【実施報告】 「FERI拡大分科会~VJ-FERI開始に向けて~」【2024年10月29日】

2024年11月11日

グローバルスタンダードに基づき費用負担ゼロでの移住労働者の適正な受入れ実現のため、約2年の準備期間を経て、JP-MIRAIはベトナム労働者派遣協会(VAMAS)とともに、ベトナム政府、国際協力機構(JICA)、国際労働機関(ILO)の協力のもと、「ベトナムから日本への移住労働者に関する公正で倫理的なリクルート(VJ-FERI)」の運用を始める予定にしております(12月参加登録開始予定)。

今回の分科会では、本年620日にハノイで開催されたオープンフォーラムでのステークホールダーディスカッションを経て制度構築中のVJ-FERIの運用方法について、ご関心のある企業、斡旋機関(監理団体、登録支援機関、人材派遣会社など)の皆様に向け、JP-MIRAIより具体的な制度活用の流れや参加方法(登録要件や料金等)について説明いたしました。

10月29日、FERI拡大分科会には、オンラインのみでの開催で約70名 (主に日本側監理団体や企業及び関係機関)の参加がありました。

本分科会では、弁護士法人Global HR Strategy (GHRS)杉田弁護士からFERIのガイドライン策定の背景、国際労働移動に係る各ステイクホルダーの役割や機能、誰がどの費用を負担していくのかについての現状やFERIを導入することによる変化等について説明を行いました。

杉田弁護士による説明

その後、JP-MIRAI理事宍戸から、以下に挙げたFERIの概要、検討中のFERIのロゴ、現在までの進捗状況、他国への展開状況、取組事例、運用体制・料金、具体的な手続の流れ及び今後の予定について説明を行いました。

JP-MIRAI理事 宍戸による説明

l  FERIは自発的な枠組み(登録・認証)であり、制度構築や運用支援は、ILOJICAが中心に行い、RBA等関係機関からの助言を受けている。

l  FERIガイドラインのすべての項目に合致していると認定され、使用者が募集・斡旋料及び関連費用の全額負担する場合を『FERI基準』とし、FERIガイドラインの費用に関する以外の項目に合致し、募集・斡旋手数料及び関連費用の概ね50%以上を使用者が負担する場合を『準FERI基準』と認定。

l  FERIのすべてのプロセスで、モニタリング、第3者(事務局)への相談・苦情処理の仕組みを構築。

両者による説明のあと、参加者からのコメントや質疑応答があり主な発言は以下のとおりです。

l  費用負担を制度設計上決めるべきではないか。

→日本の制度では職業紹介事業者である監理団体は、労働者から費用をとれないこととは明確。送出国での送出しの役務については各国の方針に任せているところがあり、意見が分かれている。(杉田弁護士)

l  FERIでは、送出機関と移住労働者本人が契約した後(募集過程が開始)にかかる費用を日本側が負担することとしている。 (送出国での国内移動費は除く)(杉田弁護士)

l  日本国内での募集(技能実習→特定技能)もFERIの対象となるか。

→海外から日本への送出・受入を対象とし、国内募集は対象としていない。(杉田弁護士)

l  送出国で認証された送出機関と日本側で認証された監理団体をどのようにマッチングするのか。

→登録された機関をウェブサイトに掲載するか、登録した機関同士で情報共有するかは議論がある。どこが登録されているかお互い分かるようにしたい。(宍戸)

→移住労働者の手数料負担0の取組を実施している送出機関と監理団体・企業同士がFERIを活用することが多いと想定されるので、新たにマッチングを行う事例は少ないのではないか。送出機関が、直接受入企業へ職業紹介を行うことは日本の職安法上認められておらず、日本での職業紹介(技能実習、特定技能や他の在留資格含む)を行う際は、必ず日本の職業紹介の許可を有する職業紹介機関が介在する必要があることは注意が必要。(杉田弁護士)

l  相談窓口のアクセスは、SNSJP-MIRAIポータル含む)を中心に行うが、他の手段も活用して、ネットにつながれば連絡が取れる体制を構築する予定。(宍戸)

l  外国人雇用において、国籍、年齢、性別を記載した求人票を出すことはガイドライン違反となる。FERI審査では、法定事項プラスガイドラインに準拠した求人票を提出し、審査を得る必要がある。(杉田弁護士)

l  現時点で、「IJCプログラム」開始後16か月経過しているが、失踪者0が続いている。本人から最低限の教育費用を徴収しているが、今後できるだけ費用負担ゼロに持っていきたい。費用負担がないことで、本来の仕事を覚えることや日本語習得といった自己啓発に集中できることで、実習実施者への貢献にもつながっている。検討中の企業は、ぜひ取り組んで頂きたい。(キャムコムグループ)

l  FERIガイドラインに記載の『あるべき国際労働移動』の姿になることに賛成であるが、ブランドホルダーや2021年からのサプライチェーンのRBA基準遵守は大きなインパクトがあった。「ゼロルピープログラム」は、本人分を0にし、費用を雇用主負担分とするが、他の費用含め費用逓減に努めている。送出機関の適正化も必要と認識。(GMT協同組合)

 

今後は、ベトナム側ではILOVAMAS、日本側ではJP-MIRAIが中心となって、12月以降早期の制度運用を目指し、日越両政府及び民間の理解を得て、希望団体・企業への説明会、参加登録、登録者への研修などを進めていく予定です。

JP-MIRAIではFERI分科会を設置して、関心のある/参加を検討されておられる企業・団体の皆様と意見交換を行っております。この機会に、是非JP-MIRAIへの入会もご検討ください。

 

参考資料:

l  FERIガイドラインについて

l  JP-MIRAI説明資料

l  2024年7月31日版 移住労働者に関する公正で倫理的なリクルートガイドライン案

お問合せ:

JP-MIRAI事務局(企業協働担当)

info@jp-mirai.or.jp

参考リンク:

JP-MIRAI 「ビジネスと人権」における協働】

倫理的なリクルート(FERI)  

実施報告:シンポジウム「訪日前手数料ゼロに向けたベトナムでの取り組み
~公正で倫理的なリクルートメントイニシアティブ(VJ-FERI)の実現に向けて」 (2023922日)

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