【会員事例紹介】第23回 平野ビニール工業株式会社|多様性とともに成長する

2024年07月01日

平野ビニール工業株式会社(以下、平野ビニール工業㈱)は、静岡県磐田市を拠点とする繊維製品、帆布製品、車両用シート表皮の裁断縫製メーカーです。約20年前から外国人労働者を受け入れ、『多様性』を強みに従業員と会社の成長を促進してきました。JP-MIRAI事務局が同社を訪問し、その取り組みについてお話を伺いました。

外国『人財』の積極的な登用

平野ビニール工業㈱には、現在、日本人従業員62名と外国人従業員93名(フィリピン77名、ブラジル8名、ベトナム7名、ペルー1名)が在籍しています(※1) 。国籍や性別に関係なく、有能な人材を積極的に管理者として登用することも大きな特徴です。同社は国際競争力を確保するために、従業員を『人財』と捉え、その育成に力を入れています。

※1  2024年6月1日時点
平野社長と元技能実習生の加藤ローズマリーさん。現在は班長として従業員のリーダー格

外国人労働者受入れの原点:異文化を越えて得た信頼の力

平野社長は、1995年、18歳でサッカー留学のためブラジルへ渡りました。異文化に戸惑いながらも、当時チームメートだった元ブラジル代表のエジミウソン選手らの思いやりと、お客様扱いしない厳しい環境の中で努力し、信頼を勝ち得た経験から、外国人であっても結果を出せば公平に評価されることを体験しました。この経験が、異なる文化や価値観を持つ外国人労働者を積極的に受け入れ、企業価値を高める取り組みの原点となりました。

留学時の平野社長。左はエジミウソン氏(平野ビニール工業提供)

日本初の試みで社会貢献を促進

多様性を受け入れる職場づくりを目指した大きなきっかけが、ポジティブ・インパクト・ファイナンス (※2)です。これは企業の社会貢献活動を後押しするもので、平野ビニール工業㈱は、地域金融機関から日本で初めて、中小企業向けの評価枠組みを用いた融資契約を静岡銀行と締結しました。審査料には多額の資金が必要で、借り入れなど新たな負担も伴いましたが、平野社長はこの取り組みの価値を強く信じています。「人生の大事な時期に日本で働くことを選んだ若い彼らに、二度と日本に来たくないと思ってほしくない。この一心で、意を決して取り組みました」。平野社長は、外国人労働者の人権侵害防止と働く環境の整備が企業価値と生産性を高める好機であるとし、中小企業こそ人権デューデリジェンス(DD)に取り組む意義があるとおっしゃいます。

※2   ポジティブ・インパクト・ファイナンス:企業活動が、環境・社会・経済に与える影響を分析し、特定されたポジティブなインパクト(プラスの貢献)の向上と、ネガティブなインパクト(マイナスの影響)の緩和/低減に向けた取り組みを支援する融資。評価指標としてSDGs達成への貢献度を用いている。参照:しずおかファイナンシャルグループHP

外国人雇用を支えるDX活用とコミュニケーションの工夫

同社で外国人を初めて雇用したのは約20年前、平野社長が20代の時でした。かつては、仕事をマスターしてもらうために厳しく指導しましたが、それは必ずしも従業員のモチベーションや会社の業績向上につながらなかったと言います。国籍の異なる従業員たちに、どのように会社の目標を共有し、実践していくか試行錯誤を重ねました。様々な工夫の一つが、DXを活用した作業工程や目標の見える化です。Messengerを使った業務連絡や生活指導、Teachmebizアプリを活用して作業要領書を動画や写真で分かりやすく作成し、朝礼ではZoomを活用して経営理念(HIRAVI DNA 15か条)を共有しています。

(平野ビニール工業提供)

また、作業の達成率や不良率を色分けで表示し、日本語が不慣れな従業員でも分かりやすく数値をグラフ化しています。これらの取り組みは、従業員間のコミュニケーションや作業の効率化に寄与し、成果の共有に役立っています。また挨拶を大切にし、地域の様々なイベントにも積極的に参加し、地域社会に溶け込んでいることも大事な要素です。

人権DDの取り組みが中小企業に広がることを願って

平野社長の原動力は「つながる」こと。自社だけでは難しい人権DDの取り組みについて、自分の経験を共有することで、他社が取り組むきっかけとなればと活動を続けています。「JP-MIRAIには、取り組みに挑む企業間をつなぐハブとなってほしい」と、JP-MIRAIに寄せる期待を語って下さいました。

JP-MIRAIでは、企業単体では取り組むことが難しい救済メカニズムや人権DDの支援に取り組んでいます。また、中小企業向けに外国人労働者の人権侵害の事例やその予防・対策をわかりやすく紹介する動画教材の作成も進めています。

7月4日のJP-MIRAI会員フォーラムでは、会員の皆さまの中から事例紹介として、各取り組みについて発表いただきます。平野社長にもご登壇いただく予定です。同社の取り組みについてご関心のある方は、是非ご参加下さい。

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