【実施報告】シンポジウム「訪日前手数料ゼロに向けたベトナムでの取り組み  ~公正で倫理的なリクルートメントイニシアティブ(VJ-FERI)の実現に向けて」 【2023年9月22日】

2023年10月10日
 JP-MIRAIは、昨年より、「ゼロフィー分科会」を設置し、人権問題や日本国内での失踪の一因とされる訪日前手数料をなくし、「選ばれる国」となることを目指して、様々な活動を続けてきております。2023年7月、ベトナム政府海外労働管理局(DOLAB)ベトナム労働者派遣協会(VAMAS)独立行政法人国際協力機構(JICA)国際労働機関(ILO)及び一般社団法人JP-MIRAIの5者協議により、「公正で倫理的なリクルートメントイニシアティブ(VJ-FERI)」の実施について合意に達しました。

 2023年9月22日、JICA及びJP-MIRAIは、VAMAS、ILOとの共催により、公開シンポジウム「訪日前手数料ゼロに向けたベトナムでの取り組み  ~公正で倫理的なリクルートメントイニシアティブ(VJ-FERI)の実現に向けて」 を会場およびオンラインのハイブリッド形式で開催し、123名が方が参加されました。本シンポジウムでは、VJ-FERIの取り組みを紹介するとともに関係者によるスピーチやパネルディスカッションが行われました。

主催者挨拶:井倉 義伸氏(独立行政法人国際協力機構(JICA)理事)

JICAが関係機関と協働してVJ-FERIを推進していくことが表明されました。また、DOLABと開始した技術協力プロジェクト「ベトナム人海外就労希望者の求人情報へのアクセス支援プロジェクト」との連携や、技能実習生等の訪日前手数料の問題に対する関係機関や企業の理解が深まることによる、VJ-FERIへの参画または支援・支持、連携深化への期待を表明しました。

※音声のみ

共催者挨拶:ゾアン・マウ・ジエップ氏(ベトナム海外労働者派遣協会(VAMAS)会長)

VJ-FERIへの支持表明とともに、VAMASの会員企業から寄せられているVJ-FERIに関するさまざまな意見が共有されました。

※音声はベトナム語(字幕:日本語)

基調スピーチ:二リム・バルア 氏(国際労働機関(ILO)アジア太平洋地域事務所 シニア専門家(移住))

国際機関の立場から、国際的基準に従った手数料撤廃の重要性や、VJ-FERIにおける日越関係者の協力関係の構築に対する支持が表明されました。

※音声は英語(字幕なし)

基調スピーチ:ファム・ヴィエット・フォン 氏(ベトナム海外労働管理局(DOLAB)副局長)

適正な送出しにかかるベトナム国内の制度が紹介されると共に、送出側・受入側双方での体制整備の重要性について意見が共有されました。

※音声はベトナム語(字幕:日本語)

プレゼンテーション:坂本 篤紀氏(独立行政法人国際協力機構(JICA)経済開発部)

VJ-FERIの基本的な考え方について説明しました。また、「ベトナム人海外就労希望者の求人情報へのアクセス支援プロジェクト」やJP-MIRAIポータルなどの、JICAが支援する関連活動についても紹介しました。

パネルディスカッション

登壇者

  • 奥山 洋介氏(トヨタ自動車人事部グローバル労政室長)
  • 服部 説男氏(協同組合 FUJI代表理事)
  • レ ロンソン氏(エスハイ代表取締役社長)
  • 田中 竜介氏(ILO駐日事務所プログラムオフィサー渉外労働基準専門官)

ファシリテーター:宍戸 健一(JP-MIRAI理事)

事業会社(受入団体)、監理団体、送出機関、国際機関の立場から、それぞれベトナムの技能実習生の訪日前手数料に関する課題認識や、VJ-FERIに対する意見が述べられました。

奥山氏は、事業会社の立場から、受入企業側による技能実習生の雇用にかかる費用負担の必然性について考えが述べられました。また、人材派遣会社であり現地で送出機関を運営するレ・ロンソン氏は、人材育成の重要性や手数料の透明化について同社が行っている取り組みや、事業会社との間での費用負担に関する方針について紹介がありました。一方、服部氏からは、同組合では現地送出機関との協力により、一部の技能実習生についての手数料負担ゼロを実現していることを紹介しました。また、手数料問題の根本的な解決のためには日本政府によるルール化の重要であるとの意見が出されました。

ILOの田中氏は、日本は民間職業紹介について定めたILO条約181号をアジア地域で批准する数少ない国であることを紹介のうえ、他のアジア諸国に批准を促す指導的役割を日本が果たすべきであるとの考えが示されました。

閉会挨拶:矢吹 公敏(JP-MIRAI代表理事)

JICA、ILOとも協力をして来春を目指してVJ-FERIの制度構築を進めていくこと、訪日前の手数料の削減のため、一社・一団体でも多くの関係者がこの枠組みに実際に参加することの重要性が強調されました。

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