【実施報告】外国人支援者向け研修会(徳島)【2022年10月26日】

2022年11月29日

2022年10月26日(水)午後、四国大学交流プラザ及びオンラインで、四国・中国地方で外国人支援に係わる方・関心のある方を対象に、JP-MIRAI「外国人支援者向け研修会(徳島)」を実施し、計74名(対面9名、オンライン参加65名)の方にご参加いただきました。
本研修会は、外国人支援の基礎知識として、外国人が増えていく現状について理解を広げること、徳島県吉野川市における外国人の受入・交流・支援の取組事例からネットワーク構築の在り方を参加者(支援候補者)が学ぶ機会とすること、四国地域の将来を見据えどのように外国人の方と共生していけるかを考える機会とすることを目的として企画しました。
徳島県国際交流協会との共催により、「中国・四国地区地域国際化協会連絡協議会」、「徳島県外国人相談支援ネットワーク会議」の出席者、また徳島県内の外国人支援に関心のある方に参加いただき、実りある研修となりました。

第1部 外国人受入れに関する動向
発表1 外国人材受入れの現状・将来予測とJICAの取組みについて
JICA国内事業部外国人材受入支援室より、JICAの多文化共生領域での活動のほか、JP-MIRAI事業の概要について説明しました。また、シミュレーションにより急速な少子高齢化により2030・40年には日本における外国人労働者の需要が急増すること、熊本県の実態調査により地方の労働者受け入れには適正な報酬とキャリアアップの他、自治体を含む地域コミュニティでの人の関わりも重要な要件であることを伝えました。

発表2 「外国人との共生」
高松出入国在留管理局審査部門 芳賀延寿様より、徳島の在留外国人の課題は技能実習生に係る 問題と言い換えても過言ではないとした上で、自身の仕事の現場から、受入側が必ずしも「対等で」「大人である」「一労働者」として彼らと接することができていない現状について課題が示されました。時代の変化とともに外国人自身も日本で働くことの意義や考え方が変わりつつあるが、日本には外国人労働者を望む地域や組織がある。「対等な人間として接する」のはもちろんのこと、双方が納得できる共生について考えていく重要性を強調しました。

発表3 いま四国に求められる相談支援 国際交流協会と外国人相談の視点から
特定非営利活動法人国際活動市民中心 新居みどり氏より、外国人相談は外国人にとって身近に感じる地域の日本人との関係性が重要であり、市区町村とつながりのある国際交流協会の役割と意義が話されました。

第1部配布資料①
第1部配布資料②
第1部配布資料➂
第1部配布資料④

第2部 外国人が惹きつけられる徳島県吉野川市に学ぶ
発表1 徳島県での協働・多文化共生社会の形成を目指して
徳島県国際交流協会(TOPIA)より、統計を示しながら、徳島県では外国人の増加率が全国的にも高い水準にあるとともに、日本人の高齢化が急速に進んでいることを説明しました。また、徳島県内の調査結果より、外国人側の「住み続けたい」という希望に対して日本人の受け入れの意識が低いこと、さらには一見地域に馴染んでいるように見える長期滞在者の支援の必要性があることを示し、日本人が外国人の存在を理解し、文化・言葉を超えて心と心で繋がる必要性を伝えました。

発表2 地域に根差した30年
吉野川市国際交流協会 萩森 健治様より、吉野川市国際交流協会での30年に及ぶ活動の実績において、日本語教室やバスツアーなど交流活動を通じ信頼関係が構築され、そのことが地域の外国人にとって「安心できる居場所」となり、いろいろな相談に応じることにもつながっていると話されました。また、自治体や地域の住民・住民組織が関わる活動により地域の外国人と日本人住民とのつながりが醸成されていること、日本語教室に通う外国人や勤務先である日本企業の雇用主との関係性をも良好に築いている事例を話していただきました。

地元企業との関係性の例として、有限会社原田食品の例が示され、社長の技能実習生と接する考え方や想い、また地域との関わりについて紹介されました。また同企業の技能実習生の一人であるチョウ・バイホウさん(中国出身)の今年度「外国人による徳島県日本語弁論大会」でのスピーチが動画で紹介され、日本語教室で日本語が上達し生きる目標ができたこと、そして実習先の会社社長さんや日本語の先生たちへの感謝の言葉に耳を傾けました。

発表3 地域のつながりから広がる将来の夢
社会保険労務士 細谷 裕重様より、徳島県で増えている技能実習と特定技能の違いを説明したうえで、今後労働・生活のベースを日本に持つ「支援の必要な外国人」が増えることが示されました。外国人支援には、日本人と外国人の双方の信頼が必要であることや、特定技能の外国人同士の結婚、住居探し、また家族滞在に伴う子どもの教育など、生活全般に及ぶ支援のニーズが高まっていること、そして外国人はそれらが満たされる地域を労働・生活の場として選び、そのことは地域活性化にもつながるということについて話されました。

第2部配布資料

第3部 まとめ
第一部と第二部を受け、吉野川市が外国人の働き住み続けたい場所として選ばれるようになった背景について、登壇者同士での意見交換を行いました。同市国際交流協会を核に人と人とのつながりがあり、技能実習生を受け入れる会社が会社以外の別の居場所を外国人に提供することや、市区町村が地域の国際交流協会の活動を支えることが外国人受入れの場としての信頼を生み、吉野川市をはじめとした外国人にやさしい地域の要素の一つであると結論付けられました。

Page Top