行動原則実践事例紹介 第20回 加山興業株式会社

2023年05月15日

本企画では、会員各位の外国人受入れに関連する事例を紹介しています。

第20回でご紹介するのは、加山興業株式会社です。加山興業株式会社は企業会員として2021年8月にJP-MIRAIに参加され、2022年度上半期活動報告会でもその取組みを発表いただきました。
活動報告会の様子はこちらからご覧頂けます。
(ページ下部に活動報告動画・資料を掲載しています。)

今回は同社の経営企画室マネージャーの井上智博様と副工場長の松岡洋人様にお話を伺いました。

井上 智博様

松岡 洋人様

Q. 加山興業株式会社のプロフィールを教えてください。

愛知県豊川市で産業廃棄物中間処理、リサイクル業を営んでいます。中長期的には海外展開も視野に入れていることから、2015年から技能実習生を受け入れ、指導し、現地で活躍できる人材の育成を行っています。これまでにベトナム、ラオスを中心に21名を受け入れています。元々は、ベトナムからの受け入れに限っていましたが、2021年にラオスのビエンチャンに会社を設立したことにより、ラオスからの技能実習生も受け入れ、日本で学んだ後に、帰国後自国にて即戦力として活躍できる人材の育成にも取り組んでいます。

Q. 外国人材を雇用するにあたっての工夫などを教えてください。

弊社では、業務上危険を伴う機械を扱うことがあるため、日本語レベルが一定に到達していないと事故の原因になると考えています。実際に過去には、大事には至らなかったものの事故が起こったこともあり、そういった経験から、しっかりと実習生たちを守っていくという目的で日本語学習については、会社として特に力を入れていくようになりました。
具体的には、週2日、1.5時間の日本語学習の機会をつくっており、費用は実習生、監理団体、企業とで三分割しています。また、日本語能力検定の合格に応じて昇給する制度を設けることで、実習生の学習意欲も保っています。実際の学習は、本人の自宅に先生が訪問する形で実施しています。こうすることで、生活の実態も見えるため、単純な言語だけでなく、生活についても困っていることにサポートできるよう配慮しています。
また、休日には、先生や先輩実習生、日本人社員と一緒に出かけたり、イベント事には積極的に参加してもらっています。実際に、技能実習生の受け入れを始めてから、日本人従業員たちが、技術を分かりやすく、かみ砕いて伝える機会にもなっており、相乗効果を生みだしています。
もちろん、安全管理として、工場内では、通路や機械には日本語とベトナム語を併記し、イラスト付きで注意喚起を促すなどの対策も並行して行っています。

休日日本人社員と一緒に過ごす技能実習生(写真右)

豊川市で開催されている日本語スピーチコンテストに参加する技能実習生

Q. JP-MIRAI入会の経緯を教えてください。

JP-MIRAI会員は意識の高い団体、企業が多い。更により良い会社をつくるために、色々なケースを学び、参考にしていきたいですし、より外国人が安全安心に働きやすい環境を築き上げていきたいです。

Q. 日本人社員と技能実習生との関係について何か工夫があれば教えてください。

外国人だからといって特段大きな違いはありません。日本人と同等の技術指導を行っていますし、防火訓練にも参加してもらいます。また、有休などの福利厚生も日本人社員と分け隔てなく提供しています。
“KAYAMA’S DNA”という自社クレドの一つに「多様性を受け入れ、互いを尊重し、助け合います。」というものがあるのですが、その精神に則り、社員間での交流も特に会社として特別な機会を設けているわけではなく、休日に日本人社員と外国人社員とが一緒に釣りや遊園地に出かけたりするなど自然と交流を深めています。
最近では、社員の満足度調査を実施しているのですが、技能実習生も母国語で回答できるアンケートにし、働く社員全員の意見を可視化し、より働きやすい環境の実現に向けた取り組みも開始しています。
Cf. KAYAMA’S DNA

Q. 「外国人労働者を受入れる企業」に今後求められていくこととはどんなことだと思いますか

これからは売り手市場が加速し、しっかりと受入体制を築いている企業が選ばれていくことになると思いますので、私たちもより一層努力していきたいと思っています。外国人労働者を単なる労働力として捉えるのではなく、賃金の高低だけではなく、どこまで思いやりをもって接することが出来るかが大切だと思っています。
実際、既に働いている技能実習生から、自分の兄弟を紹介したいと言われ、一緒に働いてもらっている例もあり、私たちの思いが伝わっていることを実感することが出来ました。

Q. JP-MIRAIおよびJP-MIRAI会員への期待

是非、多くの好事例を共有していただきたいです。会員間で同じ課題をもっていることが多いので、意見交換をするような機会がほしいです。最近対応方を検討しているのが、生活マニュアルやSNSの運用ルール、モラルなどについて、会員間で意見交換をするような機会があると良いと思っています。特にSNSの適切な運用に関しては、業界問わず正に直面している課題だと思うので、そういったテーマで会員間が意見を持ち合うような機会があると面白いと思っています。

<インタビューを終えて>
今回の取材を通じて、加山興業株式会社が、自社クレドで掲げた「多様性を受け入れ、互いを尊重し、助け合います。」という信条を実践している様子を伺うことができました。また、JP-MIRAI会員間での取り組みがより活発になるような仕組みをつくっていく必要があると感じました。
井上様と松岡様には、お忙しい中JP-MIRAIの取材のために時間を割いていただきましたことを、この場を借りて感謝申し上げます。

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