1月16日、JP-MIRAI設立5周年を記念し、「これからの外国人労働者の受入れ」をテーマとした記念イベントを開催しました。官民・自治体・学術・支援現場の関係者が集い、共生社会の実現に向けた課題や今後の方向性について、多角的な議論を行いました。
1. 開会挨拶
JP-MIRAI 毛受敏浩
代表理事・矢吹公敏の挨拶をJP-MIRAI理事の毛受敏浩が代読しました。JP-MIRAIは2020年の設立以来、官民や市民社会が連携し、外国人労働者の人権尊重と共生社会の実現を目指して活動し、さまざまな活動を行ってきました。外国人労働者が急激に増加し、国民の中でもさまざまな議論がある今だからこそ、外国人労働者の人権を護り、共生社会への取り組みを進める必要があります。外国人材から「選ばれる日本」を築くため、今後も対話と実践を重ねていくことが重要です。

2. 来賓挨拶
出入国在留管理庁 福原申子氏
出入国在留管理庁丸山秀治長官のご挨拶を、在留管理支援部長の福原申子氏が代読しました。 JP-MIRAIの5年間の取組が、外国人材の円滑な受入れや多文化共生の推進に寄与してきたことに敬意を表します。また、2027年開始予定の育成就労制度を踏まえ、日本語教育や地域定着支援を通じ、官民連携で共生社会を実現していく方針です。

3. 基調講演「あたらしい共生社会を目指して ~全国知事会提言」
静岡県知事 鈴木 康友 氏
JP-MIRAIの設立趣旨や取組に共感し、静岡県としても2025年10月に入会しました。
静岡県では外国人住民が約12.8万人と過去最多となり、地域によっては人口の8%を超える自治体もあることを踏まえて、機運醸成、環境整備、外国人の活躍支援の三本柱で多文化共生施策を進めています。具体的な取り組みとして、外国人向け一元的相談窓口の設置、不就学ゼロ作戦などに取り組んでいます。
外国人が持つ文化的多様性を地域の活力につなげるという「インターカルチュラル」の考え方を多文化共生施策の基軸に据えており、昨年8月、静岡県は「インターカルチュラル・シティ・ネットワーク(ICC)」に加盟しました。
また、全国知事会に設置した「外国人の受入と多文化共生社会実現プロジェクトチーム」では、育成就労制度の地域実情への配慮、受入れ環境整備への継続的な財政措置、多文化共生施策実施の根幹となる基本法制定と司令塔組織の必要性について国へ提言しました。さらに、排外主義の動きが見受けられるようになり、正確な情報発信の重要性を強調し、自治体として今後も積極的に多文化共生施策に取り組むことを国民向けメッセージとして発信しました。

4. パネルディスカッション
安渕 聖司 氏(経済同友会 社会のDEI推進委員会委員長 / アクサ生命保険株式会社 代表取締役社長兼CEO)
外国人材の受入れは日本社会の持続性を支える不可欠な要素であり、経済界としての課題と役割を考慮すべきです。具体的な課題として、生活基盤や社会制度への適応支援が十分でない点、中長期的・複線的なキャリア形成の仕組みが弱い点が挙げられます。対応策として、外国人材を単なる労働力ではなく生活者として捉え、生活支援を企業の責務と位置づけること、自治体と連携した支援体制や家族への日本語教育支援、明確なキャリアパスの提示が必要です。企業による人的資本投資の可視化を通じ、インクルーシブな社会の実現に貢献すべきと考えます。

末松 則子 氏(鈴鹿市長 )
鈴鹿市は、製造業を基盤としており、90年代から長年にわたり外国人材を受け入れ、多文化共生に取り組んできました。その経験から、外国人材を地域経済と社会を支える不可欠なパートナーであると位置づけています。鈴鹿市の目下の重要課題は、日本語教育の推進です。言語の壁は就労の安全性だけでなく、生活ルールの理解、災害対応、医療や子育てなど生活全般に影響するものであると考えます。
また、自治体や企業の努力だけでは限界があり、集住都市会議などでも、国が責任を持って制度設計や財政支援、人材育成を進めることを訴えています。今後は国・自治体・企業の連携を強化し、日本語教育を社会インフラとして整備していくことが重要です。
JP-MIRAIの果たすべき役割は大きく、今後も期待しています。

是川 夕 氏 (国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部 部長)
外国人労働者受入れの必要性は既に明らかである一方、国レベルでの認識と政策の優先順位が不十分であると考えています。人口推計では、今後50年で約4,000万人の人口減少が見込まれる中、国際人口移動が持つ影響は大きく、外国人受入れのための基本法がないことや司令塔の不在が課題と感じており、予算や人材を含めた大きな政策転換が必要です。
メディアの自治体調査の結果によれば、現場では「秩序」よりも「共生」を重視する認識が広がっていると報じられており、過去の受入れ経験を活かし、政策として横展開していくことが重要です。

吉水 慈豊 氏(NPO法人日越ともいき支援会 代表理事)
支援現場に携わる立場から、共生の課題は理念や考え方ではなく制度の運用や設計の問題と考えています。
制度や法律は存在していても、外国人が困ったときに誰が対応するのかが明確でないため、失業や病気、ハラスメントなど複合的な問題が生じた際に支援が途切れてしまう現状があります。特に技能実習制度では、解雇後の支援体制が弱く、若者が取り残されるケースが多く見られます。
キャリアという点では、外国人労働者が抱える日本語習得や技能試験へのハードルや不安が課題であり、企業が主体的に支援していくべきです。いずれにしても、共生社会実現に向けては、制度構築及びそれを実際に機能させる仕組みづくりが重要だと考えます。

まとめ (モデレーター:JP-MIRAI 理事 宍戸健一)
今後も外国人労働者の数の増加が見込まれる中で、私たちは何をすべきかについて、非常に貴重な示唆を頂きました。議論を通じて共通して示されたのは、外国人一人ひとりに寄り添い、心理的な安全性を確保した支援を行っていく必要性でした。そのためには、外国人コミュニティなどに直接リーチし、現場で支援を行う団体への支援に加え、さまざまな立場の支援者同士が連携できるネットワークを構築していくことが重要であると確認されました。
JP-MIRAIとしては、今後とも関係者の皆様との連携を深め、誰一人取り残さないセーフティネットづくりに取り組んでいきたいと思います。皆様の積極的なご参画・ご指導・ご協力を頂きたいと思います。
JP-MIRAIは設立5周年を迎えるにあたり、日頃よりご支援・ご連携をいただいている皆様から、温かいビデオメッセージをお寄せいただきました。
当日は、以下のビデオメッセージを会場にて投影いたしました。
▶ ビデオメッセージ全編はこちら:
