【会員事例紹介】第25回 株式会社ニッスイ|サプライチェーン全体への責任と持続可能な未来に向けた挑戦

2024年09月03日

ニッスイグループは、水産事業と食品事業を中心に、国内44社、海外45社のグループ会社を展開しており、国内では多くの外国人労働者を雇用しています。「人にも地球にもやさしい食を世界にお届けする」というビジョンのもと、バリューチェーンに関わるすべての人の人権に配慮した取組みを行っています。以下、取組みの概要をまとめます。

推進組織

ニッスイグループの人権尊重への取り組みは、2016年に人権に配慮した原材料調達の仕組み構築を開始したことに遡ります。2020年にはグループの人権方針が制定され、現在ではサステナビリティ委員会のもとに新たに人権部会が設置され、取り組みがさらに強化されています。

人権デュー・ディリジェンスの導入

ニッスイグループは2020年に人権デュー・ディリジェンスプロセスを導入し、様々な部署の担当者が集まり、水産業特有の課題に対するリスク評価を実施しています(下図参照)。本プロセスでは、ステークホルダーごとに潜在的な人権への影響を特定し、リスクを軽減するための対策に活かされています。

ニッスイグループのバリューチェーンにおける人権リスク
(赤字部分が最重要課題)
リスク評価ワークショップの様子 ㈱ニッスイ提供

サプライヤーガイドラインの改定

2022年には、強制労働や児童労働の禁止を強調する新しいサプライヤーガイドラインを改訂しました。特に強制労働や児童労働の禁止、強制労働との関連性が指摘されているIUU漁業(違法・無 報告・無規制漁業)により漁獲された水産物および原材料を取り扱わないことを強く要請する内容になっています。約500社の一次サプライヤーがこれらのガイドラインを受け取り、遵守の確認を行うための同意書に署名しました。セルフチェックシートの回答から問題があると認識されたサプライヤー企業には個別面接などのフォローアップも行っています。

従業員向け教育の強化

全従業員を対象にした人権に関する研修を幅広く実施し、特に2023年度には1,663名の従業員が参加したeラーニングプログラムを通じて人権問題に対する理解を深める取り組みを行いました。
共通課題として指摘された多言語対応については、外国人従業員の労働安全確保や作業手順・ ルールの理解促進のため、絵や写真を多く使い、わかりやすく説明された多言語ツールの導入を進めています(下図参照)

㈱ニッスイ提供

救済措置

2023年度よりJP-MIRAIの「企業協働プログラム」に参加しています。グループ内の20法人、35事業所の約4,000名の外国人従業員にJP-MIRAIアシストの周知と外国人労働者へのアプリ登録依頼を行いました。

㈱ニッスイ提供

ニッスイグループでは、持続可能で責任あるビジネス環境を構築するために、サプライチェーンや従業員教育を通じて、人権尊重の基盤を強化し、企業としての社会的責任を果たすための努力が続けられています。

(以上、7月4日JP-MIRAI会員フォーラム、ニッスイグループ 2023年度 活動報告を基に編集)

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