本企画では、会員各位の外国人労働者受け入れ事例を紹介しています。
第6回でご紹介するのは、NPO法人Adovoです。Adovoは会員として責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム(JP-MIRAI)に参加されています。
AdovoはJP-MIRAI会員の中でも最若年に属する会員です。何しろ理事長が高校2年生!他のメンバーも高校生中心に10代で構成されているNPO法人です。「ともに生き、学びあう、『ともいき社会』をつくる」という目標のもとに集まった10代の若者たち。Adovoのウェブサイトは右記をご覧下さい。 https://www.adovo.org/
11月上旬に、JP-MIRAI事務局によりオンラインインタビューを実施しました。
Q. なぜ高校生がNPO法人を作ったのでしょうか?
松岡さんが通っている高校でベトナムに2週間行ける「ベトナム研修」があり、その前にベトナム語の先生が来たのですが、その先生がベトナム人技能実習生の保護をしていてNHKに出ているということを聞いて初めて知り、「こんな人がいるのか」と驚きました。また高校の国語の課題でプレゼンをするという課題が出て技能実習生のことを調べているうちに深く知りたいと思い、新聞の切り抜きや本を読んで、でも友達が全然知らないので「僕たちは高校生だから、高校生に知ってもらいたい」と思い、松岡さんが中心となり知り合いに電話し任意団体を結成しました。
最初は発信活動をやっていました。SDGsについての活動をやっている高校生は結構いて、イベントで横のつながりがあり、それを使って技能実習生関連の発信(イベントを開いてディスカッションしたりホームページに記事を書いたり)をしていました。でも技能実習生の問題についてどんなに発信しても誰も見てくれません。そこでどうやったらさらに効果的に発信できるかを考えて中高生に技能実習生問題を知ってもらうための作文コンテストを企画しました。しかし、任意団体だと作文コンテストのポスターも貼ってもらえないのではないかと思い、社会的な「信用」が必要だと考え、今年の4月にNPO法人の設立を申請し、7月に設立しました。
NPO法人設立の過程ではネットで情報を収集し書類を作って、都庁までお金がなかったので歩いて行って申請に行きました。法務局に提出した印鑑も学校の技術部の助けを借りた手作りでした。
Q. 現在の活動の概要と今後の活動予定を教えてください
3つの活動の柱があります。
日本人の外国人への偏見をなくせればいいなと思い、始めました。今年の4月から始めて月2回ベースで今まで10回ほど開催しています。すべてオンラインです。
交流会に参加するのは10人から30人。日本人3:外国人各国から7の割合で、日本人は学生が参加し、外国人はバングラデシュ、インドネシア人などで、留学生が中心ですが、最近は社会人も入っています。 交流会の言語は英語がメインですが、交流会の中でLanguage Exchangeというプログラムを入れて、1対1のブレイクアウトセッションの中で、英語ではなくお互いの母国語の言葉をしゃべるという試みをしています。
東南アジアの外国人が参加した時、知り合いの技能実習生の話をしてくれて、本で読んだことと違う話を聞くこともあり、実際に本人と話さないとわからないことがあると思いました。
今年の9月から始めました。これもオンラインで、日本語教師に興味がある学生(8人)が無償で外国人の方(10人強)に週1~2回、1対1の形式で日本語を教えるというものです。外国人は技能実習生などの労働者のほか、現地在住の外国人もいます。Adovoは学生と外国人のマッチングを行います。
国際交流したい学生が英語を使ってよりレベルの高い国際交流をできるというのが参加のメリットになります。参加した学生は最初みな落ち込みますが、英語が通じない場合でも、画面共有で絵をかいたりしてコミュニケーションしています。
Adovoがその理念として掲げるのが「ともに生き、ともに学び合う『ともいき社会』を創る」です。この「ともいき社会を創る」ために計画されたプロジェクトが「ともいきプロジェクト」略してともプロです。
ともプロの具体的な内容は以下の二つです。
詳細はこちらのサイトをご覧下さい。 https://www.adovo.org/post/operation-tomoiki-%E5%A7%8B%E5%8B%95%EF%BC%81
Q. JP-MIRAIの5つの行動原則の実践において特に重視していることを教えてください
以下の3つの行動原則を特に重視して活動しています。
ともプロのような企画を進めるためにはまずは私たち自身が彼らのことを尊重し、理解し、まずは我々から「ともいき」していくべきだと考えています。そこで、実際の外国人労働者・技能実習生の方々にお話を伺ったり、法律面のこともメンバー皆で共有しつつ、学んでいけたら良いなと考えています。「まずは私たち自身から」というのはAdovoのマインドの一つでもあります。
私たちの日本語教室は高校生が一対一で丁寧に日本語を教えるという形式をとっています。もちろん専門の教育を受けているわけではないから期待通りのものができているわけではありませんが、一対一で日本語をお教えすることで、彼らがあまり触れることがないであろう日本の学生と話すこともでき、日本語だけではない価値があると考えています。生徒さんは随時募集中です!
私たちの強みといえば、同年代である学生への発信力です。JP-MIRAI Youthも含め、本プラットフォームのことをもっと学生にも知ってもらえるように取り組んでいけたらと思っています。また、最新のテクノロジーや機械系にはめっぽう強い自信があります。Webサイトの制作だって、SNSだって使いこなしています。
Q. Adovo設立のきっかけとなった「技能実習生」に関するAdovoの思いを教えてください。
「技能実習生を助ける」という設立当初の目標には近づいていると思います。最初に松岡代表がこの問題を提起した時に周りで技能実習生問題を認識している人はいませんでしたが、活動が始まると技能実習生問題にかかわりたいという仲間がどんどん増えてきました。Adovoの中でも、Adovo外の学生団体も その中でできることがもっとあると思っています。活動している中で、「学生のパワー」を感じており、学生だけで解決できる「技能実習生問題」も多いなと感じています。一人でも多くの人を楽にできる、そういうことをする力はあるなと感じています。
Q. JP-MIRAIおよびJP-MIRAI会員への期待を教えてください。
私たちは本格的に活動してから半年もたっていません。私たちはJP-MIRAIの中ではまだまだ技能実習生に触れる機会の少ない団体です。JP-MIRAIの皆さんから知識を教えて頂きたいし、私たちもどん欲に学んでいきたいです。JP-MIRAIの他の会員各位から何か声をかけられれば何でもやります。是非一緒にプロジェクトをやっていきたいです。
Adovo松岡さん、名取さんとも、お忙しい中長い時間をこのJP-MIRAIの取材のために割いていただきました(特に名取さんは、ニュージーランドからのオンライン取材参加でした)。この場を借りて感謝申し上げますと同時に、JP-MIRAIとしても皆様の意見をきちんと今後の活動に活かしていきたいと思います。