ベトナム訪問記【2024年12月】

2025年01月14日

JP-MIRAI事務局は、2024年1222日(日)~26日(木)に、ベトナムを訪問し、政府関係者、ベトナム海外労働者派遣協会(VAMAS)、ILOベトナム事務所など意見交換を行いました。送出し事情、政府機関再編などベトナムの動きが活発化しており、今後とも状況を良く把握していく必要があると感じました。 

中部ベトナムの送出し事情

中部ベトナムのクアンガイ省を訪問し、労働情報センターでお話を伺いました。 

  • 同省は、人口約120万人の小さな省だが、近年、工業団地には日系企業を含む工場進出が盛んで、年間4万人もの新規雇用を生まれている。賃金も上昇し、海外就労の人気が相対的に低下している。失業率は3.2%。 
  • 工場労働者(経験2年程度)の月収は、1,000万ドン(約6万円)であり、税金は無税で、社会保障費10%を引いても、手取り5万円以上5年前は、300万ドン程度)。 
  • コロナ禍前は、日本への送出しが約700名に対して、韓国への送出しは300名であったが、韓国の方が手取りの給与が20~30%程度高いことから現在は完全に逆転している(労働情報センター扱い分)。※中部ベトナムから台湾への送出しはない 
  • コロナ禍後の新しい動きとしては、アルバイトの時給が高い事や学費が無料であることから、ドイツへの留学希望者が増えており、留学まで約8か月の教育を受けているとのこと。 

同センター所長は、個人的な見解としつつも日本への就労は、賃金アップがない限り増加しないだろう特に野外で働く職種は、少数民族の若者しか希望者がいないのが現状だがそれも国内の就労機会拡大で、今後、人材確保が難しくなるのではないか。」との見方しました。

雇用情報センター: 1日100名程度の求職者が訪問するとのこと。ピンク色の求人は国内、水色は海外の求人票

ハノイで、「公正で倫理的なリクルート(FERI)」に関心がある送出機関を訪問しました。大手送出機関では、ゼロフィーでの求人について、2023年は約10%程度であったのが、2024年は約20%に拡大したとのことでした。また、別の送出機関において良い人材を確保するために、受入れ企業の理解を得て給与を上乗せしてリクルートを行っているという事例や、本人負担額も極力安くする(10万円以下)取組みを行っているなど説明がありました 

ベトナム政府の動き

 「GCM(Global Compact for Migration)」のフォーカルポイントである外務省領事局担当副局長との面談では、「ベトナム政府のロードマップには、ILO181号条約(民間斡旋事業者関係)の批准を掲げており、VJ-FERIの取組みはそれに向けて重要な取り組みであり、期待している」との発言がありました。

 また、既に報道もなされているとおり、12月の中央指導委員会の決定により、ベトナム政府の中央省庁が30から21に削減され、労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)は解体され、傘下にあった海外労働局(DOLAB)は、内務省に移管されました。DOLABの幹部によれば、「今のところ、幹部人事や業務内容などは大きな変化はない」とのことでした。 

VAMASとの協力

VAMASとの協議において、VJ-FERIの推進について協力していくこと今後の具体的な進め方等につい協議を行いました12月26日に行われたVAMAS主催行動原則(CoC年次モニタリング報告会合」にもお招き頂きました同会合おいて、Diep会長からJP-MIRAIとの協力とりわけVJ-FERIの推進の必要性について繰り返し言及がありました(写真)。 
 会場には、内務省DOLAB担当副大臣が出席されており、JICAやJP-MIRAIの取り組みには、期待しているとのご発言がありました。今後、VAMASやILOと協力し、VJ-FERIを進めていく予定です。 

記 JP-MIRAI 理事 宍戸健一

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