メディアでも取り上げられている「多額の借金を抱え来日する技能実習生」の現状に対し、「外国人労働者から渡航前にリクルート関連費用を徴収しない」、 ILO181号「民間職業仲介事業所に関する条約」などで謳われているグローバルスタンダードの視点から、改善の必要性が指摘され続けています。
「VJ-FERI:ベトナム・日本間移住労働における公正で倫理的なリクルートイニシアティブ」は、日越間でのグローバルスタンダードの実現に向けた、ベトナム側送出機関、日本側の受入機関や雇用者(監理団体、登録支援機関、企業など)参加による自発的な取り組みです。2023年7月のベトナム政府関係機関、ベトナム労働者派遣協会(VAMAS)、国際協力機構(JICA)、国際労働機関(ILO)、JP-MIRAIの合意以降、今年10月以降早期の制度運用(VJ-FERIに基づく求人の開始)に向け、準備を進めています。
6月20日、ILO、VAMAS、JICA、JP-MIRAIがハノイのUNハウスにて共同開催したVJ-FERIオープンフォーラムには、オンラインを含め約90名が参加しました(会場参加:主にベトナム側送出機関から約30名、オンライン参加:主に遠方のベトナム側送出機関、日本側監理団体や企業から約60名)。
本フォーラムでは、JP-MIRAI理事宍戸が、下記に挙げたVJ-FERIの要点と参加のメリット、参加団体・企業・労働者のためのガイドライン案や実施要領案について説明を行いました。
●「求人票単位」でガイドラインに基づいて倫理的達成度を確認・認定●「求人票単位」でQRコードを付与、紐づけることで、求人/労働者ごとに関与した送出機関・受入機関・雇用企業のトラッキングが容易に●「費用面」だけではなく、来日前から来日後まで、労働者を守るためのモニタリングや相談・救済機能がある(既存の「JP-MIRAIアシスト」の活用)●参加登録や求人実績を公開し、優良な送出機関、受入機関、雇用企業が選ばれていく環境を整える
また、VJ-FERIの実効性を後押しする効果も期待されている、JICA技術協力による「海外就労希望者が直接求人情報へアクセス・応募できるようにすることで、ブローカーの介在を減らす」ことを目指す、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働局(MOLISA/DOLAB)との「ベトナム人海外就労希望者の求人情報へのアクセス支援プロジェクト」について同プロジェクト担当の柴田チーフアドバイザーから、説明が行われました。
後半のパネルディスカッションでは、ILO アジア太平洋地域事務所シニア専門家ニリム・バルア氏の進行のもと、下記パネリストからのVJ-FERIに対するコメントも交えながら、参加者との質疑応答を行いました。
●VAMAS副会長 グエン・ゴック・クイン氏●エスハイ代表取締役 レ・ロン・ソン氏●Responsible Business Alliance(RBA) 労働プログラムデレクター カイ・ヤウ・チュア氏●キャムコムグループ取締役、JOE協同組合 代表理事 北沢智子氏●JP-MIRAI理事 宍戸 健一
主な発言は下記があり、VJ-FERI実施に向け、様々なステークホールダーから賛意とともに、「より多くの団体・企業の参加」による確かなインパクトを期待する声が寄せられました。
●「求人票」を通じて、訪日前の費用負担の主体が明確になる。●労働者に十分な情報が提供され、雇用者との情報格差が縮まる。●コロナ禍を機に、日本の受入れ側の意識も大きく変化し、これまで無関心だった訪日前高額手数料の発生背景に目を向けるようになった。VJ-FERIを通じ、来てよかった、と日本が選ばれていくことを期待。●VJ-FERIが目指す基準は国際水準に沿っており、費用面だけではなく、モニタリングや相談・救済メカニズムも含む優れた仕組み。●VJ-FERIは労働者の人権を守る、だけでなく、受入企業が国際標準に沿っていることを示す機会にもなる。多くの企業が参加し、公正で倫理的なリクルートへの取り組みが世界各地に広がることを期待。
今後は、参加者・関係者からの追加コメントを参考に、ガイドラインと実施要領を7月に完成、ベトナム側ではILOとVAMAS、日本側ではJP-MIRAIが中心となって、10月以降早期の制度運用を目指し、日越両政府及び民間の理解を得て、希望団体・企業への説明会、参加登録、登録者への研修などを進めていく予定です。
JP-MIRAIではFERI分科会を設置して、関心のある/参加を検討されておられる企業・団体の皆様と意見交換を行っております。この機会に、是非JP-MIRAIへの入会もご検討ください。
■参考資料– JP-MIRAI:VJ-FERI説明資料– 【参考】2024年6月20日版 VJ-FERI実施要領案・業務フロー案– 【参考】2024年6月17日版 移住労働者に関する公正で倫理的なリクルートガイドライン案– JICA:DOLAB-JICA「ベトナム人海外就労希望者の求人情報へのアクセス支援プロジェクト」説明資料
■お問合せJP-MIRAI事務局(企業協働担当)info@jp-mirai.or.jp
■参考リンク【JP-MIRAI「ビジネスと人権」における協働】– 倫理的なリクルート(FERI)– 実施報告:シンポジウム「訪日前手数料ゼロに向けたベトナムでの取り組み ~公正で倫理的なリクルートメントイニシアティブ(VJ-FERI)の実現に向けて」 (2023年9月22日)
活動報告