【実施報告】ネパール人材送出しの現状と課題【第4回現場アカデミー】

2024年11月26日

JP-MIRAIでは、20241110日から15日にかけて、第4回現場アカデミー@ネパールを開催しました。JP-MIRAIの会員6名(人材ビジネス関係者3名、士業2名、コンサルタント1名)が参加し、計15カ所を訪問しました。最終日には、関係者約30名を招いたラウンドテーブルを実施し、課題認識を共有しました。 

今回の記事では、特に注目すべき訪問先とラウンドテーブルでの議論内容をお届けします。詳細は1212日に予定されているJP-MIRAI会員フォーラムのプログラム内でご報告予定です。 

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労働雇用社会福祉省バンダリ大臣

「働く留学生」をめぐる問題が顕在化しているネパール。バンダリ大臣は、「就労目的であれば、留学ではなく特定技能として行くべきだ」と明言しました。一方で、特定技能を送り出す上での課題として、①日本語教師の不足(日本語話者はいるものの、教育できる人材は十分ではない)、②ネパール国内における特定技能試験の会場や受験枠の不足、の2点が挙げられました。

送出し機関3社(カトマンズ市内)

ネパール国内には、認定された送出し機関だけでも475社(2024年11月時点)あるなか、今回は3社を訪問。
マレーシア向けに国際水準のリクルートを実現し、日本への送出し実績はないものの、今後の注力分野として準備を進めている会社、年間7,000人を中東やマレーシア(一部日本)へ送出し、技能訓練施設を併設している会社、日本の管理団体と連携し、ゼロフィーの実現を目指している会社など、毛色の異なる3社を見学し意見交換しました。送出しコストについては、10万円台から30万円台まで幅広い回答が得られたのも印象的でした。

日本語学校2校(ポカラ市内)

ポカラ市内だけでも55校の日本語学校が存在する中、今回は協会幹部を務める2校を訪問しました。1校の教室では生徒の約9割が留学志望者であった一方、もう1校では特定技能志望者が約9割を占めていました。留学のみならず、特定技能を目指す人材も増加していることが窺えました。学費は3カ月単位で1~2万円程度(ネパール政府基準内)ですが、留学や特定技能の送り出しが決まった際に、25万円以上の成果報酬を徴収している学校もある模様です。

ラウンドテーブル

送出し機関、日本語学校、日本大使館、NGO、送出し機関協会(NAFEA)、ILO、JICA事務所など、計30名が参加し、活発な議論が行われました。JP-MIRAIからは、今回の視察や意見交換を通じて、①正しい情報の拡散、②倫理的なリクルートの実現、の2点が大きな課題であると認識したことを報告。参加者からは、JP-MIRAIが進める①ネパール語のポータルサイトの普及、②労働者の負担軽減は重要であり、協力したいという意見が複数寄せられました。

送出しに関しては、以下のような指摘がありました。

  • 日本とネパールの二国間枠組みの整備や技能試験の機会拡大を進めるべき
  • ネパール側の送出し機関が、日本の雇用主のニーズをしっかり把握するべき
  • 出発前訓練(PDO)の強化が必要
  • 日本側の受け入れ態勢を強化すべき

日本大使館を含む参加者からは、これまでこうした対話の機会がなかったことを踏まえ、定期的な対話の必要性が示されました。

【12月12日開催】JP-MIRAI会員フォーラム告知

12月12日の会員フォーラムでは、ネパールスタディツアーで明らかになった課題をさらに深掘りして報告します。現地を訪れた参加者が感じた課題意識を共有する貴重な機会となりますので、ぜひ多くの皆様のご参加をお待ちしています。
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