題があります。JP-MIRAIは、外国人労働者の雇用や受入れに関して望ましい行動をとっている企業や団体等が選ばれやすくなるための仕組みとして、認証制度の活用を検討する研究会、「受入企業・団体等の認証について考える研究会」を開催して参りました。この度、その最終回として第3回「民間企業の取組みとJP-MIRAIの役割」を開催し、52名の方にご参加頂きましたので、その内容をご報告します。●まず、本セミナーの冒頭では事務局より今までの研究会の振り返りを行いました。・第1回研究会では、既に認証制度を運用されている自治体や業界団体にご参加頂き、外国人労働者に係るステークホルダーのコンプライアンス遵守は認証の前提要件であることが統一的な見解として示されました。その上でコンプライアンス違反の実態を把握することが困難であるとの課題への対策として、例えば、加入前に誓約書の提出を義務付けるといったような取り組みをご紹介頂きました。他方、自治体・業界団体による認証制度の目的は違反者の摘発ではなく、例えば自治体であれば、同自治体内企業の外国人労働者の適切な受入れ環境の向上であることが共有されました。そして、JP-MIRAIによる認証制度については、特に個々の取組みだけでは解決できないような手数料問題等に関連した項目を含めて新たな認証制度として設計することへの期待をお寄せ頂きました。・第2回研究会では、国際基準による認証や評価制度について関係企業よりご紹介頂き、その理念や活用メリットについての情報共有を行いました。外国人労働者に選ばれる日本になるためには、日本の基準のみならず、国際的に認められた厳格な基準を満たすことを示す必要があるということ、そのうえで、適切なサプライチェーン管理を推進するためには、バイヤーからサプライヤーに対しての、認証に取組むメリットを丁寧に説明するといったエンゲージメントが必要不可欠であることが報告されました。グローバルスタンダードを目指すためには、人権意識の向上と、バイヤーとサプライヤーが一体となった取り組みを継続することが非常に重要であるということが示された研究会となりました。https://youtu.be/Wya7MNQucHo●続いて、民間企業の取組みに関して次の2名のゲストをお招きしてお話をお伺い致しました。①受入れ企業チェックシートについて株式会社One Terrace 取締役 阿久津 大輔 様最初に、株式会社One Terraceの阿久津様より受入れ企業向けの日本法ならびに国際法規が基礎となる外国人雇用管理アセスメントとその雇用管理チェックリストをご紹介頂きました。このアセスメントが誕生した背景として、外国人雇用管理に関して、第三者評価によって外国人材を適正に登用する企業であることを証明する必要性の高まりがあるとのお話がございました。その理由として、①一部の企業における対応や人権問題により企業全体が社会から厳しい目にさらされる環境に置かれていること、②企業の社会的責任が問われる時代になり、その対応次第で企業の成長ドライバーでもある外国人材から選ばれなくなる可能性があること、の2点が挙げられました。本アセスメントを通じて企業は社会的な信頼を獲得するだけでなく、問題の早期発見や継続的な改善に繋げられるとのことでした。直接的なメリットとして、①外国籍社員や従業員が適正雇用企業であることを認識できる、②責任者が外国籍社員の登用や活躍支援を推進しやすい環境になる、③第三者機関により適正雇用事業者であることが証明されること、が挙げられました。間接的なメリットとして、①社会的信用が増し、企業イメージが良くなる、②社会課題への対応ができる、③レピュテーションリスクを低減しガバナンス強化に繋がる、とのお話がありました。また、本アセスメントの具体的な内容として、導入企業のニーズ(「自社管理」「子会社管理」「取引先管理(サプライチェーン)」「フランチャイズ管理」の4点)に対して7つの調査項目(①採用②労務③人事制度④人材マネジメント⑤働きがい⑥人権⑦社内合意)と40の小項目を、事前アンケート・実地調査等を通じて行っているとのご紹介がありました。アセスメント後は、調査報告書をまとめ、S、A、B、C、Dの5段階で評価を行い、B以上(S、A又はB)の評価を得た企業を適正雇用が行われているとして、1年更新で認定証を発行しているとのことでした。https://youtu.be/A8mq2Oqly_I資料はこちら②外国人雇用に関する認証制度等の構築支援について株式会社ワールディング マネージャー 池邊正一朗 様次に株式会社ワールディングの池邊様より外国人雇用に関する認証制度等の構築支援、具体的には、同社による「雇用ガイドライン策定支援」とそれに係る「受入基準制定・運用支援」についてご紹介頂きました。支援にあたっては、基準を満たすための実施推奨施策を案内することを重視されているとのことでした。実際に、ガイドライン策定の支援を行ううえでは、主体者、例えば、受入企業、ライツホルダー、自治体、日本政府等によりぞれぞれの目的があるため、「誰の目線でガイドラインを策定するか」が重要あり、多様な視点を加味して基準となるKPIを設定する必要があるとのお話がございました。適切な受入基準の制定に向けてのポイントとして、受入企業とライツホルダーの2つの目線からのお話を頂きました。まず、受入企業目線として、主な課題を2点共有頂きました。1点目は、企業の理念・経営理念実現のための行動指針に即した「受入基準の制定」、2点目は円滑な外国人活用、不測事態への即時対応を実現させるための「情報・ノウハウの集約」です。これらは非常に多くの企業が直面している共通課題であるとのお話がありました。次にライツホルダー目線として、国際的規範・ガイドラインにいかに準拠できているかがポイントであるとのお話がございました。その例として、英国の「ビジネスと人権研究所(IHRB)」主導で作成されたダッカ原則を基準として、ベトナム人技能実習生247名に対してアンケート調査を実施したところ、「費用徴収」や「労働組合に入る権利」そして、「グリーバンスメカニズムの整備」といった点が不十分との結果になったとの報告を頂きました。また、遵守が軽視されがちなコンプライアンスとして、「日本語学習機会の提供とその範囲」、「寄宿舎規定」、「監理団体・登録支援機関の選定」があるとのことでした。最後に、ライツホルダー及び投資家として、「人的資本可視化のための開示事項の設定と開示」が重要とのお話がありました。これらを踏まえたうえで認証制度を検討することも可能ではないかとのご示唆を頂きました。https://youtu.be/Z27pXgB-eCE資料はこちら●次に、JP-MIRAI事務局より現在検討中の認証制度についてご説明しました。本認証は、外国人労働者を適正に受け入れようとする団体等のインセンティブを高めることを目的としていること、認証制度構築にあたっては様々なステークホルダーの皆様と協働するほか、既に認証制度を運用している自治体・業界団体・民間企業とも連携を図ることで信頼性や知名度の向上を目指すことをご説明しました。また、本認証の基本的な方向性として、法令順守状況を中心に適格性を確認する基本認証を中心とすることで、大企業のみならず中小企業の皆様にも取組みやすい内容とすることをお伝えしました。さらに、認証制度とあわせて、外国人労働者に適切な情報を提供すべく、JP-MIRAIポータルと連動し、母国語で、外国人労働者に法令順守状況を質問する、外国人労働者向けセルフチェックシートの導入を準備していることをお伝えしました。https://youtu.be/WKdSU4weSL8資料はこちら●続いて、新たにゲストを2名お招きして、パネルディスカッションを行いました。まず、冒頭でゲスト2名よりそれぞれのお取り組みをご紹介頂きました。群馬県 地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課 外国人活躍推進係長 後藤 昌宏様群馬県の後藤様からは、群馬県多文化共創カンパニー認証制度についてご紹介を頂きました。「多文化共創カンパニー認証制度」は、外国人労働者受け入れに関して、特に優れた取り組みを行う事業者を認証すること、そして、その取り組みを国内外に情報発信をしていくことがセットになった認証制度であることをご紹介頂きました。また、この認証制度の普及を通じて、県内企業に対しては、外国人材が活躍できる働く場づくりのヒントとして頂き、一方で外国人材に対しては、群馬県に活躍できる環境が整っていることを知り、群馬県を働く場として選んでもらうことを目的に取り組んでいるとのお話を頂きました。アジア技術交流協同組合 代表理事 下茅 亮様次にアジア技術交流協同組合の下茅様より、監理団体のお立場からお話を頂きました。外国人受入れに携わる監理団体・登録支援機関等が急速に増えている一方で、人権に特化した指標が無いことについて問題提起を頂きました。これらの課題を解決するため、また、外国人労働者の方が団体を見分けるための印が必要とのご意見を頂きました。続いて、以下のパネリストによるパネルディスカッションを行いました。パネリスト①群馬県 地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課 外国人活躍推進係長 後藤 昌宏氏パネリスト②アジア技術交流協同組合 代表理事 下茅 亮氏パネリスト③株式会社One Terrace 取締役 阿久津 大輔 氏パネリスト④株式会社ワールディング マネージャー 池邊 正一朗氏パネリスト⑤JP-MIRAI事務局 宍戸 健一モデレーターJP-MIRAI事務局 秋山 映美1つ目の議題として、コンプライアンス違反に対する対応方法について意見交換を行いました。参加者からは法令遵守は認証を受けるうえでの最低基準であるとの見解が示されました。また、ワンテラス様、ワールディング様におかれましては、コンプライアンス違反を確認した場合について、改善提案報告書にてフィードバックを行い、適正化に向けて伴走支援を行っているとのことでした。また、ワールディング様からは監理団体のコンプライアンス状況を確認する方法として「外部監査報告書」「事業報告書」「(監理団体の)優良要件適合申告書」を求めるべきではないかとのアドバイスを頂きました。2つ目の議題として「手数料問題」について意見交換を行いました。参加者からは手数料問題は複雑であり、センシティブな問題であるとの声がありました。例えば、教育費と手数料の区分基準の設定の難しさや、手数料をゼロとした場合の必要経費の負担を誰が担うのか、といった点で議論がありました。そのうえで、サプライチェーン全体で適切にコスト分散しているかどうかを認証基準の1つに入れることは非常に有益とのお話を頂きました。3つ目の議題として日本全体で外国人労働者の受入れ環境を向上するという観点から、JP-MIRAI認証はどのような水準で行っていくべきか、について議論を行いました。参加者からは「最低限のコンプライアンス確認であれば、定期監査を実施している監理団体を認証審査機関として活用できるのではないか。」「監理団体に丸投げにならないように受入企業を巻き込んだ取組みが必要なのではないか。」「監理団体だけがチェック機能を持つのではなく、第三者機関が別の視点でダブルチェックすることが有効ではないか。」等のご意見を頂きました。4つ目の議題として参加者それぞれのお立場からJP-MIRAI認証の構想についてご意見を頂きました。全体として、認証制度やそれに紐づくチェックシートは受入企業・支援機関・外国人労働者にとってもコンプライアンスを再確認する良い機会になるのではないかとの前向きなご意見を頂きました。そして、今後更なる検討を進めるうえで、下記の通り具体的なアドバイスを頂戴いたしました。<認証制度全体について>・認証の仕組みの中に監査等も含む非常に重いチェック項目があることから、「認証取得のメリット」を明確に打ち出すことが重要である。・「認証取得のメリット」はブランドだけでなく、入管手続きの簡易化や、送り出し機関からの優先的な人材確保、企業単独での技能実習生の受入れ等の具体的なメリットとなるものが実現できると望ましい。・この認証は海外での採用活動に非常に有効となる可能性がある。海外での認証の普及に向けた仕組み作りが重要である。・外国人労働者の受入れに関わる多くの団体が参加できるよう費用負担を下げる仕組みを検討したうえでの価格設定が必要である。・自治体との連携にあたっては、既存の認証制度とJP-MIRAIの認証制度が同一の目的、方向性が担保できるか、また実現可能な実施体制の調整ができるのかが重要である。<セルフチェックシートについて>・外国人労働者向けセルフチェックシートに関しては、対象が外国人という特別視した設問を検討するのではなく、一度日本人に置き換えて、導入した場合にはどのような影響が出るのかを経営者目線で検討することで新たな課題がみえてくるのではないか。・チェックシートの設問は曖昧にせず、具体的な例示等を示しながら明確化する必要がある。・より多くの監理団体に参画頂くためには企業向けセルフチェックシートに「認証を受けた監理団体を通して受け入れているか」、監理団体向けには「認証を受けているか」等を設問に入れることも一案ではないか。https://youtu.be/3k8OQBP3m9Q群馬県 地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課 外国人活躍推進係長 後藤 昌宏氏の資料はこちらアジア技術交流協同組合 代表理事 下茅 亮氏の資料はこちら●研究会終了後の参加者からのアンケートでは「認証制度は非常に意義のあることだと感じた」「地方自治体でも利用できる制度の完成を期待している」「第三者認証としての信頼性の担保やメリットが必要」「監理団体の選定等を含めて、グループ会社に任せきりになっている企業が多いとの指摘から大きなヒントを得た」という声を頂きました。第3回「受入企業・団体等の認証について考える」公開研究会にご参加くださいました皆様、ありがとうございました。本研究会の全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。...

11月18日に2022年度上期会員活動報告会をオンラインにて実施いたしました。JP-MIRAIの掲げる、会員各位が順守すべき5つの行動原則をどのように日々の活動の中で実践してきたかについて、7会員からプレゼンテーションが行われました。当日は、約50名の視聴者がオンラインで参加し、質疑応答も活発に行われました。      活動報告会の様子ご発表頂いた会員の皆様の発表概要◆公益財団法人 国際労働管理財団 (企画部 森智子 様)国際労務管理財団(IPM)は、1993年に外国人技能実習制度の前身である「外国人研修・技能実習制度」が開始されて以来継続して、日本での技能習得や就労を希望する外国人の方と日本の企業様との橋渡し役を担い、来年2023年には設立30周年を迎えます。本報告会では近年の取り組みを中心に、当財団及びその事業について紹介させて頂ければ幸いです。◆一般社団法人 磐田国際交流協会 (副会長 高塚 勝久 様)磐田市は全国でも屈指の外国人集住都市です。多文化共生を活かしたまちづくりが、未来に向けて重要だと考えます。それを踏まえて2022年度上半期一般社団法人磐田国際交流協会の活動報告といたしまして①磐田市行政の市内企業を対象にした新たな認証制度設立(協会より提案)②磐田・袋井・掛川インターナショナルフェア2023の開催③磐田市日本語教育事業④磐田市外国人児童・生徒学習支援事業についてご説明申し上げます。◆一般社団法人 外国人介護職員支援センター (代表理事 井上 文二 様)活動名「特定技能外国人介護職を中心とした来日外国人が、それぞれの目標に向かって有意義に過ごせるように」現場で要求される、気持ちの通う声かけから正確な記録作成までの日本語能力及び日本式介護知識の習得は外国人にとってとてもハードルが高い。その上、5年以内の介護福祉士資格取得は本人の努力だけではほぼ不可能が現実。しかし、彼らの来日の目的や夢をできるだけかなえてあげたい。そのために、本人及び雇用者と教育機関の三位一体で実現に向けた取り組みを開始。まずは、外国人に夢と現実の厳しさをきちんと理解させ、学習意欲を持たせ、学習の基本から支援する一歩を踏み出す。◆加山興業株式会社 (経営企画室 マネージャー 井上 智博 様)「ビジネスと人権」という文脈において日本における外国人の労働者に対する社会課題が存在していますが、弊社では受け入れ当初から外国人に対する不当な扱いをせず日本人スタッフと同等の待遇にすることで、ディーセント・ワーク並びに多文化共生社会の実現に貢献しています。さらに技能実習生の安全衛生に対する教育の浸透やハード面での安全対策、日本人と外国人の相互理解の機会を積極的に創出するなど仕事の効率化を推進しています。◆明治ホールディングス株式会社 (サステナビリティ推進部 企画グループ長 山下 舞子 様)明治グループは2019年にグループ人権会議を立ち上げ人権デュー・ディリジェンスを開始しました。その中で「外国人労働者」を重要テーマの一つとして設定し、自社グループ内の雇用状況の把握を進めています。また、2022年6月には「外国人労働者雇用ガイドライン」を制定しました。それら活動の内容についてご紹介します。◆協同組合ビジネスナビ (専務理事 岩崎 亮太郎 様)私たちは、技能実習監理団体として、日々の技能実習監理業務を通して、現状の問題とこれからの課題に対する取組を実践し、そこで得た「現場で実際に求められていること」を発信することで、共生社会の実現に向けての意見を示しつつ、外国人材支援に携わる皆様と連携の道を探り、個別では解決の難しい課題に「面」で取り組み、たくさんの意見を結集して少しでも未来の環境が良いものになることを願い、日々の事業の中で活動に取り組んでいます。◆榑松佐一 様 (個人会員)4月から30件48人の相談があり、不正が明らかなもの9件を代理人として外国人技能実習機構(OTIT)に申告しました。毎年相談内容を整理して法務省・厚労などに要請し、制度見直しにも役立ててもらっています。近年はコロナ禍で帰国旅費不足など新たな問題や特定技能に関わる相談も増えています。これらをまとめて「コロナ禍の外国人実習生」を出版しました。少しですがJP-MIRAIも紹介させていただきました。その後、以下のような質疑応答が行われました。一般社団法人 磐田国際交流協会の高塚様に対して、(磐田市・袋井市・掛川市による)3市合同での多文化共生イベントの取組みが実現するに至った経緯についてご質問があり、実施の背景として、元々磐田市単独で行っていた多文化共生イベントの次回開催を、周辺地域一帯のランドマーク的な施設で行うことになったため、2市へ声掛けをしたことから実現に至ったとのご回答がありました。一般社団法人 外国人介護職員支援センターの井上様には、どのように外国人労働者の日本語学習へのモチベーションを維持させ、サポートしているのかというご質問があったところ、SNSを活用し、毎週4回の無料オンライン教室のアーカイブ動画を翌日には共有し、随時グループ内で質問も受け付けるなどいつでも繋がれる状況をつくっているとのご回答がありました。明治ホールディングス株式会社の山下様には、今回自社で策定されたガイドラインを、今後どう浸透させるご予定かとの質問があり、特に該当する拠点への個別説明会の実施や、サプライヤーの方々へのヒアリングや説明会について今後検討したいとのご説明がありました。榑松様には、ご本人のもとに如何に外国人雇用問題の深刻なケースの相談が集まってくるのか、とのご質問があり、これまで築いてこられたネットワークを活用して各ユニオンの方々とも協力し、SNSを活用した相談の受付を行っているとご回答頂きました。また、参加者アンケートでは、「加山興業様の『部活』には感銘を受けました。各企業のグローバル事業で、海外ではどうマネジメントをしていたかという側面も、国内における外国人マネジメントには役に立つと思いますので、各企業内での、事業を超えた人財マネジメントのシナジー等も今後聞いてみたいです。」「外国人介護職員支援センター様の外国人のキャリアアップを考えての活動は大変素晴らしいと思いました。」「多角的視点から外国人労働者の課題取り組みを知ることができ、大変参考になりました。」「JP MIRAI 会員というくくりで、様々なお立場の方の活動を拝見する機会は貴重だと思いました。個の活動を面的展開に連携の可能性を見いだせる場でもあるかと思いました。」といったご意見をいただきました。会員による活動報告の後、投票が行われ、一般社団法人 磐田国際交流協会、明治ホールディングス株式会社、榑松 佐一様が、優秀賞に選出されました。今回の活動報告が会員、そして非会員の皆様の人権デュー・ディリジェンスへの取り組み推進に繋がることを願っています。当日ご参加頂けなかった方、またJP-MIRAIの活動にご興味を持たれた方、発表資料及び動画(登壇者よりご許可頂いたもののみ)を本ページにアップロードしていますので、ぜひご視聴ください。※他者への動画の共有はご遠慮くださいhttps://youtu.be/rVcrvXTjPPA主旨説明公益財団法人 国際労働管理財団 資料はこちら 年次報告書はこちら(動画不掲載)https://youtu.be/_Qn5w3k3MWg一般社団法人 磐田国際交流協会 資料はこちらhttps://youtu.be/_YC8qMrgTp4一般社団法人 外国人介護職員支援センター 資料はこちらhttps://youtu.be/Hbtpo0-4nNE加山興業株式会社 資料はこちらhttps://youtu.be/7TmjDybpyJ4明治ホールディングス株式会社 資料はこちらhttps://youtu.be/MBZcVYnWwhg協同組合ビジネスナビ 資料はこちらhttps://youtu.be/24kXAAqTJF8榑松佐一様 資料はこちらhttps://youtu.be/zAB61umnF2M総評...

2022年12月9日に、「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム」2022年公開フォーラム「外国人労働者のプロセス全体にわたる脆弱性を考える」を、JICA市ヶ谷ビル国際会議場及びオンラインのハイブリッド形式で開催しました。同フォーラムの第1部では、2022年のJP-MIRAIの活動内容を報告するとともに、2022年の会員活動報告会にて優秀賞を受賞した企業・団体/個人会員への表彰状授与を行いました。第2部では、「ビジネスと人権」、「地域における多文化共生で取り組むこと」をテーマにそれぞれ先進事例を紹介しながら、パネルディスカッションを行いました。当日はオンライン・会場合わせて230名の方にご参加いただきました。1. 概要(1) 会議名:責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)2022年公開フォーラム「外国人労働者のプロセス全体にわたる脆弱性を考える」(2) 開催日:12月9日(金)15:00~18:00(公開フォーラム第1部 活動報告・会員活動報告会優秀賞の表彰、公開フォーラム第2部 主催者・来賓挨拶とビデオメッセージ、セッション1「JP-MIRAIがビジネスと人権で取り組むべきこと」、セッション2「多文化共生で取り組むべきこと」)(3) 場所:東京都新宿区市ヶ谷本町10-5 JICA市ヶ谷ビル2階 国際会議場【+オンライン配信】2. プログラム第1部 JP-MIRAI活動報告(1)2022年活動ハイライト(2)会員活動報告会優秀賞の表彰第2部 外国人労働者のプロセス全体にわたる脆弱性を考える(1)主催者挨拶 独立行政法人 国際協力機構 理事長 田中明彦(2)来賓挨拶 内閣総理大臣補佐官(国際人権問題担当) 中谷元氏(3)来賓挨拶 出入国在留管理庁長官 菊池浩氏(4)外国人労働者からのビデオメッセージ (5)パネルディスカッション セッション1 JP-MIRAIがビジネスと人権で取り組むべきこと   モデレーター:JP-MIRAI事務局/宍戸健一   パネリスト:   ・株式会社SUBARU 調達本部調達統括部 根岸伸行氏   ・一般財団法人大阪外食産業協会 副会長 井上泰弘氏   ・日本マクドナルド株式会社 取締役 執行役員 サステナビリティ&ESG/渉外/総務担当 宮下建治氏(6)パネルディスカッション セッション2 多文化共生で取り組むべきこと   モデレーター: 公益財団法人日本国際交流センター 執行理事 毛受敏浩氏   パネリスト:   ・公益財団法人佐賀県国際交流協会理事長 黒岩春地氏   ・NPO法人トゥマンハティふくおか代表理事 弥栄睦子氏   ・エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン初代理事長 ブパール・マン・シュレスタ氏(7)閉会挨拶 一般社団法人 JP-MIRAIサービス 代表理事 矢吹公敏第1部 2022年JP-MIRAI活動報告(1) 2022年活動ハイライトJP-MIRAIが2022年に行った主要な活動について報告しました。外国人労働者への情報提供(ポータルサイト&アプリ「JP-MIRAIポータル」)、相談・救済窓口(「JP-MIRAIアシスト」事業)、コミュニケーション強化(「JP-MIRAIフレンズ」)、企業・団体の取組みの支援(公開研究会、セミナー等開催)、会員間の協力(コラボ事業)、国内・海外への発信、その他、ホームページやSNSでの発信の取組みなどを実施しました。2023年は、活動の重点項目を(1)外国人労働者との情報共有・共助、(2)「ビジネスと人権」における協働、(3)学びあいと内外への発信の3つの柱に定め、活動を推進していきます。https://youtu.be/RrYVoEKgK842022年活動ハイライト 資料はこちら(2)会員活動報告会優秀賞の表彰2022年に2回実施した会員活動報告会で優秀賞に選ばれた企業・団体/個人会員の方に、表彰状の授与を行いました。(表彰企業・団体/個人:特定非営利活動法人Adovo、ミズノ株式会社、吉開章氏、一般社団法人磐田国際交流協会、明治ホールディングス株式会社、榑松佐一氏) 優秀賞を受賞した一般社団法人磐田国際交流協会の高塚さん、特定非営利活動法人Adovoの松岡さん、個人会員の吉開さん 写真:JICA第2部 外国人労働者のプロセス全体にわたる脆弱性を考える(1)開会挨拶 JICA理事長 田中明彦JP-MIRAIは、2020年の設立以来、多くの方の協力により、大きな発展を遂げてきました。会員数も増え、活動の幅も広がってきました。皆様のご協力に御礼申し上げます。今年は、2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に世界が直面する複合的な危機が更に深刻化しました。こうした危機を乗り越えるには世界の協調行動が求められます。日本はODAによる開発協力含め、国際的な協調行動に積極的に関与していますが、JP-MIRAIはこれを支える重要なプラットフォームとなります。日本が外国人労働者の人権を守ること、人間の安全保障を国内で実践できることを世界に示すことができて初めて協調行動に必要な国際的な信頼を得ることができるからです。労働者の人権に関して、国際スタンダードが確立されつつある中、日本政府は9月に、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を発表しました。JP-MIRAIのマルチステークホルダーによる取り組みが、このガイドラインの実践につながり、外国人労働者の人権尊重に寄与することを期待しています。世界を自由主義陣営と権威主義陣営の対立構造で捉えたうえで、如何に権威主義陣営を取り込むことができるか、といった議論があります。権威主義陣営の国の人の中に自由主義陣営の国に魅力を感じる人が増えること、これによって中長期的に権威主義陣営の国が変化するきっかけを作ることが重要です。権威主義陣営の国の方々が来日して、人権が尊重された状況の下で生活を送る中で、日本の価値観に触れ、帰国後もこうした価値観や日本への親近感を持ちつつ母国の社会・経済の発展に貢献する、これによってその国が自由主義陣営に少しずつ近づいていく、このことが複合的な世界的危機に対する国際的な協調行動の基礎になります。JP-MIRAIにはこれを促進する大きな力があります。教育、職場などあらゆる場面で多文化共生を実践していくためには、日本社会全体が抜本的に変わる必要があります。マルチステークホルダーのプラットフォームであるJP-MIRAIは、「あるべき日本社会の縮図」であり、JP-MIRAIが模範的な取り組みを進めることにより日本社会の変化を促すことを願っています。 独立行政法人 国際協力機構 理事長 田中明彦 写真:JICAhttps://youtu.be/zTo7zN04-sk(2)来賓挨拶 内閣総理大臣補佐官(国際人権問題担当) 中谷元氏現代の国際社会においてSDGsや「ビジネスと人権」の重要性が広がる中、日本での外国人労働者の待遇などの問題は、国際的な人権保護や自社のブランディングにおいて重要なテーマとなっています。外国人材との共生のための環境の整備に向けてJP-MIRAIには尽力いただいていますが、関係者の皆様と本格的に動き出したことは大変有意義で敬意を表したいと思います。日本政府は、国連人権理事会で支持された「ビジネスと人権に関する指導原則」を着実に履行するために、2020年に「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」を策定し、昨年12月には私の下に、関係府省庁会議を設け、省庁横断的な取組を行ってきました。本年9月には、政府の関係府省庁会議で、今年アジアで初めての業種横断的な「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を決定し、政府のガイドラインとして公表しました。企業活動における人権尊重の取組が求められているところ、このガイドラインは国連指導原則を始めとする国際スタンダードを踏まえ、企業に求められる人権尊重の取組について、日本で事業活動を行う企業の実態に即して、具体的かつ分かりやすく解説したものです。私は、今月初めに、スイスでの国連人権高等弁務官事務所主催の「ビジネスと人権フォーラム」に出席し、このガイドラインについてスピーチ、解説し、ステークホルダーと意見交換をしました。会場では、アジアのみならず欧米や世界中の政府、経済界・市民社会などのステークホルダーの皆様から日本の取組への高い関心と期待を感じました。今後もガイドラインの国内外での普及に努めるとともに、特にアジアの各国政府や、企業とも協力して、ガイドラインに沿った企業活動を後押ししていきたいと考えています。国内外のサプライチェーンで人権尊重の取組が進むことで、企業の競争力、持続可能性を高めると同時に、国際市場におけるアジアをより一層魅力的なものにしていくことに繋がっていくものと期待しています。政府自身も人権デュー・ディリジェンスについて模範となるよう、政府調達の在り方について検討するワーキンググループをつくり意見調整をしています。技能実習生を含む外国の人との交流は、各国との良好な関係の礎となります。すべての人が個人の尊厳と人権を尊重し、差別や偏見なく暮らせる社会を目指したいと思います。今年は技能実習制度と特定技能制度の見直しについて本格的な検討が始まりました。私も官邸から関係大臣をバックアップしていきたいと考えています。JICAが長年の開発途上国での人材育成等を通じて築き上げたネットワークや、知見は素晴らしいものがあります。その知見を用いたJP‐MIRAIの相談・救済事業を通じて、多くの方々に「ビジネスと人権」への理解が深まっています。来年度の新たな活動によってさらにビジネスの変化が進むことを大いに期待しています。 内閣総理大臣補佐官(国際人権問題担当) 中谷元氏写真:JICAhttps://youtu.be/plrEY8Zfgdk(3)来賓挨拶 出入国在留管理庁長官 菊池浩氏我が国の出入国在留管理の現状については、在留外国人の数は一時期リーマンショックや東日本大震災の影響もあり減少した時期もありましたが、本年6月末には約296万人と過去最高となり、平成元年末に比べ約3倍に増加しています。在留資格別にみると多い順に、永住者、技能実習、技術・人文知識・国際業務となっています。このほか、平成31年に創設された特定技能制度については、昨年末は5万人にとどまっていましたが、本年9月末時点では約11万人となり、着実に受入れが進んでいます。技能実習制度、特定技能制度の見直しについて、両制度は法律による検討の時期に差し掛かっていることから、先月、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の開催が決定されました。第一回会議は年内に開催し、その後来年秋ごろまで議論いただく予定になっています。外国人との共生社会の実現に向けた取組みについては、「外国人との共生社会の実現のための有識者会議」で取りまとめられた意見書において、SDGsの理念もふまえ、目指すべき外国人との共生社会の3つのビジョンを示していただきました。これを踏まえ、本年6月、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップを作成しました。このロードマップでは我が国が目指すべき共生社会のビジョン、その実現のために令和8年度までに取り組むべき中長期的な課題、具体的施策を示しており、出入国在留管理庁としても、関係省庁と共に外国人との共生社会の実現に向けた取り組みを着実に進めています。外国人受入れに関しては様々な課題がありますが、関係者と適切に連携して役割を果たしていきたいと考えています。 出入国在留管理庁長官 菊池浩氏 写真:JICAhttps://youtu.be/7t2CJaF8o6g(4)外国人労働者ビデオメッセージ日本で働く外国人労働者の3名の方より、日本に来て困ったこと、日本で働いてよかったと思うこと、受入企業へのメッセージなどについて語っていただき、ビデオメッセージ形式で紹介されました。(5)パネルディスカッション セッション1 「ビジネスと人権」とJP-MIRAIの役割様々な企業のパネリストにより、「ビジネスと人権」の視点から、外国人労働者の人権保護の取り組みの報告と、JP-MIRAIへの期待について議論をして頂きました。■株式会社SUBARU 調達本部 調達統括部 根岸伸行氏SUBARUグローバルサステナビリティ方針には「人権尊重」をキーワードとして入れています。また、ありたい姿を「笑顔をつくる会社」と定め、自社に関係するすべてのステークホルダーの笑顔をつくることを目指しています。人権方針は「法令・規範の遵守」「人権デュー・ディリジェンスの実施」を二本柱とし、重点課題を付属書に纏め、サプライチェーンへの働きかけも行っています。調達部門では①人権尊重責任に関するコミットメント表明、②負の影響特定評価、③負の影響停止軽減、④追跡調査、⑤情報公開、⑥是正措置の順で人権デュー・ディリジェンスに取り組んでいます。救済メカニズムに関して、既存の自社の相談窓口に加え、今回JP-MIRAIの相談救済パイロット事業へ参加しました。マルチステークホルダーの相互協力により、公正で有効な課題解決ができることと、アプリや多言語対応など、個社では構築が難しいインフラを協力して構築できることに期待しています。■一般社団法人 大阪外食産業協会 副会長 井上泰弘氏大阪外食産業協会では外国人労働者・技能実習制度に関する活動の重点課題として、「2つの認証、1つの認定制度の運用」「特定技能2号、技能実習制度の導入に関する関係省庁への働きかけ」「適正かつ健全な外国人雇用に繋がる啓蒙活動」を掲げています。外国人材適正雇用推進認証制度も作成し、受入企業、人材紹介会社、外国人材のスキルに対し実態調査を行いながら認証を行っています。より精度の高い認証制度に改善していくことや、業界毎の課題を把握し、外国人労働者と日本企業の双方にとってベストな人権課題解決の方法を探ることをJP-MIRAIで行っていきたいです。■日本マクドナルド株式会社 取締役 執行役員 サステナビリティ&ESG/渉外/総務担当 宮下建治氏「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」をパーパスとして掲げています。人権尊重や強制労働の排除は、自社のバリューズの「Serve」「Inclusion」「Integrity」に関わると考えます。我が社のサプライヤーの皆様には、まずサプライヤー行動規範に合意していただき、行動規範をポリシーとして落とし込んだサプライヤー職場環境管理プログラム(SWA)を使って年一回監査を行っています。SWAの課題は主に二つあり、技能実習生の採用関連費の自己負担と、職場環境です。より包括的な職場環境を提供することが、より良い企業文化をつくり、会社の信用、そして人的資本の強化につながると考えています。―サプライチェーン管理について、企業内で理解があってもサプライヤーの理解が得られないという声もあります。現場での苦労や取り組みはどのようなものがありますか。根岸氏 人権方針→人権デュー・ディリジェンス→救済の順に人権の取り組みを進めています。サプライヤー向けの説明会を定期的に行っていますが、理解いただけないこともあります。その際、理解を促すためのポイントは三つあると考えており、一つ目はメリットの訴求、二つ目はデメリットと感じられていることの払拭、三つ目は対等で密なコミュニケーションを行うことです。それらを行うことにより、理解していただけるサプライヤーが増えてきたと感じています。―サプライヤーにとってのメリットは何でしょうか。根岸氏 サプライヤー説明会では労働者・SUBARU・サプライヤーの三者にとってのメリット・デメリットを説明しています。サプライヤーにとって、労働者が元気になれば労働生産性があがるほか、労働者間での会社に対する評判の向上につながることがメリットであると説明しています。宮下氏 監査の説明会の際に併せて啓発活動をしています。SWAを実施している取引先では理解が進んできたと感じていますが、取引を始めたばかりのサプライヤー様にご理解いただくことに苦労しています。また、グローバル水準で監査をできる人材が不足しており、人材育成も課題だと感じています。―訪日前の手数料に関して、発見した際の是正はどのように対応されていますか。また、サプライヤーとブランドホルダーにおける労働者のコストの配分に関して、どのように考えていますか。宮下氏 人権尊重の志を持つ企業と、コンプライアンス意識の高い監理団体や送り出し機関との良いマッチングができているところもあれば、できていないところもあると感じています。斡旋料の領収書が無い、あったとしても領収書として内容が不足しているなどの課題が多くケースバイケースで話し合いを行っています。コスト負担に関しては、サプライヤー、フランチャイジー、マクドナルドの三本足で相互に信頼しながらリスクを共有しています。―認証制度について、最近は自治体で取り組まれるケースが多く立ち上がってきました。業界団体からの立ち上げは初めてと伺いましたが、制度立ち上げまでにどれくらいの期間を要しましたか。また、企業に理解いただくためのポイントはどこにありましたでしょうか。井上氏 最初は、外国人雇用に関してのプロジェクトを3人で立ち上げて、その後、認証制度を始めました。個人で技能実習生の国に赴き、話を聞き、一緒に寝泊まりすることを行っていました。国内外で外国人労働者や留学生の声を直接聞き、本当に困っていることは何で、それを解決するにはどうしたらよいかを考えながら活動しています。大阪外食産業協会の会員には大手企業もいらっしゃいますが、外国人のことになると耳を傾けてくれなかったことがありました。その際企業訪問をし、それがなぜかを探ったところ、触れていただきたくないという空気感がありました。自分たちができることは何かを考え、行政書士や日本語学校、監理団体、送り出し機関、外国人を集めて意見を聞き、企業の矛盾を突き止めることで改善に結びつくと考えています。―大阪外食産業協会の認証制度ではすでに10社が認証を取得されたとのことですが、今後はどのように進められるでしょうか。井上氏 外国人労働者を雇用していても入管法を知らない方が多いと感じています。昨今の社会情勢から外国人の入国者数が増えることが予想され、また外国人労働者に関するトラブルが増えている中、現在は大阪外食産業協会へ多くの問い合わせをいただいています。―外食産業以外にもこの認証制度の流れは広がっていくと考えられますか。井上氏 全国に広げないといけないと思います。JP-MIRAIは意見をぶつけ合い議論をしていく場であると思っています。各ステークホルダーの考えや意見を本音で話すことができれば、色々な場所で良い方向に動いていくと考えています。―JP-MIRAIの来年度の活動についてご意見をいただきたいと思います。現在パイロット事業として取り組んでいるJP-MIRAIアシストに加え、外国人セルフチェックシートや認証制度を検討していますが、特に協働という面でコメントをいただきたく思います。井上氏 JP-MIRAIには、各ステークホルダーが意見を述べ合い、議論ができる場となることを期待しています。宮下氏 JP-MIRAIアシストの相談・救済窓口には技能実習生からどのような意見が集まり、どのような環境であるのかを理解する機会があると良いと思っています。また、企業、監理団体、送り出し機関の先進事例の共有も需要があると考えます。そして、関係省庁・団体と情報共有しながら進めていくことが大切なので、JP-MIRAIにはそのコミュニケーションのハブになってほしいと期待しています。根岸氏 自動車一台当たり三万点の部品があり、一つ一つのサプライヤーを追うことに非常に苦労しています。労働者の生の声を聞きたくてJP-MIRAIアシストに参加した、という経緯があります。このような事業はマルチステークホルダーの協力なしには取り組むことが難しいため、引き続きJP-MIRAIアシストを継続していただきたいと考えています。―最後に、JP-MIRAIに期待することや、協働という点でコメントをいただきたいと思います。根岸氏 「外国人労働者の権利を尊重することで選ばれる日本になること」というJP-MIRAIの目標は崇高であり、一社では到底思いつかないものだと感じます。自社もその目標に感銘し会員入会をしましたので、今後もJP-MIRAIの活動に参加、協力していきたいと思います。宮下氏 外国人労働者を安い労働者として雇用するのではなく、人財として愛情をこめて育成することで、会社のインクルーシブな組織づくりや、やりがいを感じる環境、そして人的資本強化やブランドトラストの評価につながり、企業価値向上に寄与するという循環を、経営陣に対する勉強会やメッセージとして伝えることも、JP-MIRAIに期待しています。井上氏 私は、外国人の現場を自分の目で見て、直接声を聞くことに徹してきました。日本では、外国人労働者を単に労働力として見るのではでなく、彼らが母国に帰国した際にどのように活躍するかが見えているでしょうか。今は在留資格を作ってほしいと活動しています。私は技能実習制度自体が悪いものではないと考えています。本当に外国人が日本にとって必要なのか、まだまだ日本は環境が整っておらず、トップとボトムの意識のギャップが現実としてあると思います。JP-MIRAIは率直な議論をぶつけられる、戦う団体であってほしいです。 株式会社SUBARU 調達本部 調達統括部 根岸伸行氏 資料はこちら 写真:JICA 一般社団法人 大阪外食産業協会 副会長井上泰弘氏 資料はこちら 写真:JICA 日本マクドナルド株式会社 取締役 執行役員 サステナビリティ&ESG/渉外/総務担当 宮下建治氏 資料はこちら 写真:JICAhttps://youtu.be/O1pm8e601pI(6)パネルディスカッション セッション2 多文化共生で取り組むべきことモデレーターに日本国際交流センター 執行理事 毛受敏浩氏をお迎えし、さまざまな立場のパネリストにより、どのように各セクターが連携して多文化共生を考えるかを議論いただきました。■公益財団法人 佐賀県国際交流協会 理事長 黒岩春地氏佐賀県国際交流協会は30年前に外向きの国際交流と内向きの国際理解の二本柱でスタートしましたが、現在は「内なる国際化」として、7000人を超える佐賀県内の外国人の方々との地域づくりとサポートを主な活動としています。具体的には、外国人相談窓口、災害多言語支援センター、コロナワクチン接種サポート、ウクライナ避難民受け入れをしています。また、サッカーを通じて積極的な国際交流を図ることを目的とし、サガン鳥栖や佐賀県庁、JICA九州と連携し、サッカー大会を行いました。■NPO法人トゥマンハティふくおか 代表理事 弥栄睦子氏トゥマンハティふくおかでは、職業性ストレス簡易調査票(57項目)の多言語化事業や、福岡市での「ムスリムの人も気軽に訪れ、ともに暮らせる街づくりに向けた研究」発表、JICA海外協力隊まつり in FUKUOKA 2022への参加、多文化共生ワークショップの開催などを行ってきました。今年度は、職業性ストレス簡易調査票のバージョンアップと、実施代行できる仕組みづくり、国を超えたメンタルヘルスのフォロー体制整備に取り組んでいます。■エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン 初代理事長 ブパール・マン・シュレスタ氏幼稚園から高校三年生までを対象に英語で教育を行う学校「エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン」を設立し、現在は東京都多文化共生推進委員会委員をつとめ、多文化共生とネパールについての講演活動、在日ネパール人コミュニティの諸活動を通じて、外国人当事者として現場の声を発信しています。多文化共生において最も重要なのが交流であると考えており、地域や学校での交流機会を創出し、また積極的に参加することで、さらなる相互理解を促進していきたいと思っています。―ネパールから見て、日本での暮らし、仕事面をどのよう捉えていますか。近年ネパール人の来日人数が増えている中で、どのように感じていますか。シュレスタ氏 現在日本に在住するネパール人は12万5千人を超えています。彼らにとっては特に日本語の壁が大きいと感じます。来日前に日本の情報を把握しておらず、来日後に不明点が多くトラブルが起きることがありますが、その際はネパール人コミュニティやSNSで問い合わせることがスタンダードのようです。―来日するネパール人の中には、ネパールの農村部から日本の東京都心に住む方も多いと聞きます。その際にオリエンテーションをするべきではないかと以前お話されていましたが、そのあたりはいかがでしょうか。シュレスタ氏 右も左もわからない状態で来日するネパール人もいます。日本での生活に関するオリエンテーションは企業内で行われるところもあれば、ない企業も多いです。自治体にはチラシ等がおいてあるケースが多いかと思いますが、基本的な生活の情報に関するオリエンテーションがあるとより良いと思います。―福岡県ではいかがでしょうか。福岡県での在留外国人の暮らしについてどのようにお考えでしょうか。弥栄氏 福岡市内は大学や日本語学校の留学生が多く、労働者は少ないです。学生の生活は学校に守られていると感じます。多くの技能実習生は福岡市内ではなく、福岡県内の工場で働いています。ー外国人労働者に対する職業性ストレス簡易調査票の多言語化に関して、何かきっかけがあったのでしょうか。弥栄氏 EPAの制度を利用して来日している外国人労働者たちと知り合った際、仕事と資格取得のための試験勉強とのバランスで悩んでおり、だんだん元気がなくなっていく様子を見ました。雇用関係もあり人間関係を悪くしたくないという思いから職場に相談はできなかったようです。当NPOはインドネシアの文化を知っているという前提があり、インドネシア人にとって心の垣根がなく本音が言いやすいのです。そのため、自分たちの団体に本音を漏らしてくるという流れとなっています。そこでストレス簡易調査表の結果が客観的なデータとなり企業に改善を提案とできるのではないかと思い至ったのです。―佐賀県ではいかがでしょうか。黒岩氏 外部や行政には言えないようなことを相談に来られる外国人が多くいらっしゃいます。地元に留学し、地元が好きになり、地元で仕事をしたいという想いを持つ外国人がいて、かつ雇用したいという地元企業があるのにも関わらず、留学資格から就労資格へ変更できず、帰国するケースが多く、非常に残念です。少しずつ変わっていけたらと期待しています。―外国人は日本語の壁はどのように超えていけると思いますか。また、日本社会が歩み寄るべきだと思われますか。外国人の努力をどのように企業はサポートできるでしょうか。シュレスタ氏 日本で生活するうえでは勿論生活レベルまでの日本語を勉強しなければいけないと思いますが、日本もグローバル化に向けて多言語化する努力をする必要があると思います。仕事の能力があっても日本語ができずに仕事ができないということもあります。IT人材にも日本語能力試験レベルのN2を求める企業が多いですが、それは本当に必要でしょうか。また、日本語ができないことでライフラインを整備できないことはハードルが高いと感じます。弥栄氏 福岡県はまだグローバル化が進んでいないことから、日本語の能力が必須で、これに加えて専門分野とコミュニケーション能力が必要になるわけですから、日本で就職するのはたいへんです。しかし、日本で成功を収めていくチャンスは誰でもあるので、日本語の習得をしっかりすること、そしてその努力は報われるということを外国人に伝えていく必要があります。黒岩氏 地方で働く場合は日本語がマストであり、最低でもN2がないと話にならないというのが現実です。大学では英語で授業を受けられるため日本語はそこまでできなくても良い環境であったのに、就職時に日本語が必須条件で困るといったケースも多いです。働きながら日本語を学べるシステムや、英語で働くことができる企業があっても良いと思います。―最後に、多文化共生の側面からJP-MIRAIに何を期待しますか。黒岩氏 JP-MIRAIにはぜひ現場のことを知ってもらいたいです。例えば、在日外国人が運転免許の切り替えに大変な苦労をしていることは、各地方で大きな問題となっています。現場で何が起きているかを把握し、可能であれば、国へ要望や提案をする組織であってほしいです。弥栄氏 監理団体や特定技能登録支援機関の考え方、企業のそれぞれの取り組み姿勢に差が激しすぎると感じます。社会保険労務士と契約している企業を優先して外国人労働者を受入れる仕組みを作ったり、必ず外国人労働者にはストレスチェックを義務化したり、メンタルヘルスを専門にした専門家を置くなど、夢を持って来日した外国人労働者を受入れ、育てるためのシステムづくりをしていただきたいですし、JP-MIRAIにも切り込んでいって取り組みを進めてほしいです。シュレスタ氏 JP-MIRAIが掲げている様々な目標達成のために頑張っていただきたいです。また、JP-MIRAIアシストの中の言語にぜひネパール語を入れていただきたく、何か協力できることがあればさせていただきたいです。現場の実態調査を行い、ポリシーをプラクティスに変えていただく段階だと思います。外国人は労働力だけではなく定住する住民であることを認識し、各ステークホルダーがどのように協力していけるかを考えながら事業を進めていただきたいです。 モデレーター 日本国際交流センター 執行理事 毛受敏浩氏 写真:JICA 公益財団法人 佐賀県国際交流協会 理事長 黒岩春地氏 資料はこちら 写真:JICA NPO法人トゥマンハティふくおか 代表理事 弥栄睦子氏 資料はこちら エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン 初代理事長 ブパール・マン・シュレスタ氏 資料はこちら 写真:JICAhttps://youtu.be/8wPSL-fwEEo(7)閉会挨拶 一般社団法人 JP-MIRAIサービス 代表理事 矢吹公敏JP-MIRAIは設立以来多くの皆様の協力により、外国人労働者に関する課題解決のためのプラットフォームとして発展してまいりました。今年度はJP-MIRAIポータルや外国人労働者の相談窓口、救済パイロット事業(JP-MIRAIアシスト)、JP-MIRAIフレンズといった具体的なプロジェクトが立ち上がりました。また、多くの研究会やセミナーを開催することができました。皆様の日頃のご協力に感謝申し上げます。国連のビジネスと人権に関する指導原則が脚光を浴び、企業でも人権デュー・ディリジェンスの実施が求められています。同指導原則では、各国に国家基盤型の非司法的苦情処理メカニズムの構築を求めています。その役割を担うことがJP-MIRAIに求められていると考えます。他方で、日本では少子高齢化が加速する中、我が国が「選ばれる日本」となることは重要であり、日本を目指す若者が、日本で人権侵害を受け、失意の帰国をするようなことはあってはならないと思います。来年は政府により技能実習制度や特定技能制度の見直しが行われると発表されており、国内だけでなく国際社会からも、日本がどのような制度を作り、外国人の責任ある受入れを行っていくのか注目を集めることになると思います。JP-MIRAIとしましても、来年はより多くのステークホルダーの方々にご参加いただき、様々な課題に取り組むとともに、内外への発信も強化していきたいと考えています。また、組織全体を一般社団法人化し、実施体制を整備・強化していく予定です。引き続き皆様のご協力とご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。https://youtu.be/HhmN0VD2iAo...

11月17日(木)午後4時~6時にて、JP-MIRAI 責任ある外国人労働者受入れのための研修会シリーズ「在留外国人支援の基礎講座 ‐北海道における外国人支援の発展と協働を目指して‐」を開催しました。北海道札幌市を中心に北海道内及び全国で外国人支援に係わる方・関心のある方、計66名(JICA北海道(札幌)会場11名、オンライン参加55名)にご参加いただきました。今回の研修会は、外国人労働者や外国人住民が散住する傾向がある北海道地域において、外国人受入れのための地域コミュニティの在り方を考える機会として実施しました。なお、本研修会は北海道庁の後援を頂き、開催しました。 第一部 外国人の受入れと「ビジネスと人権」 ・多文化共生社会の実現に向けた取組の方向性 北海道 総合政策部 国際局国際課 多文化共生担当課長 池田和明様より、北海道の多文化共生推進の取組みと課題、今後の方向性についてご講演頂きました。特に、今後の取組みとして、日本語教育体制整備や地域連携の促進、より細やかな相談体制づくりにより、北海道内で広域に散住する外国人住民の方々が安心して働き暮らせる環境の実現を目指すことが示されました。参加者の方からは、行政の目指す方向性が明快にわかり、参考になったとの声がありました。 ≪資料のダウンロードはこちら≫ ・JP-MIRAI相談センター概要 JP-MIRAI共同事務局から、JICAの多文化共生の取組みや、外国人労働者の受入れに関する調査結果(リンク)の内容についてご紹介した後、JP-MIRAI事業、特に外国人の方のための相談・救済窓口についてご説明しました。 ≪資料のダウンロードはこちら≫ 第二部 在住外国人支援の視点から考える「やさしい日本語」 非営利活動法人国際活動市民中心コーディネーター(出入国在留管理庁「話し言葉のやさしい日本語の活用促進に関する会議」委員)新居みどり様から、外国人相談事業の経験から見えてくる「やさしい日本語」の意義についてご講演頂きました。 冒頭、外国人への日本語教育の必要性とあわせて、日本人側も「やさしい日本語」を使うことによって、コミュニケーションが容易になる可能性があることをお話頂きました。そのうえで、「やさしい日本語」の役割や、日本語教育、他の通訳サービスとの関係性、「やさしい日本語」を実践する際のポイントについて解説をして頂きました。 ≪資料のダウンロードはこちら≫ 第三部 事例検討ワークショップ&外国人の基礎知識 このセッションでは、引き続き新居様のファシリテーションのもと、事例検討のワークショップを行いました。会場及びオンライン共に5名程度のグループに分かれて、各事例への対応方法や姿勢について参加者が意見を交わしました。 今回のワークショップでは、外国人住民にコミュニティのルールを伝える方法をテーマとした事例を扱いました。外国人受入の制度面からのご意見もあれば、まずは話をしてみること、特に必ずしも外国人住民の母国語が分からなくても、「やさしい日本語」によってコミュニケーションが取れるのではないか、といったご意見もありました。 最後に 本研修会は、「やさしい日本語」を通じて、職場や地域などの近しい距離にいる外国人の方とのコミュニケーションや、支援の方法について考えを深めて頂くことを狙いとしました。研修会を通じて、北海道の取組みや「やさしい日本語」を主題として扱い、更に参加者間で対話して頂くプログラムとすることで、参加者の皆様にも意見交換に積極的に参加頂き、理解と実践が組み合わさった研修会となりました。今後、北海道地域における外国人受入れの更なる活性化を目指して、JP-MIRAIも地域の皆様と共に引き続き活動していきます。...

外国人労働者をめぐる課題については、大きく分類すると、国の制度や法律を背景として起こっている課題と、雇用主や関係者の意識と理解不足により起こっている課題があります。前者は法制化・罰則など制度の見直しにより、ある程度解決されうる面もありますが、後者については、企業など外国人労働者を受け入れる側でも意識を高めていく必要があります。こうした背景のもと、JP-MIRAI(責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム)は、10月13日(木)に公開研究会「受入企業・団体等の認証について考える」シリーズの第2回「グローバルスタンダードを目指すためには」をオンラインにて開催しました。当日はJP-MIRAI会員を含む102名の方にご参加いただき、グローバルスタンダードやそれに基づく認証等を学び、JP-MIRAIとして目指すべき姿や方向性を検討致しました。セミナーの冒頭では事務局より「企業に求められるグローバルスタンダード」と題して「日本の法令」「日本政府による方針・ガイドライン」「条約・二国間協定」「送出国の法令」「欧米の法令」「グローバルスタンダード(国際基準)」等の全体像やそのかかわりに関して説明しました。また、いずれの基準もビジネスと人権指導に関する指導原則に沿って取り組みを行うという点で、目指すべき方向性は一致している旨お伝えしました。続いて、3名のゲストを迎え、「認証」や「サステナビリティ評価」に関してご講演を頂きました。①RBA基準について一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)代表理事 和田 征樹様RBA(Responsible Business Alliance:レスポンシブル・ビジネス・アライアンス)とは、電気電子機器(エレクトロニクス)産業またはそれらが主な部品である産業およびそのサプライチェーンにおいて、労働環境が安全であること、労働者が敬意と尊厳を持って処遇されること、さらにその事業活動が環境に対し責任を持ち倫理的に行われることを確実にするための基準をそもそもは規定したものです。和田様からは、まず最初に、RBA認証などは法令遵守が基本であり、そのレベルによりBTL企業(Below The Line:基準以下)、OTL企業(On The Line:基準合致)ATL企業(Above The Line:基準以上)の3つに分けられていること、国際基準やRBA認証では企業に対し、ATL企業を目指すことを強く推奨されていることが紹介されました。次に、RBA認証を受ける企業は共通の行動規範に責任を負い、様々なトレーニングと評価ツールを利用して、サプライチェーンの社会的、環境的、倫理的責任の継続的な改善をサポートする評価監査をしていること、また、そのミッションは、「グローバルサプライチェーン全体で労働者、環境、ビジネスに持続可能な価値をもたらす」こと、更にはその使命は「メンバー、サプライヤー、および利害関係者は、主要な基準と慣行を通じて、労働条件と環境条件およびビジネスパフォーマンスを改善するために協力する」ことである、とご紹介されました。RBAの行動規範、基準は国際的に認知された基準を利用することとされており、RBA規範と現地法の間で基準が異なる場合は、最も厳しい要求事項を満たすことと定められているとのお話がございました。また、行動規範とは別にVAP(=運用マニュアル)があり、より具体的な内容が記載されているとのことでした。例えば「雇用の自由選択」という項目があり、年季契約労働、非自主的な囚人労働、また国際的によく言われる奴隷制度や人身売買による労働力を用いてはならない、という基準があり、この部分が外国人技能実習生のところでは関わってくるとの認識をお持ちだと話されました。また、基準認証については「作る際にどこを目指すのかを明確にしておくこと」及び「基準の信頼性・国際的な認知に対する担保をすること」が基本であるとのお話を頂き、JP-MIRAIが目指す「選ばれる日本」になるためには日本基準だけではなく、国際基準で考える必要があるのではないかという貴重なアドバイスを頂きました。加えて、現場では基準認証を適切に実施するうえで、認証を行う人材が不足していることも懸念点としてあげられ、人材育成の重要性に関してもお話がございました。そして最後に、基準認証を取得することで企業が安堵感を持ち、より上を目指す活動の歩みが止まることが無いように、継続的な取組ができるような認証の仕組みを期待する、とのお話を頂きました。②B Corp認証について株式会社バリューブックス 取締役 いい会社探求 鳥居 希様鳥居様からは「B Corp認証を取得しようとしている企業」として、そして「B Corpハンドブックを監訳し出版した企業」としての2つのお立場からご講演を頂きました。まずB Corp認証に関してご紹介を頂きました。B Corporation™️(以下、B Corp)のBはBenefit for allという意味で、B Corpが目指すのは「グローバルエコノミーを全ての人、コミュニティ、地球に恩恵をもたらすものに変革していく」ことである、とご説明を頂きました。また、B Corpに参加する企業が皆で「相互依存宣言」を行い、認証を受ける時には同宣言に署名する必要があるとのことでした。また、現在5つの領域に関してアセスメントが行われており、その結果が200点中80点以上となり、審査・面談を経て認証が可能とのお話がございました。具体的なアセスメントとして、「ワーカーの機会の平等性・公平性」「経営者層のマイノリティ割合」「環境を修復するようなビジネスモデルであるか」等が含まれている旨ご紹介頂きました。B Corpハンドブックには「完璧を目指すな」とも記載があるとお話頂きつつ、今まさに認証取得にチャレンジされているからこその貴重なアドバイスを頂きました。また、3年に一度、再認証のプロセスがあり、継続的な改善が非常に重要視されていることもご共有頂きました。➂Ecovadisの評価基準についてエコバディス・ジャパン株式会社 代表取締役 若月 上様若月様よりはじめにエコバディス社はサプライヤーから調達を行う最終ブランドホルダーの評価機関として、「最終ブランドホルダーの責任」という考え方を前提にアセスメントを行っているとご説明を頂きました。アセスメントを実施するうえで、CSR調達基準、サプライヤーの行動原則を整備していることは前提であり、それだけではなく遵守している、そして遵守されているか否かのアセスメントを行い、遵守されていない場合には是正措置を講じるという一連の流れが重要であるとのお話を頂きました。また、調達管理においては、QCDを重要視しすぎるばかりに、今日問題となっている人権問題や環境問題を誘発している面があると警鐘をならされ、QCDにサステナブルを加えて「サステナブル調達管理」として管理することも支援しているとのことでした。裾野が広く、情報公開義務が無いサプライチェーン管理を適切に行うことは、結果として機関投資家からの評価の向上やNGOリスク回避にもつながり、非財務的な取組が財務に直結し、株価にも直結するため、企業も取組をすすめざるを得ない状況だとお話を頂きました。また、評価を行う際、バイヤー(最終ブランドホルダー)から見た時の二次サプライヤーを一次サプライヤーが管理出来ているか、という点に注目されているとのことです。間接的にでも二次サプライヤーを一次サプライヤーが管理出来ていれば、二次サプライヤーも問題ない、という考えに基づいて実施しているとのことでした。このような具体的なアセスメントのプロセスとしては、一次サプライヤーに質問表を送付し、証明書類を求め、それに基づいて第三者機関のアナリストとして分析評価を行い、スコアカードで評価する流れとなっており、そのスコアで100点満点中45点を下回ると、リスクありとして是正を求めるとのことでした。パネルディスカッション・質疑応答〇一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)理事 和田 征樹様〇株式会社バリューブックス 取締役 いい会社探求 鳥居 希様〇エコバディス・ジャパン株式会社 代表取締役 若月 上様〇モデレーター JP-MIRAI事務局 宍戸 健一1つ目の議題として企業が「社会貢献」や「人権保護」に取組む動機について、その要因が企業価値向上にあるのか、もしくは取引先企業との関係性にあるのかについて意見交換を行いました。参加者からは「企業価値の向上」のために取組まれているとの共通の見解が示されました。具体的な意見として、その手段の1つである認証取得に取組むことは、「自分たちがよりよい会社になるための指針にすることができる」「先駆的なグローバルコミュニティの一員になれる」「地方の中小企業でも、大企業と同じ基準で話ができる」といったメリットがある、との意見が聞かれました。2つ目の議題として、「評価」「認証」の費用はバイヤー側が支払っているのか、サプライヤーが支払っているか、について意見交換がされました。これに関してはケースバイケースであるとのご回答を頂きました。但し、実施にあたってはバイヤーとサプライヤーとのエンゲージメントが非常に重要であり、バイヤーがサプライヤーに対して説明会等を実施し、目的やメリット等を丁寧に説明を行うことが大切であるとのお話を頂きました。3つ目の議題として、「認証」「評価」においては類似の仕組みが多数ある中で、どのように選択していくのか、について意見交換がされ、「自社の状況を把握し、必要なところを多くカバーしているものを選択してはどうか。」「産業別に日本以外の基準に関しても参照してはどうか。」「自社としてサプライヤーに何を遵守してもらいたいのかで選択してはどうか。但し、推進にあたってはマネージメントの意識が非常に重要である。」等の意見が聞かれました。今回の皆様からの報告やご意見を通じて、自社の状況にあわせて、「評価」や「認証」を適切に活用しつつ、グローバルスタンダードを目指すためには人権への意識の向上と、バイヤーとサプライヤーが一体となった取り組みを継続していくことが非常に重要であるということが理解できました。参加者からのアンケートでは「今回のように、一斉に一つの業界の方のお話を聞ける機会はあまりないので、もっと頻繁に開催していただきたいと思いました。とても有意義な時間で、多くを学ぶことができました。」「立場の異なる四者のディスカッションで、サステナビリティ、とりわけ人権についての関係領域の広さを理解しました。」「人権対応については、最終的には第三者認証が必要であり、そういう意味で今回のセミナーは有意義だったと思う。一方で、第三者認証に至る前の自己認証に関する情報提供も欲しい。」という声もお寄せ頂きました。JP-MIRAIでは、認証制度に関して様々な観点から更なる議論が必要と認識しており、引き続き、研究会などを通じて議論を深めていきたいと思います。第2回「受入企業・団体等の認証について考える」公開研究会にご参加くださいました皆様、ありがとうございました。本研究会の全講師より資料公開のご了承をいただきましたので、公開いたします。※資料の無断転載はお控え下さい。https://youtu.be/mehUG3L7E6M開会・前回の振返り JP-MIRAI事務局 宍戸健一https://youtu.be/Qq6jv02pads企業に求められるグローバルスタンダード JP-MIRAI事務局 秋山映美 資料はこちらhttps://youtu.be/jzsPM5IBwoIRBA基準について 一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)代表理事 和田征樹様 資料はこちらhttps://youtu.be/KKaNHuZ_FFQB Corp認証について 株式会社バリューブックス 取締役 いい会社探求 鳥居希様 資料はこちらhttps://youtu.be/LdFN3FW0uPQEcovadisの評価基準について エコバディス・ジャパン株式会社 代表取締役 若月上様 資料はこちらhttps://youtu.be/hz9zfu5q_5wパネルディスカッション...