【実施報告】国連責任あるビジネスと人権フォーラム2024日本企業向けサイドイベント【2024年9月23日-27日】

2024年12月25日

924から27日にかけ、国連8機関がバンコクで開催した「国連責任あるビジネスと人権フォーラム(アジア太平洋地域)2024」には2,500人以上の参加があり、民間企業、政府、市民団体、労働組合など、セクターの枠を超えた活発な対話が行われました。

この日程に合わせる形で、国際移住機関(IOM)タイ国事務所とJP-MIRAI、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)、株式会社クレアン協力、日本企業向けのタイ国内現地スタディツアーやセミナー、ワークショップを連続して開催する、「日本企業向け現地集合サイドイベント企画」を実施しました 

一連のイベントを通じて、日本企業がタイでのサプライチェーン管理や急増するミャンマーからの移住労働者の現状などを把握し、具体的な課題について解決策を考える良い学びの機会となりました。

IOMはじめイベントを主催した機関の皆様との振り返りでは、引き続きこうした機会を続けていく予定ですので、次の機会には、より多くの日本企業の方のご参加をお待ちしております。 

■企画内の主なイベントと参加人数

9/23「サプライチェーン管理支援現場視察」

有名ブランドから受注している縫製工場を訪問し、経営者より、「人権DDや倫理的なリクルート(正規ルートの移住労働者の雇用と費用の全額負担)及び待遇改善の取組みにより、移住労働者の離職率が劇的に減少し、新規雇用/育成コストを削減し、収益増を実現した体験談をお聞きし、タイ人と移住労働者が共に働いている工場ライン視察しました。

*Issara Institute/JP-MIRAI共催、参加人数:23名 

9/25 「タイの現場から学ぶステークホルダーエンゲージメント ~移住労働者と支援団体との交流スタディツアー~」 

労働人口の半数を国外からのミャンマーからの移住労働者が占めているサムットサコーン県を訪問しました。当地では、移住労働者は、水産加工業や縫製などで重要な役割を果たしています。地方政府、NGO等が関係者と連携しながら、移住労働者とその家族の医療・教育・司法等へのアクセス向上に取り組んでいる現状を視察しました。 

*IOM主催、GCNJ/JP-MIRAI協力、参加人数:約20名 

9/26 「ビジネスと人権:『意味のあるステークホルダーエンゲージメント』とは?―アジアのステークホルダーと対話をしよう―」

アジア各国で移住労働者の人権保護に取り組むNGOの方々の発表後、発表者及び参加者がグループに分かれて具体的な問題事例について対応を議論し、発表・意見交換が行われました。 

*日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所主催、UNDP/IOM/OHCHR共催、ILO/GCNJ/経団連後援、参加人数:約50名 

9/26 「 移住労働者×ビジネスと人権のためのネットワーキングレセプション 」

IOM及び民間企業からのプレゼン後、日本及びバンコクからの参加者間での名刺交換や情報交換が活発に行われました。 

*IOM主催、在タイ日本国大使館/JETROアジア経済研究所/バンコク日本人商工会議所(JCC)/GCNJ/JP-MIRAI後援、参加人数:約60名 

■参加者の声

【Q1】今回のバンコク現地集合企画について全体的な感想をお聞かせください。 

●日清食品ホールディングス(株) 経営企画部 サステナビリティチーム 目取真 朝敬 様

ビジネスと人権に携わるポリシーメーカーや専門家、NGO、企業関係者が出席するフォーラム参加を通じて、人権に関する議論の動向の把握、参加者との意見交換・ネットワーキングを行うことができました。また、JP-MIRAIさん等による日本企業向けサイドイベントが複数用意され、初めてでも参加しやすい雰囲気を作ってくださり大変感謝しております。 


●いすゞ自動車株式会社 サステナビリティ推進部 サステナビリティ企画グループ 徐 子文 様

今回のフォーラムで多くの日本企業の積極的な関与を目にし、日本企業における人権デュー・ディリジェンスへの認識が広がり、啓発段階から実践のステージに入ったと強く実感しました。弊社にとっては、多様な視点から学ぶことで、自社の取組みを見直す契機となりました。 


【Q2】9/23実施のIssara Institute/JP-MIRAI共催の現地サプライヤー訪問はいかがでしたか 

●日清食品HD目取真様

苦情処理メカニズムとしてアプリなどデジタルツールの活用は聞いたことがありましたが、実際に東南アジアの複数国で展開している例や、収集したデータの活用を通じて労働者の人権保護に繋げるIssara Instituteの取組みは先進的かつ実効的との印象を持ちました。スタディツアーではバンコク郊外の工場の視察と対話の機会をいただき、自社・サプライヤー問わずライツホルダーとの直接的なエンゲージメントを通じて労働者の勤務環境や課題について解像度を上げておく重要性を感じました。 


Q3】もう一方の現地ツアー、9/25実施のIOM主催の移住労働者コミュニティ訪問はいかがでしたか? 

●いすゞ自動車 徐様

IOMのスタディツアーでは、サプライヤー、ミャンマー人の非営利教育施設、タイの労働局、病院など多様な現場を訪問し、移民労働者の現状を多角的に理解する貴重な機会を得ました。日本にいるだけでは得られない現場の情報に触れることで、課題の所在や労働者の満足度を直接観察する重要性を実感しました。ステークホルダーや当事者と対話しながら現状を把握することは、責任あるサプライチェーンの構築に欠かせない行動だと改めて認識しました。 


【Q4】最後に今回の企画で得たことを今後どう活かしていきたいかお聞かせください。 

●日清食品HD 目取真様

今回のフォーラムには様々なセクターの方と意見交換させていただくことができました。人権の取組みを進める上での課題感などについて今後とも意見交換をさせていただき、一緒にグッドプラクティスを積み上げていけるよう取り組んでいきたいと考えております。 

●いすゞ自動車 徐様

日本同様アジアの移民受け入れ大国のタイの現場で学んだベストプラクティス、交流を通じて得た知見を今後の取組みに活かすとともに、現地視察の重要性を社内外へ共有し、より多くの関係者が直接参加して学ぶ機会を広げていきたいと思います。 

【お問合せ先】

 JP-MIRAI事務局(企業協働担当) info@jp-mirai.or.jp 

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