活動レポート

「地方における外国人労働者の移動と定着要因  ~ワークエンゲージメント低下と対応を考える」セミナーを実施しました 
活動レポート

2025年11月20日、「地方における外国人労働者の移動と定着要因 ~ワークエンゲージメント低下と対応を考える」セミナーを開催しました。 

国内の人口減少が進む中、地方の重要な担い手である外国人労働者が安心して働き、生活し続けられる環境づくりが重要性を増しています。本セミナーでは、立命館大学の万城目正雄教授、武蔵大学の神林龍教授をお招きし、外国人労働者の定着を左右する要因をデータに基づいて考察しました。 

「都市と地方における外国人労働者の生活・仕事の満足度について」 
万城目教授

万城目教授からは、技能実習生・特定技能者約1,600名を対象に行った調査結果が紹介されました。生活の満足度は84.2%、仕事の満足度は82.1%と、日本人の平均(生活55.3%、仕事54.1%)を大きく上回る水準であり、外国人労働者の多くが一定の充実感をもって働いていることが明らかになりました。 

一方で、在留期間の長さよりも「日本語能力」の高さが満足度を左右することが示され、日本語教育やコミュニケーション支援が定着の重要な鍵であると指摘しました。また、「給与」と同等またはそれ以上に「仕事内容への関心」「能力の発揮機会」「上司からの適切な指導」などが仕事の満足感に強く結びついていることが調査で明らかになりました。 

さらに、都市と地方の比較では、特定技能者において「地方の方が生活利便性・給与満足度ともに高い」という傾向が見られ、地域社会による生活支援や交流機会が定着促進に寄与している可能性が示されました。最後に、「コミュニケーション」「人事管理」「生活支援」の3点が、企業と地域が協働して取り組むべき柱として強調されました。  

「日本の外国人労働者 ~ワークエンゲージメントは高い しかし低下する 
神林教授

続いて、神林教授から、外国人労働者のワークエンゲージメント(仕事への熱意・活力・集中度)に関する調査結果が報告されました。複数の先行研究により、日本人のワークエンゲージメントは世界的に低いと言われる一方、神林教授らの研究によれば、来日時の技能実習生・特定技能者は諸外国並みに高く、外国人労働者が高い意欲を持って就労していると言えることが明らかになりました。 

しかし、同一個人を追跡した結果では、在留期間が長くなるほどワークエンゲージメントが低下する傾向が確認され、4~5年の在留で日本人と同程度まで下がることが予測されています。その背景には、「仕事への興味の減退」や「指導的社員の不足」、「能力を発揮できる環境の欠如」といった職場環境の課題があり、これは日本人のワークエンゲージメントの低さにも通じる構造的な問題だと指摘がされました。 

一方で、日本語能力の向上がワークエンゲージメントの向上に寄与する傾向があり、語学学習を通じて成長を実感できる仕組みづくりや、職場内でのサポート体制の強化が重要であるとされました。技能実習制度に改善を要する点は確かにあるものの、個社が人事管理の問題に向き合い、労働条件の改善や職場環境の整備を継続的に行うことが欠かせないと締め括られました。 

JP-MIRAIでは、万城目教授、神林教授及び会員の皆様のご協力を頂き、地方での外国人労働者の人材定着に資する取り組みを展開していく予定です。  

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