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マルチステークホルダーによる取組事例

外国人労働者が定着する職場・地域づくりに向けて(長崎・佐賀編) vol.4「コミュニケーション」 
マルチステークホルダーによる取組事例

外国人労働者の適正な受入に関して、よく聞かれるのが「コミュニケーションの重要性」です。 

良好なコミュニケーションは、業務の円滑化はもちろん、モチベーション向上、安心感の醸成、相互の信頼関係の構築や心理的ストレスの軽減など、効果は計り知れません。 
しかしながら、現場では、「コミュニケーションが大事と聞くけれど、具体的にどうすればいいのか分からない」「日本語があまり得意でない人と、どう接したらいいのか迷う」 という声も少なくありません。 

今回は、外国人労働者と企業の距離を縮めるために、実際に現場で行われている取り組みを紹介します。 

企業理念「人間尊重」を共有することから、信頼を築く

東興産業株式会社(土木建設/技能実習生)

・毎月1回、技能実習生たちが、各部署を回り挨拶を行うことで、顔を合わせる機会を確保しました。 

・毎月1回の面談で、今後の目標を本人に考えてもらうことで、モチベーションの向上につながりました。 

・異文化コミュニケーションの外部講師による研修を受講後、日本人・外国人ともに笑顔と会話が増え、日本人同士の関係性も大きく改善しました。特に、日本人従業員に、外国人労働者の模範になる意識が醸成され、自ら率先して挨拶や清掃、ルール遵守を行うようになり、職場の規律と雰囲気がとてもよくなりました

人材育成研修を通じた社内コミュニケーション促進

株式会社植松建設(建設/高度人材)

・新入社員には「年4回の社長面談」を行います。相互の成長に活かすという視点で、自己評価とともに先輩や会社の評価も行ってもらい、信頼関係を築く礎とします。 

・人材育成のために導入した「メンター研修」の対象者となる若手社員には、外国人従業員も抜擢して会社の組織作りに参加してもらいます。多文化理解のために複数回実施している全社員対象の「チームビルディング研修」を通して、対外国人だけでなく、対日本人への意識も変わり、研修を通じて、従業員の他者理解への意識の向上がみられています。 

未来構想を共有した信頼づく

株式会社ディーソルNSP(IT/高度人材)

・外国人社員の定着が課題ではあるが、タンヴィルさんから将来母国に貢献したいという思いと聞き、将来的にはバングラデシュ支店の展開も視野に入れていることを共有しています。 

・タンヴィルさんによるスキル発表会を開催することで、日本人従業員が新たな知識を学ぶ機会にもなり、相互のコミュニケーションが促進された。 

・来日前からメールでコミュニケーションを取り、安心して来日できるよう配慮しました。 

取材を終えて

コミュニケーション、改めて考えると、その方法について、私たちは具体的に誰かに教えてもらったことがあるでしょうか。そのために、同じ言語を話せなければ、コミュニケーションが取れないと、思い込んでいたかもしれません。 

取材を通して見えてきたのは、大切なのは、伝えようとする気持ちと、それを受け取ろうとする気持ち。その気持ちが通じ合った瞬間に生まれる喜びがもたらす効果です。その喜びが職場に広がり、信頼関係を深め、雰囲気が明るくなることで、さらにチームを強くなる。その喜びの共感は、国籍によらず、人間としての喜びにつながると感じました。 

(JICA九州 国際協力推進員<外国人材・共生> 堀 美幸)