JP-MIRAIは、日本企業のグローバルな人権デュー・デリジェンスの導入及び責任ある人材リクルートの普及を支援するため、様々な業界の600以上の企業が参加する世界最大のビジネスと人権のネットワーク「Responsible Business Alliance(RBA)」と2023年11月に2年間の連携覚書を結びました。
3月7日、RBAのCEO代表団が来日する機会に合わせ、JP-MIRAI、RBA、JICAの3団体で「外国人労働者の権利を守るために」と題したオンラインセミナーを開催しました。本セミナーには、主に企業関係者、そして外国人材受入れ関係団体、専門家・研究者などを含む86名の方にご参加いただきました。
代表理事矢吹が、「サービスや商品の提供に関わる国内外すべての労働者の権利を保護していくためには、国境を越えた政府、企業、団体の世界的な連携が必要不可欠である」と主催3団体の連携の意義及びセミナー参加への謝意を述べました。
JICAガバナンス・平和構築部増田部長が、JICAは、2023年の国際労働機関(ILO)とJICAとのビジネスと人権促進のための協力覚書(MOC)締結後、「様々なステークホルダーと力をあわせ、児童労働や移住労働者からの搾取の防止といった脆弱層に特に焦点をあて、開発途上国・我が国双方の課題の解決に貢献していく」として、①途上国の政府職員対象のビジネスと人権に関する知識共創プログラム(来日研修)、②ガーナでの児童労働改善支援、③開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム支援、④ベトナムでの海外就労希望者の人権侵害リスク低減を目指すプログラム、⑤東南アジア諸国における外国人労働者の救済へのアクセスに関する調査、などの具体例を紹介しました。
また、「日本人も外国人も活躍できる日本の社会を作ることは、少子高齢化対策と地域創生の鍵であることが2023年6月に閣議決定された『開発協力大綱』に盛り込まれた」と、「外国人材の適正な受入れ×多文化共生×地方創生」視点の重要性も伝えました。
RBAレデラーCEO(最高責任者)の講演は予定変更され、録画による、①強制労働や地球温暖化の防止に対し企業に責任ある行動を課す法制化の影響は日本を含む全ての地域とあらゆる業界に及んでいること、②団結と連携によって各企業が国際的なデューデリジェンスの基準に沿って行動できるよう支援していくこの有効性、③労働者の人権を守りながら世界的なサプライチェーンを維持するため政府、民間企業、市民社会の連携を深める本セミナーを開催することの意義、以上3点に関するビデオメッセージとなりました。
その後、RBAギラードCSO(最高戦略責任者)から、2004 年以来、RBAがその「Responsible Labor Initiative(責任なる労働者イニシアティブ)」を通じて、重点的に取り組んできた活動、①OECDのデューデリジェンスガイドラインに基づいた、強制労働のサプライチェーンからの排除、②ILOの指標に戻づいたリスク評価プラットフォーム・ツールの提供(自己評価シート、認証ツール、研修メニュー、労働者からの苦情・相談救済ツール)について説明があり、最後に「RBAは他にも多様な取組みをしており、今後もお互いのツールや経験を補完的に共有しながら、JP-MIRAIとの連携を継続していきたい」と述べ講演を締めくくりました。
理事宍戸が、連携協定の目的と連携活動を、具体例 ①グローバルサプライチェーンにおける人材紹介会社とサプライヤーの能力強化を通じた責任あるリクルート、②人権デューデリジェンスと責任あるリクルートの実施のためのRBA及びJP-MIRAI双方のツール活用、中小企業向けの学習動画作成、③協力活動を通じて得られた成果を日本やその他の国の政策立案者への共有・促進活動を挙げながら説明し、RBAからの技術的なインプットや協働活動への期待を述べました。
約15分間、「RBA及びJP-MIRAIそれぞれへの参加によって利用できるツール・サービス」、「人権DDの取組みを大企業からサプライヤー(中小企業)へ広げていく際の苦労とその経験・学びの共有の重要性」、「RBAとJP-MIRAIの相談救済メカニズムとその改善」について、活発な質疑応答が行われ、セミナーは終了しました。
中小企業向け動画・教材海外サプライチェーン管理支援倫理的なリクルート(FERI)
JP-MIRAI外国人相談・救済パイロット事業(JP-MIRAIアシスト)(JICA実施)
Responsible Business AllianceのHP(右上の地球儀から言語選択可)
開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム 課題別研修「ビジネスと人権」実施報告
活動報告