【2025年2月】カンボジア訪問記

2025年02月21日

JP-MIRAI事務局は、2025年2月9日から12日にカンボジアを訪問し、政府や送出機関、国際機関等と日本向け移住労働の課題について意見交換を行うとともに、ILO=JICA共催の「東南アジア・日本間の移住労働者の相談・救済へのアクセス向上のための共同行動計画策定最終ワークショップ」に参加しました。

カンボジアの送出し事情

カンボジア送出機関協会(ACRA)、送出機関や国際機関等との意見交換から、ベトナムでの移住労働者のリクルート難により、日本からカンボジア人材(特に農業、建設、地方部)への需要が高まっており、地方自治体からの視察や相談が増えているとのことです。

その一方で、カンボジアでは、訪日前の移住労働者に4000~5000ドルの費用負担を強いている送出機関も見られるようであり、円安も相まって、カンボジアにおいても人材リクルートが難しくなっているようです。

こうした状況の中、カンボジア労働・職業訓練省は、移住労働者の本人の費用負担を軽減すべく、送出機関が徴収できる費用上限を設定し、政府が提携する金融機関から低金利で貸出しを行える仕組みを構築中とのことです。一方、関係者の中には低金利とはいえ、借入を可能にすることで結果的に移住労働者のコスト負担を増加させる結果を生むとの指摘もあるようです。

また、日本側の関係者との連携により、できるだけ移住労働者本人の負担を軽減した受け入れを行う取り組み「長野=カンボジアモデル」に取り組んでおられる方々からのお話も伺いました。

カンボジア労働・職業訓練大臣との面談

ヘン・スアー大臣との面談においては、カンボジア人労働者の日本への送り出しの課題や具体的な取り組みについてのご説明を頂くとともに、「問題の要因はカンボジアと日本の両方にあり、両国の様々な関係者が連携して課題解決に取り組み、日本への人材送り出しを拡大したい。JP-MIRAIの取り組みやネットワークにも期待する」との意向が示されました。

写真提供: ILO

東南アジア・日本間の移住労働者の救済へのアクセス向上のための共同行動計画策定WS

ILO=JICA共催のワークショップにおいては、カンボジア、ベトナム、インドネシア、タイ、フィリピンからの政府 、送出機関、経済団体、労働組合、NGO等の関係者52名が参加し、日本向け移住労働者の救済策として、①政府や民間による苦情処理メカニズム、②労働者のエンパワーメント(情報提供)、③倫理的なリクルートメント、④環境整備(法制度整備など)、4つの領域についての情報交換・経験共有や地域連携について活発な議論が行われ、「共同行動計画」のドラフトが作成されました。

写真提供: ILO

今後、この行動計画をもとに、各国政府間及び国際機関での連携活動を展開する予定です。JP-MIRAIからは、①「JP-MIRAIポータル/アシスト」(移住労働者に対する母国語情報提供サイト・相談救済)と②「公正で倫理的なリクルート(FERI)」を紹介し、各国から高い関心が寄せられ、今後の具体的な連携について個別の協議も行うことができ、実りのあるものとなりました。

記 JP-MIRAI 事務局

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