活動レポート

2025年下半期会員フォーラム「JP-MIRAI5年間の歩みと今後の取組みについて」を実施
活動レポート


12月12日(金)に行われた2025年下半期会員フォーラムは、JP-MIRAI設立5周年を記念して開催し、約80名が参加しました。全体として、5年間の振り返りつつ、また今後JP-MIRAIが果たすべき役割について、3つのテーマごとに議論を行いました。また、5年間の活動において顕著な貢献をされた15団体・8個人に感謝状を授与させて頂きました。 

 
開会挨拶・JP-MIRAIの5年間の歩み  


開会にあたり、理事の宍戸健一が挨拶を行い、設立から5年間の歩みを振り返りました。JP-MIRAIが、外国人労働者をめぐる課題に対し、官民を含む多様な主体と連携しながら取り組んできたことを紹介し、現場の声を重視した情報共有と相互理解の重要性を強調しました。最後に、関係者への感謝とともに、5周年を新たな出発点として、今後も実践的な取組みと発信を強化していく決意が述べられました。

セッション1:外国人労働者との情報共有・共助

外国人労働者の情報共有と共助をテーマに、モデレーターに佐藤 寛(開発社会学舎主宰) を迎え現場の課題について議論しました。 

  • ニアズ アハメド(ベンガル協同組合):日本企業の人材需要と送り出しの現状を共有し、外国人への情報不足を指摘。バングラデシュでは日本で働きたい人が多く、協同組合として静岡に人材を送り出した事例も紹介しました。 
  • ワオデ ハニファー イスティコマー(公益財団法人橋本財団 ソシエタス総合研究所):技能実習や特定技能に関する知識不足、とりわけ妊娠に関する誤解を報告。行政の多言語相談窓口は整備されつつあるものの、勤務時間や電話番号の制約で利用できない現状を指摘しました。 
  • 宮田 妙子(富山国際学院 兼 NGOダイバーシティとやま):地域での外国人コミュニティの課題と、日本人との接点づくりの重要性を強調し、災害時や地域活動での連携の有効性を紹介しました。 

共通の課題とJP-MIRAIの役割 

外国人、日本人ともに正しい情報へアクセスする方法に課題があり、行政や団体が主体的に外国人への直接的なリーチを行う仕組みづくりが求められています。JP-MIRAIには、正確な情報発信のハブとして機能し、外国人と日本人をつなぐネットワークを強化する役割が期待されました。

セッション2:ビジネスと人権における協働  

本セッションでは、中尾洋三(JP-MIRAI)がモデレーターを務め、「ビジネスと人権」における協働のあり方について議論しました。 

  • 氏家 啓一(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン):人権デュー・ディリジェンスにおいて、グリーバンス・メカニズムは単なる苦情受付ではなく、対話の起点となる重要な仕組みであると強調しました。JP-MIRAIアシストは、企業単体では対応が難しい事案にも寄り添える救済の場であると述べました。 
  • 白水 真祐(国際労働機関(ILO)駐日事務所):企業、労働組合、教育機関向けのセミナーや、「ビジネスと人権(BHR)推進社労士」の育成など、実践的な人材育成の取組みを紹介しました。 
  • 若狭 由織(味の素株式会社):倫理的採用を明確に打ち出したことで社内の意識が揃い、取組みが前進した経験や、現場を直接見ることの重要性を共有しました。 

共通の課題とJP-MIRAIの役割 

人権への取組みは中小企業やサプライチェーン全体への浸透が難しく、対話を重ねながら伴走する支援が不可欠であることが共通認識として示されました。JP-MIRAIには、立場の異なる主体をつなぎ、インクルーシブな視点で協働を後押しするプラットフォームとしての役割が期待されました。 

セッション3:地域における外国人労働者受入れの課題と連携 

本セッションでは、池邊 正一朗(株式会社ワールディング)をモデレーターに迎え、自治体、監理団体、社会保険労務士の立場から、地域における外国人労働者受入れの課題について議論しました。 

  • 高見 誠(長崎県産業労働部未来人材課):県内事業者の6割以上が外国人材の受入れを未検討である現状を示し、言語や生活支援への不安が大きく、人手不足であっても受入れ拡大ではなく業務量削減で対応する企業が多いことを指摘。今後は、JP-MIRAIとの協働を通じ、他地域の取組みを学び施策検討に繋げたいとの期待を示しました。
  • 薦田 勉(薦田社会保険労務士事務所):「ビジネスと人権」の考え方を地域や中小企業に浸透させる難しさを共有しました。アンケート対応にとどまり実践に結びつきにくい実態を踏まえ、社内浸透まで意識した研修設計や、大企業との対話・協働の重要性を提起しました。
  • 松本 伸彦(グローバル・ビジネス・アライアンス協同組合):監理団体における人権意識のばらつきや評価基準の不在を課題として挙げました。受入企業側も判断基準を持ちにくい現状を踏まえ、JP-MIRAI等による第三者評価の仕組みへの期待を示しました。

共通の課題とJP-MIRAIの役割 

地域での外国人労働者受入れには、事業者の不安解消、人権配慮の可視化、関係主体の連携が不可欠です。JP-MIRAIには、関係者をつなぐハブとして、情報共有や好事例の横展開を進める役割が期待されました。 

表彰式 

JP-MIRAIの活動を支えて下さった皆様への「感謝状の贈呈」を行いました。 
表彰者は以下のとおりです。(50音順) 

【団体】 

  • 一般社団法人 The Global Alliance for Sustainable Supply Chain(ASSC) 
  • NPO法人 Adovo 
  • Issara Institute(イサラ研究所) 
  • 一般社団法人 日本経済団体連合会 
  • 株式会社クレアン 
  • グローバル・ビジネス・アライアンス協同組合(GBA) 
  • 特定非営利活動法人 国際活動市民中心(CINGA)
  • 国際労働機関(ILO)駐日事務所  
  • 国際移住機関(国連IOM)駐日事務所 
  • 毎日新聞 KOKOROプロジェクト 
  • GMT協同組合 
  • 全国社会保険労務士会連合会 
  • トヨタ自動車株式会社 
  • NPO法人 日越ともいき支援会
  • Responsible Business Alliance(RBA)  

【個人】 

  • 池邉 正一朗(株式会社ワールディング) 
  • 氏家 啓一(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)
  • 北山 もも(株式会社ゴールデンバガン)  
  • 薦田 勉(薦田社会保険労務士事務所)
  • シュレスタ・ブパール・マン(日本人外国人協会) 
  • 富吉 賢一(日本繊維産業連盟)  
  • 中谷 元(元首相補佐官〈国際人権担当〉) 
  • 山田 美和(日本貿易振興機構〈JETRO〉アジア経済研究所) 
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