両者による説明のあと、参加者からのコメントや質疑応答があり主な発言は以下のとおりです。
l 費用負担を制度設計上決めるべきではないか。
→日本の制度では職業紹介事業者である監理団体は、労働者から費用をとれないこととは明確。送出国での送出しの役務については各国の方針に任せているところがあり、意見が分かれている。(杉田弁護士)
l FERIでは、送出機関と移住労働者本人が契約した後(募集過程が開始)にかかる費用を日本側が負担することとしている。 (送出国での国内移動費は除く)(杉田弁護士)
l 日本国内での募集(技能実習→特定技能)もFERIの対象となるか。
→海外から日本への送出・受入を対象とし、国内募集は対象としていない。(杉田弁護士)
l 送出国で認証された送出機関と日本側で認証された監理団体をどのようにマッチングするのか。
→登録された機関をウェブサイトに掲載するか、登録した機関同士で情報共有するかは議論がある。どこが登録されているかお互い分かるようにしたい。(宍戸)
→移住労働者の手数料負担0の取組を実施している送出機関と監理団体・企業同士がFERIを活用することが多いと想定されるので、新たにマッチングを行う事例は少ないのではないか。送出機関が、直接受入企業へ職業紹介を行うことは日本の職安法上認められておらず、日本での職業紹介(技能実習、特定技能や他の在留資格含む)を行う際は、必ず日本の職業紹介の許可を有する職業紹介機関が介在する必要があることは注意が必要。(杉田弁護士)
l 相談窓口のアクセスは、SNS(JP-MIRAIポータル含む)を中心に行うが、他の手段も活用して、ネットにつながれば連絡が取れる体制を構築する予定。(宍戸)
l 外国人雇用において、国籍、年齢、性別を記載した求人票を出すことはガイドライン違反となる。FERI審査では、法定事項プラスガイドラインに準拠した求人票を提出し、審査を得る必要がある。(杉田弁護士)
l 現時点で、「IJCプログラム」開始後1年6か月経過しているが、失踪者0が続いている。本人から最低限の教育費用を徴収しているが、今後できるだけ費用負担ゼロに持っていきたい。費用負担がないことで、本来の仕事を覚えることや日本語習得といった自己啓発に集中できることで、実習実施者への貢献にもつながっている。検討中の企業は、ぜひ取り組んで頂きたい。(キャムコムグループ)
l FERIガイドラインに記載の『あるべき国際労働移動』の姿になることに賛成であるが、ブランドホルダーや2021年からのサプライチェーンのRBA基準遵守は大きなインパクトがあった。「ゼロルピープログラム」は、本人分を0にし、費用を雇用主負担分とするが、他の費用含め費用逓減に努めている。送出機関の適正化も必要と認識。(GMT協同組合)
今後は、ベトナム側ではILOとVAMAS、日本側ではJP-MIRAIが中心となって、12月以降早期の制度運用を目指し、日越両政府及び民間の理解を得て、希望団体・企業への説明会、参加登録、登録者への研修などを進めていく予定です。
JP-MIRAIではFERI分科会を設置して、関心のある/参加を検討されておられる企業・団体の皆様と意見交換を行っております。この機会に、是非JP-MIRAIへの入会もご検討ください。
参考資料:
l FERIガイドラインについて
l JP-MIRAI説明資料
l 2024年7月31日版 移住労働者に関する公正で倫理的なリクルートガイドライン案
お問合せ:
JP-MIRAI事務局(企業協働担当)
info@jp-mirai.or.jp
参考リンク:
【JP-MIRAI 「ビジネスと人権」における協働】
倫理的なリクルート(FERI)
実施報告:シンポジウム「訪日前手数料ゼロに向けたベトナムでの取り組み
~公正で倫理的なリクルートメントイニシアティブ(VJ-FERI)の実現に向けて」 (2023年9月22日)