【会員事例紹介】第26回 社会保険労務士 薦田(こもだ)勉さん「地域に根ざした企業づくりと人材定着への取組み」

2024年09月18日

愛媛県松山市に所在する薦田社会保険労務士事務所の所長、薦田勉さんは、「ビジネスの成長」と「人権の尊重」を両立させ、企業と従業員がともに幸せになれる企業づくりを支援しています。特に、最低賃金が低い地方においては、キャリアパスの明確化が人材定着の鍵であると考え、地域の人材が長く活躍できる環境づくりに向けた啓発活動を積極的に展開しています。

薦田勉さん

10年にわたる監査活動と企業の変化

薦田さんは、10年以上にわたり、技能実習生の受入企業に対する監査活動に従事してきました。近年、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく国際基準の重要性が高まり、企業の対応も大きく変化しています。薦田さんは社労士として、中小企業への「ビジネスと人権」に関する理解を深めるための取り組みを推進し、意識の浸透に努めています。


中小企業における「ビジネスと人権」への取り組み

2024年3月、JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)のCSR委員会主催による講演で、薦田さんは「中小企業においても『ビジネスと人権』への対応が不可欠である」と強調しました。さらに、愛媛県内の企業に対し、人材育成プランや年間計画の策定支援を行い、単なる助成金獲得を目的としない、実効性のある社員教育に注力しています。


キャリアパスの「見える化」

地方企業が都会の企業との人材獲得競争で優位に立つためには、賃金や地域の魅力に加え、キャリアパスの「見える化」が重要です。薦田さんは、技能実習生に対し、将来のキャリアを具体的に提示し、厚生労働省のキャリアマップ(図参照)などを活用して長期的なキャリア形成を支援することが有効なアプローチであるとしています。この取り組みは、技能実習生だけでなく、将来の展望に悩む日本の若者にも有効であるとしています。


人権リテラシー向上を目指すBHRの育成推進

薦田さんが所属する全国社会保険労務士会連合会(会員約5万人)は、ILO(国際労働機関)の技術支援を受けながら、「ビジネスと人権推進社労士」(BHR)の育成を推進しており、600名の早期養成を目指しています。同連合会の「ビジネスと人権」部会委員で、BHR養成マスタートレーナーでもある薦田さんは、愛媛県社会保険労務士会の会員にも積極的に受講を働きかけ、人権に関するリテラシー向上に尽力しています。

出典:全国社会保険労務士会連合会HP

参考:全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」

(以上、7月4日JP-MIRAI会員フォーラム、薦田さんの 2023年度 活動報告を基に編集)

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